「尚」の2つの意味とは?名前の読み方や使い方の例文・熟語も解説

「尚、詳細は後日ご連絡します」と情報を付け足したり、「今尚雨が降り続いている」と状況を言い表したりする際に「尚」という単語を用いることがあります。この「尚」はどのような意味なのでしょう。「尚」の詳しい意味とその使い方を例文で解説します。また、「尚更」や「時期尚早」などの熟語や英語訳も紹介します。

「尚」とは?

接続詞「尚」の意味は”その上に加えて”

「尚」の意味は、“その上に、加えて”です。接続詞として、前の文章を補足する際に「尚、~」として後に書き続ける場合です。先の文章では説明しきれなかった部分を補う場合に使います。

副詞としての「尚」の意味は”まだ・引き続き”

「尚」には副詞として“まだ、引き続き”意味もあります。たとえば、「今尚」や「今も尚」などが代表例で、”依然として~している”の意味を表現したい場合に用いられます。

「尚」の読み方は”なお”、名前では「ひさし・たかし」

「尚」の読み方は“なお”です。接続詞、副詞どちらの場合でもこの読み方です。同じ意味で「猶(なお)」の字を用いられることもあります。

「尚」の字には、”くわえる・たっとぶ・とうとぶ”の意味があり、訓読みでは「尚ぶ(たっとぶ・とうとぶ)」という読みもあります。人名としては“ひさし・たかし”などの読みで用いられていて、多様な読みを持つ単語と言えるでしょう。

「尚(なお)」は漢字よりもひらがなで用いられる

「尚」は公用文ではひらがなで用いられるのが一般的です。漢字表記でも誤りではないため、ビジネスシーンでは漢字表記が用いられる例も少なくはありません。

「尚」の使い方と例文とは?

接続詞としての「尚」は情報を付け足す役割を持つ

「尚」は接続詞として文頭で用いられることの多い表現です。特に、ビジネスシーンでは何か情報を付け足す際に「尚、」として書きだすことも多いでしょう。先に書いた文章について、補足の情報を示す際の常套表現です。

例文
  • 次回の営業会議は木曜、10時より実施します。尚、次回よりオンライン会議となりますので、事前に接続確認をお願いいたします。
  • 明日はおおむね晴れの予報です。尚、明後日以降は雲が多いため、行楽の予定は明日がおすすめです。
  • 尚、当店ではクレジットカードはご利用いただけません。

副詞としては「依然として」のニュアンスで使われる

副詞としての「尚」は、”依然として・引き続き”といった意味で物事が続く様を表す際に用いられます。事件のニュースで「犯人は今も尚逃走中です」というフレーズを耳にしますが、「依然として」の意味で使用される代表例と言えるでしょう。

例文
  • 雨は尚、降り続いている。
  • 来季の人事を決める会議が今尚続いている。
  • あの時の衝撃は今も尚覚えている。

「尚更」の意味は”より一層進む様・一段と”

「尚更」とは、”より一層・一段と”の意味で用いられる表現です。物事がより一層前に進む様、程度が高まった様を示します。たとえば「尚更暑い」というと「より一層暑い」という意味になります。

例文
  • 不器用な彼の性格を知っているだけに、尚更嬉しい。
  • 雪深い地域であるのに加え、山間の我が家は尚更寒い。
  • 誤字がなければ尚更素晴らしかったのに。

「尚更」という表現は、「尚更だ」の言い回しでもよく用いられます。たとえば、「ただでさえプレゼンは緊張するのに、社長が出席するとなると尚更だ」と使うと”社長がいるとより一層緊張する”という意味です。また、「英語すらしゃべられないのだから、スペイン語など尚更だ」というと”スペイン語はより一層しゃべられない”という意味になります。

「尚且つ」の意味は”そのうえにまた”

「尚且つ」は、情報を足す場合に用いられる表現で”そのうえにまた・そのうえさらに”などの意味です。「且つ(かつ)」には”同時に・また”という意味があります。

例文
  • 彼は仕事ができ、尚且つユーモアもあるから上司の信頼も厚い。
  • スピーディで、尚且つおいしいことでこの店は評判だ。

「尚」を使った熟語・四字熟語とは?

「尚」は音読みにすると「ショウ」と読みます。「ショウ」と読んだ場合、いくつかの熟語がありますので意味とともに紹介します。

「尚」を使った熟語の例

「尚」を使った熟語の例をいくつかご紹介しましょう。

  • 「高尚(こうしょう)」 格が高いこと、学問などの程度が高く上品なこと。
  • 「尚古(しょうこ)」 古い制度、文物などに憧れ、尊ぶこと。
  • 「尚武(しょうぶ)」 武道や軍事などを大切なものととらえること。
  • 「和尚(おしょう)」 仏教の僧侶。

「時期尚早」とは”まだ早すぎる”という意味の四字熟語

「尚早(しょうそう)」とは、”そのことをするには早すぎる”という意味です。「時期尚早」の形で用いられることも多いですが、「尚早」だけでも同じニュアンスを出すことができます。

例文
  • プロジェクトマネージャーに立候補したが、上司に時期尚早だと一喝された。
  • 私には時期尚早といったところだ。

「尚」の英語訳とは?

「尚」は英語では”As a side note”などで表現

接続詞として情報を付け足す際の「尚」は英語では“As a side note,~(ついでに言うと、ちなみに)”“In addition to this,(これに加えて)”と表現することができます。いずれも、情報を足す際に使える表現です。

副詞として「依然として」の意味で使われる「尚」は”still”や”yet”の英訳が可能です。たとえば、「He is still sleeping.」は”彼は今尚寝ている”という意味になります。

「尚更」は英語で”more”や”further”など

このほか、「尚更」は“more”“further”あるいは“less”“still less”などを使用します。

意味によって使用する単語が変わってくるので、「尚」の意味をうまくかみ砕いて意訳することが求められるでしょう。

まとめ

「尚」は接続詞として情報を付け足したい場合に、副詞としては「依然として」の意味で使用されます。「尚更」や「尚且つ」といった表現で用いられることも多いでしょう。接続詞などは公的な書面ではひらがなで表記するのが原則であることから、これにならってひらがなで使用すべきという意見もありますが、ビジネスメール等では「尚」と漢字で表記しても間違いではありません。