「9月末迄開催中」「お問合せは佐藤迄」のように「迄」は距離的・時間的な範囲や到達点を示す際に用いられる表現です。本記事ではこの「迄」の意味や読み方をはじめ、その使い方を例文で詳しく解説します。また、漢字で書く場合と意図的にひらがなで表記する場合の違い、使い分けについても触れています。
「迄」の意味や読み方とは?
「迄」の意味は”限度や範囲を意味する表現”
「迄」の意味は、“動作や物事のおよぶ範囲や時間的な限度、到達点を示す際に用いられる表現”です。たとえば、「15日迄にご連絡ください」と期限を明示する場合に用いたり、「東京から大阪迄」と距離的な範囲を示す際にも使うことができます。また、「遠路はるばる大阪迄」「お問合せは下記迄ご連絡ください」のような使用も可能です。
漢字「迄」の読み方は”まで”、”いたる・およぶ”という読みも
「迄」という漢字は“まで”という読みのほか、“およぶ(迄ぶ)”や“いたる(迄る)”といった訓読み、「コチ・キツ」という音読みもあります。漢字としては「いたる・およぶ」という意味があるとされています。
ひらがな「まで」との使い分けとは?
公用文では「迄」はひらがなで書くのが一般的
一般に「迄」はひらがなで書かれることが多いのは、常用漢字外であるためです。「常用漢字」とは、法令や公用文書等における漢字使用の目安とされるもので、新聞等多くの人が目にするものはたいてい常用漢字で書かれます。
加えて、「迄」のような助詞や助動詞はひらがなで書くのが原則とされています。たとえば「迄」以外にも「~において(於いて)」などもひらがなを原則とする良い例です。ただし、こうした決まりごとは主に公用文書に言えるものであり、一般的なビジネスシーンでは「迄」と「まで」のどちらが間違いというわけではありません。
漢字が続く場合には「迄」ではなく「まで」がベター
ビジネスシーンでは、常用漢字のルールに従うというよりは、見た目の読みやすさを理由にひらがなを推奨する声もあります。たとえば、「今迄大変御世話になりました」とすると漢字が続き読みにくい印象を与えます。このような場合には「今まで大変お世話になりました」のように上手く調整すると、受け手に配慮した文章となることから使い分けのひとつの目安にするとよいでしょう。
「迄」の使い方と例文とは?
日時と共に使い、期限・締め切りを表す
「迄」の使い方で多いのが、期限や締め切りを表す使用です。「明日迄」「土曜日迄」「15時迄」のように日時と共に使用し、期限を表すことができます。なお、いずれの場合も「迄」とした日時を含みます。
- 展示会は明後日迄開催しています。
- 該当の人は、15日迄にご連絡ください。
ただし、人によっては「土曜日迄にご連絡ください」としておきながら「金曜日(前日)の24時迄」を意図する人もいます。締め切りや期限は信用にもかかわるため、正確な日時をお互いに確認するのがベターです。
距離や到達点を示す際に使うことも可能
「迄」は距離や到達点を示す際にも使うことができます。たとえば、「ここ迄来たら、目的地はもうすぐだ」などといった使用です。また、「名古屋から東京迄新幹線で移動する」のような使用も、この例です。
人を指して「迄」と使うこともあります。たとえば、「ご不明点は佐藤迄お問合せ下さい」や「お問い合わせは下記迄」などの使用例が挙げられるでしょう。
- 面接では本社迄お越しいただきます。
- あそこ迄いけば目的地が見えるはずだ。
- 私、山田迄ご連絡くださいませ。
程度を表す際に「これほど迄に~」と使うことも
「迄」は、「これほど迄に」と使うと”これほどにも・こんなにも”の意味になります。思いの強さなどの程度を表す言い回しとして使うことができます。
- これほど迄に君を想っているのにどうしてわかってくれないのか。
- これほど迄にSNSに没頭するとは以前の私では考えもしなかった。
- 結婚するとこんなに迄変わってしまうのか。
限定的な意味で「~する迄だ」と使うことも可能
「~する迄だ」とは、”それに限る・ただ~するだけだ”という意味です。「聞いてみた迄だ」というと”聞いてみただけだ”という意味になり、「ただ聞いただけでそれ以上の意味はない」というニュアンスになります。
- 天気がいいから出かける迄だ。特に予定はない。
- 部下としてただ報告する迄だ。
- ご連絡ありがとうございました。取り急ぎ、拝読のご報告迄。
極端な例を強調して使用する場合も
先の「~する迄だ」の使用例もやや強調の意味を含んでいますが、ほかにも「~に迄…される」のような言い回しは極端な例を挙げて強調するような文脈で用いられます。たとえば、「実の子どもに迄毛嫌いされている」「同期に迄叱責された」などの使用が挙げられます。どちらかというとネガティブな動詞を伴って使用されるのも特徴と言えるでしょう。
まとめ
「迄」は、”明日迄・土曜日迄”のように日時を用いて期限・範囲を示す場合のほか、”東京迄・あちら迄”のように到達点示したり、「佐藤迄ご連絡ください」のように問い合わせ先を明記する際にもよく見かける表現です。このほか、強調のニュアンスでの使用など多様な意味を持つ「迄」ですが、特に公的書類というではひらがな表記が一般的です。ただし、個人的な使用では漢字表記が誤りというわけではなく、余程漢字が続いて読みづらい場合を除いては差し支えないでしょう。