「まで」が含む範囲とは?「まで」の意味と月日や時間との使い方

「明日までにお願いします」「15日までに提出してください」など、「まで」を使って期限を示すことはよくあります。この「まで」は当日を含むのでしょうか。「まで」の意味する範囲をはじめ、月・日にち・時間などとの使い方に注目して解説します。

「まで」の持つ意味とは?

「まで」は「制限・限度」「影響する範囲」を示す意味を持つ

「まで」にはまず、「制限・限度を示す」という意味があり、特に「○○まで」として時間や事柄の到達点を示す場合に用いられます。

また、「まで」には「人の動作や考えが影響する範囲を示す」意味や極端な事例を述べる際の強調語としての役割もありますが、本記事では「時間的な限度・範囲を示す」という使用に特化して解説します。

「~まで」は「まで」の前に含む数量・範囲を含む

「まで」は、「まで」が示す日時・場所・数量等を含むという認識が正しいです。範囲を示す場合の「まで」も同様で、「第1条から第7条まで」というと「第7条も含む」という意味です。「ここまで」といえば「ここ」の指し示す箇所を含みます。

このように、「まで」の前につく時間・数値等はすべて「まで」の範囲に含まれると考えます。

「まで」の使い方と例文

「明日までに」は「明日中」、「○日まで」は「○日中」の認識でOK

ビジネスシーンでは「まで」を締め切りや期限を示す場合によく使用します。たとえば、「明日までに提出してください」と言われたら「明日中」に提出しなければなりません。また、「10日までにご連絡ください」と言われた場合は「遅くとも10日中」に連絡する必要があるでしょう。

例文
  • 物産展は今週土曜日までの開催です。
  • 詳細は20日までに追ってご連絡差し上げます。

なお、ビジネスシーンでは「その日の就業時間中」を指すのが原則です。たとえば、「明日まで=明日の24時」ではなく「明日の17時ころ」を意味します。また、「10日の会議までに送って」と言われた資料は「会議開始時刻」ではなく、「会議前に上司が確認する時間を考慮したタイミング」で送ることが暗に求められます。

「10日まで」の書類は「10日必着」が原則

「書類の提出締め切り:11月10日まで」となっていた場合の「まで」も当然ながら「11月10日」を含みますが、さらに締め切りに関する記載では「10日に相手の手元にある状態」が求められます。つまり、この場合は「10日必着」との解釈が正しいのです。「10日の消印」などと但し書きがない場合は、「必着」のニュアンスと覚えておきましょう。

「8月まで」は「8月いっぱい」の意味、ただし誤認が多い表現

「まで」は「月」と共に用いられることもあります。たとえば、「8月まで」というと「8月いっぱい、8月31日まで」の解釈が正しいということができますが、特に「○月まで」の表記は認識の違いが生まれやすいので注意が必要です。

たとえば、8月に入ってから「8月までは営業時間を短縮します」というと多くの人が「8月いっぱい」と解釈しますが、7月中に「8月までは営業時間を短縮します」と言われた場合「8月が始まるまで(=7月31日まで)」の意味に解釈されることがあるのです。単語の意味としては「8月まで=8月いっぱい」の認識で問題ありませんが、「8月が始まるまで」とも解釈ができるため、誤解を防ぐには「8月末まで」のように言葉を足した方が無難です。

例文
  • 9月までには新規プロジェクトを立ち上げたい。
  • 6月までに何とか軌道に乗せたい。

「○時まで」「○歳まで」などもその時間・年齢を含む

「まで」を使用した表現には、ほかにも「15時まで」と時間とともに使う例や「5歳まで」と年齢と共に使う例も多々見受けられます。いずれも、その時間・その年齢を含むととらえて問題ありません。

たとえば、「設備点検のため、15時までに退社してください」は「15時00分には退社している状態」を指しています。「6歳までは無料です」というと「6歳の子」は無料で、7歳から有料ということになるでしょう。

「まで」の言い換え表現

「○日まで」は「○日中」という表現に言い換えることも

日付と共に期限を示す意味で用いられる「まで」は、「明日中」や「15日中」などの表現に置き換えることができます。「15日まで」という表現では相手に「15日を含むのか含まないのか」と悩ませる懸念がありますが、「15日中」とすると誤解を生みにくい表現となります。相手に確認する際にも重宝しますが、より確かな方法としては明確な時間を使った表現も良いでしょう。

例文
  • 明日までにご連絡ください。
    →では、明日中にはご連絡差し上げます。
  • 10日までにメールで送ってくれ。
    →かしこまりました、10日の遅くとも正午にはメールで送ります。

「ないし」も「まで」とほぼ同じ意味の表現

「まで」と同じ意味で用いられる表現では「ないし」も挙げられます。「ないし」とは「AないしB」という使い方をし、「AとBの両方」「AとBのどちらでもよい」という意味になります。たとえば、「1ないし5」というと「1から5のすべてを含む」を言う意味です。

「まで」の英語訳

英語で「まで」は「till」「by」を使用する

英語で「まで」を意味する単語には「till」や「untill」「by」など複数の単語があります。たとえば、「朝から晩まで」は「from morning till night」、「水曜から金曜まで」は「from Wednesday till Friday」と表現されますが、特に期限や期日を示す場合などは「by」が用いられます。

例文
  • Report by tomorrow.(明日までに報告するように)
  • It will be done by tomorrow.(明日までに完了できます)
  • Please let me know by Wednesday.(水曜日までに連絡ください)
  • It would be greatly appreciated if you could respond by Wednesday.(水曜日までにご連絡いただけますと幸いです)

まとめ

「まで」はビジネスシーンでは主に期日や範囲を示す際に用いられます。「まで」はその前に示された数値を含むのが一般的ですが、「8月中」のように使い方によっては曖昧になりやすい表現でもあります。誤解を防ぐためには「8月31日」「10日の午前」のようにより細かい数値で確認するか、あるいは他の言葉に置き換えて確認するのがベターです。