「供物」の意味とは?「供花」との違いやマナー・お返し文例も解説

仏壇にあげるいわゆる「おそなえもの」は「供物(くもつ)」とも呼ばれますが、この「供物」は葬儀などで弔意を表す贈り物にも用いられる単語です。本記事では「供物」の意味をはじめ、「供物料」や「供花」など関連用語について解説します。また、知っておきたい「供物」のマナーやお返し・お礼状についても触れています。

「供物」とは?

「供物」の意味は”神仏にそなえるもの”

「供物」の意味は、“神仏にそなえるもの・供養物・おそなえ”などです。読み方は「くもつ」です。故人や遺族への弔意を示す贈り物を指すほか、お盆飾りとしてよく知られるきゅうりの馬・なすの牛も「供物」の一例です。

「供物」は葬儀や一周忌などで送る物を指すことが多い

「供物」は通夜や葬儀で送られる品物を指して用いられることが多いです。たとえば、祭壇に飾られる菓子類、あるいは四十九日や一周忌の法要における贈り物を指して用いられます。

葬儀社が用意してくれる祭壇の果物や落雁(らくがん)も、「供物」の良い例です。会葬者による「供物」では、親族や近親者、故人の会社関係者などによる贈り物が多いでしょう。

花を送る場合には供物ではなく「供花(きょうか)」

果物や菓子ではなく花を贈る場合は「供物」ではなく「供花」と言います。

「供花」は”きょうか”と読み、故人の霊前に供える花を意味する言葉です。菊や百合などが一般的ですが、故人の好きな花などゆかりのあるものを飾るケースも増えています。

「供物」を使った例文

「供物」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 遠縁の親せきが亡くなったと知り、供物を送ることにした。
  • 従業員の急逝に際し、会社からの供物を手配する。

他にも「供物を供える」「~へ供物する」などの表現で用いられることもあります。

「供物」を贈るときのマナーとは?

仏教の「供物」は菓子・果物・線香などが一般的

「供物」を贈る際は、相手の宗教によって何を贈るか決めなければなりません。一般に仏式では果物のほか、菓子や線香・ろうそくといった「供物」が選ばれます。神式の場合は焼香の習慣がないため、線香ではなく、菓子や果物、酒が贈られることが多いです。

「供物」の掛け紙には、黒白・黄白・双銀いずれかの「5本結切り」のものを用います。色は地方や宗教によって異なりますので確認しておきましょう。弔事のため、右上に熨斗(のし)はつけません。

元々「供物」という習慣のないキリスト教では、花、特に生花を贈ることが多いです。このほか、宗教・宗派によっては当然ながらタブーとされるものも存在するため、相手の宗教に合わせた配慮が求められます。

「供物」を送る場合は事前に確認・了承をとる

宗教に配慮する意味も含めて、「供物」を贈る際は事前に了承を得るのがマナーです。また、斎場のスペースにも限りがあることから、盛り籠などといった大物は配置に困ることもあります。飾る場所への配慮の意味でも事前に葬儀社などに確認をとるようにしましょう。

「供物料」の金額は3,000円~1万円ほど

「供物料」とは、”供物の代わりに包むお金”のことです。香典の代わりに「御供物料」として用意することが多いですが、中には香典と「御供物料」の両方を用意することもあります。「御供物料」の相場は3,000~5,000円ですが、四十九日や一周忌の法要では5,000~1万円程度と高額のケースもあるようです。

なお、この「御供物料」は通夜や葬儀で渡す場合には不祝儀袋に入れることが多いものの、香典と別に用意する場合は白封筒でも問題ないとされています。

香典を送る場合は「供物」は必要ない

香典と「供物・供花」はいずれも”故人や遺族への弔意を示すもの”という同じ意味を持つことから、香典を用意する際に「供物・供花」は不要とされています。ただし、個人で香典を用意し、会社や親族など「○○一同」として「供物」を用意することは珍しくありません。

故人との関係から「供物も贈りたい」という場合もあるでしょう。香典にプラスして「供物」を用意する場合には、相手への負担を考慮して数千円程度の小ぶりのものを持参する、という方法をとることも多いものです。

「供物」を遠慮する案内には従うのがマナー

訃報の連絡を受けた際に「供物・供花はご辞退申し上げます」などの文言を見かけることがあります。こうした案内があった場合には、施主・遺族の意向をくみ、「供物」や「供花」は用意しないのがマナーです。法事に関しても同様で、事前に遠慮する旨の案内があった場合には従います。

「供物」をもらったときのマナー・お返しとは?

「供物」を受け取ったらお礼状とお返しの品を送る

「供物」を受け取った場合には、お礼状を送付するのが一般的です。通夜や葬儀で受け取った場合には忌明けに合わせて挨拶状を送付しましょう。

加えて、高価な供花をもらった場合などはお返しの品を用意することも多いです。順番としてはお礼状(挨拶状)が届いた後に、お返しの品が届くよう手配するのが通例です。

「供物」をもらったときのお礼状の文例

「供物」をもらったときのお礼状の文例をご紹介しましょう。

例文

拝啓 時下ますますご清栄のことと拝察いたします
先般 亡母○○ ○○儀 葬儀の際には立派なお供えを賜り厚く御礼申し上げます
謹んでお受けいたし霊前に飾らせていただきました

早速拝趨の上ご挨拶申し上げるべきところ略儀ながら書中をもって御礼申し上げます

謹白

「供物」の英語訳とは?

英語で「供物」は”offering”を使用する

英語で「供物」を表現する際には“offering”の単語を使用します。

「offering」には”申し出ること・提供すること”などの意味の他「神へのささげもの」という意味があります。

「供物」と似たニュアンスをもつ英語表現の例

「供物」と似たニュアンスをもつ英語表現の例をご紹介しましょう。

・仏へのお供え物:an offering to Buddhist gods
・供花:offering of flowers

まとめ

「供物」とはいわゆる「お供え物」のことで、お盆飾りなどを指して用いられることもありますが、一般には葬儀や法要で飾る果物や菓子を指すことが多いでしょう。何を贈る場合でも、相手の宗教・宗派に配慮した品物であることが「供物」では重視されます。宗教(宗派)によってはタブーとされるものもありますので、事前に葬儀社等に確認するのがベターです。

なお、同じ祭壇に飾られるものでも花は「供花」と呼び区別される点も覚えておきましょう。