「ガイダンス」の意味とは?「ガイドライン」との違いや例文解説

フリーコールでは「音声ガイダンスに従って」というアナウンスをよく耳にしますし、「セキュリティ管理初任者向けガイダンス」のような表現も珍しくはないものです。この「ガイダンス」の意味や使い方について例文で解説します。また、似た表現「オリエンテーション」や「ガイドライン」との違いや類語・言い換えについても触れています。

「ガイダンス」の意味と由来とは?

「ガイダンス」の意味は”初歩的な説明・案内”

「ガイダンス」の意味は、“不慣れな人に対する初歩的な説明・案内”ということです。「案内のための催し」という意味で「ガイダンス」と使用されることもあります。

また、教育の分野では「自発的に自分の進路を決定できるように指導すること・一定の方向に導こうとする指導」という意味でも用いられます。

英語「guidance」に由来するカタカナ語

「ガイダンス」は英単語の“guidance”の読みをそのまま使用したカタカナ語です。英語と日本語ではほぼ同じような意味で用いられていて、英語でも「案内・指導・手引き」という意味の他、「学生に対する指導」の意味でも用いられます。

「ガイダンス」と「オリエンテーション」の違いとは?

「オリエンテーション」とは本来”動機付け”のこと

「新入生オリエンテーション」のように、「オリエンテーション」の単語も「ガイダンス」と似た使い方をされる単語です。この「オリエンテーション」とは、元々は”動機付け”という意味です。

「ガイダンス」と「オリエンテーション」の違いは目的にある

「ガイダンス」は知識や技術、ノウハウなどの説明に焦点をあてたワードですが、「オリエンテーション」は感情・考え方に着目しています。

「新入生オリエンテーション」は、新たに迎えた学生にこれからの学校生活の目的・方向性などを理解してもらうことで「動機付け」をし、より有意義な時間を過ごしてもらうために行われるもの、ということができるでしょう。

「○年度新入社員オリエンテーション」なども同様で、同期や先輩社員とのつながりを持たせることで、入社後の生活へのモチベーション向上などを期待して行われます。

「ガイダンス」と「ガイドライン」の違いとは?

「ガイドライン」とは”指標・指針”のこと

「ガイダンス」と似た表現に「ガイドライン」があります。「ガイドライン」とは、端的に言うと”指標・指針”という意味です。「指標」とは物事を判断する際の基準となる要素のことで、たとえば政府の施策に関して「基本的にはこうしてください」というものを記載したものが「指標・ガイドライン」と呼ばれます。

一方「指針」とは、「指標」よりもやや緩やかな意味を持つ単語で、”これに従うことを推奨します”というニュアンスで使用されます。たとえば「医療ガイドライン」は”この症例にはこのような治療を推奨します”という内容が書かれた「指針」であることが多いでしょう。

「ガイダンス」は手引き・案内にすぎない

「ガイダンス」は教育機関を除いてはそのほとんどが”初歩的な案内”の意味で用いられます。そのため、「ガイダンス」とされるものの内容は初心者向け・基本的な内容であるのが特徴です。

「ガイダンス」には「ガイドライン」のような”指標・指針”といったニュアンスはなく、「ガイドライン」の方がより複雑であったり専門性が高かったりするケースが多いということができます。

「ガイダンス」の使い方と例文とは?

電話で「ガイダンス」と言えば自動音声案内のこと

電話で「ガイダンス」という場合、一般には「自動音声案内」を指します。たとえば、企業のコールセンターでは、最初からオペレータにつながるのではなく、まずは音声案内に従って問い合わせ内容を選択するよう求められることがあります。この自動で流れる音声案内が「ガイダンス」です。

電話以外でも、録音音声を利用して基本的な案内をする場合には「音声ガイダンス」の表現が用いられることがあります。

例文
  • 音声ガイダンスに従う。
  • ここでは、自動音声ガイダンスが流れます。

「○○ガイダンス」は”○○に関する案内”のこと

「起業ガイダンス」「新入生ガイダンス」のように「○○ガイダンス」の形で使用することも多いですが、これらは”○○に関する基本的な案内・手引き”の意味になります。たとえば、「起業ガイダンス」とは、”起業に関する初歩的な案内”という意味です。「初任者向けガイダンス」などもよく耳にする表現です。

この場合、「初心者向けの説明が記載された文書」の意味でもつかうことができますし、「説明会」の意味で使われることもあります。

例文
  • 新入生ガイダンスは10時からA-3講義室で行います。
  • 自治体の起業ガイダンスに参加しようと思う。
  • セキュリティ初任者向けガイダンスを受け取ったが、何が何だかさっぱり分からない。

学校教育では「進路指導」「職業指導」の意味で用いられることも

教育現場における「ガイダンス」は、単に「基本的な案内」以外に、生徒が自分を理解し自発的な進路決定に導く指導(進路指導)、あるいは自分の能力を生かし社会に貢献できる存在となるよう援助する指導(職業指導)といった意味で用いられることも多いでしょう。

たとえば、「就職ガイダンス」というと”就職活動の概略的な説明”という意味にとることができる一方で、”自分の能力を生かした仕事に就くための指導”という意味にもとることができます。もちろん、両方のニュアンスを込めて用いられることもあるでしょう。

「ガイダンスカウンセラー」とは様々な発達を援助する教育専門家

教育の分野では「ガイダンスカウンセラー」という教育の専門家もいます。この「ガイダンスカウンセラー」は、保育園・幼稚園から大学および高等専門学校等に至る様々な教育現場で子どもたちの学習や進路、心身の健康面における発達を援助する専門家としての役割を担う存在です。

この「ガイダンスカウンセラー」には、日本スクールカウンセリング協会による資格認定試験を受ける必要があります。

参考:日本スクールカウンセリング協会

「ガイダンス」の類語・言い換えとは?

似た意味の表現は「手引き・案内・指導」など

「ガイダンス」と似た意味を持つ単語には“手引き・案内・指導”などが挙げられます。助けたり導いたりすること、あるいは案内することが「ガイダンス」であるため、類語も似た意味の表現が並びます。

「ガイド」とは”案内”の意味

「ガイド」とは”案内すること・案内人”また”手引き・便覧”という意味です。「ガイダンス」と似た語感の表現ですが、「ガイダンス」のように”初歩的な”というニュアンスはないこと、また”指導”の意味も「ガイド」にはない点で異なります。

まとめ

「ガイダンス」はビジネスシーンでは「初歩的な案内・概略的な説明」の意味で用いられます。はじめの一歩として必要な初歩的な知識などを伝える際に用いられることが多いのが特徴です。

一方で、教育現場では進路指導や職業指導など、自己理解や自発的な決定を促す指導を指して「ガイダンス」と表現されることも多いです。使用シーンでニュアンスが変わることがありますが、一般には「初歩的な案内」を意味するワードとしてとらえて問題ないでしょう。