「補償」の意味と「保障・保証」との違いとは?例文や類語も解説

「損失を補償する」「災害補償金」など「補償」というワードは金銭や保険の分野でしばしば目にします。この「補償」と、同じ読みを持つ「保障」や「保証」はどう違うのでしょう。本記事では「補償」の意味・使い方をはじめ、「保障」「保証」「賠償」など似た表現との違いについて詳しく解説しました。

「補償」の意味とは?

「補償」の意味は”損害などを金銭でおぎなうこと”

「補償」の意味は、“損害や出費などを金銭でおぎない、つぐなうこと”です。「補償」の「補」には”おぎなう”という意味が、「償」には”つぐなう”という意味がそれぞれあります。

「補償」は損害保険分野でよく見るワード

「補償」は損害保険の分野でよく用いられる表現です。

自分が損害を受けた場合、あるいはほかの人に損害を負わせた場合に保険金を受け取る(支払う)ことのできるタイプの保険は「補償保険」とも呼ばれます。自動車保険や旅行保険などのほか、「所得補償保険」としてけがや病気等で働けなくなった場合などに保険金がもらえる保険商品もあります。

「補償」の使い方と例文とは?

「補償金」とは”補償のための金銭”のこと

「補償金」とは、文字通り”補償のための金銭”のことです。たとえば、損害保険に加入していて、何らかの理由で保険金を受け取った場合は「補償金を受け取った」ともいうことができます。

「補償制度」とは”損失を金銭でおぎなう”こと

「補償」は保険の分野で目にすることが多いですが、”国による補償制度”のように保険以外でも使用することができます。

この場合も、「損失を金銭でおぎなう」という意味合いは変わりません。

「補償」を使った例文

「補償」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 補償保険のおかげで大ごとにはならなかった。
  • 修理費用は相手の補償保険でまかなった。
  • 今回の件は保険の補償範囲となるだろう。

保険以外で使われる「補償」の例文

保険以外で使われる「補償」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 自治体の補償制度を利用するべく問い合わせた。
  • A社の公害補償裁判がついに始まった。
  • 今般の災害については国が補償すると正式に決まったようだ。

「補償」と「保証・保障」の違いとは?

「補償期間」と「保証期間」の違いはその対象による

「保証」は家電商品の「保証書」やそこに記載される「保証期間」でもよく目にします。

「補償期間」とは、”金銭で損失をつぐなう期間”のことです。たとえば、労災保険(労働者災害補償保険)では、休業時の「補償期間」が3年を経過した場合にそれ以降の補償責任を免れる制度があります。

これに対し「保証期間」は、購入した商品の機能について製造元(メーカー)が「保証」を行う期間です。この「保証期間」内であれば、修理や交換も無償というケースもあります。

何のための期間なのかによって「保証」と「補償」の使い方が変わってきます。

「保証」とは”大丈夫である・確かだ、と請け負うこと”

「保証」とは、”大丈夫である・間違いなく確かであると請け負うこと”を意味します。

たとえば、「債務を保証する」というと、”債務の内容が確かであり、その返済も大丈夫である”という意味です。

同時に、支払えなかった場合には「保証した人(保証人)」が代わりに返済することが多いでしょう。また、保険の分野では、「老後の安心を保証する(=安心を確かなものにする)」のように年金関連商品で用いられることが多いのが特徴です。

「保障」とは”損なわれることのないよう守ること・保つこと”

「保障」とは、”損なわれることがないよう守る・障害のないよう保つこと”を意味します。不安が生じないよう、あるいは危害を加えられないように責任をもって守る・保つ(保護する)などの意味を持つ単語です。

「社会保障」「安全保障」などと使える

「補償」が損害保険で用いられることが多かったのに対し、「保障」は生命保険や医療保険で用いられることが多いのが特徴です。病気になると何かと出費がかさみますが、そうした不安をおぎない、生活を守るような役目をもつことから「保障」のワードが使われると言えるでしょう。たとえば、「医療保障・入院保障・死亡保障」などといった使い方が挙げられます。

また、「社会保障」や「安全保障」のような単語にも用いられます。

  • 社会保障:国民が最低水準の生活ができるようにする政策のこと。医療・年金・雇用・介護などの社会保険が代表例。児童手当や社会福祉も「社会保障」の一例。
  • 安全保障:一般には、国際関係において、他国からの攻撃を防ぎ安全な状態を保障すること。

「補償」の類語とは?

補償の類語①「賠償」

「賠償」とは、”他の人に負わせた損害をつぐなうこと”を意味します。「補償」とほぼ同じ意味で用いられますが、「賠償」は違法行為に対して用いる点が大きな特徴です。つまり、”違法な行為によって負わせた損害をつぐなうこと”が「賠償」です。特に、法律の分野では明確に区別されます。

補償の類語②「補填」

「補填(ほてん)」とは”不足をうめ、おぎなうこと”という意味です。「補償」が”損害をつぐなう”という意味であるのに対し、「補填」は”損害に限らず不足分をおぎなう”という意味で異なります。また、「補填」には、”つぐなう”という意味もありません。

「補償」の英語訳と例文とは?

「補償」は英文では”compensation”

「補償」を意味する英単語は“compensation”です。動詞では「compensate」を使用し、「compensate someone for the damage」などの表現で用いられることもあります。

「補償」の英語表現を使った例文

「補償」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • The government should compensate those who were hit by the typhoon.(台風による災害に見舞われた人々に政府は補償するべきだ)
  • That is not compensated.(その点は補償対象外です)

また、「redress(救済)」を使用した「seek redress for~」なども「補償を求める(救済を求める)」と和訳することができるでしょう。

まとめ

「補償」とは、”損害・損失をおぎない、つぐなうこと”という意味の単語で「損害保険」でよく用いられるワードです。「保障」は”(権利や安全を)守る”、「保証」は”大丈夫である、確かであると請け負う”という意味があり、それぞれ「補償」とは異なる意味を持ちます。使用シーンや熟語とセットにすると、意味も覚えやすいのでぜひ参考にしてみてください。