「隠密」の意味と読み方とは?使い方や例文・類語との違いも解説

「隠密」には二通りの意味があり、「隠密に行動する」という表現のほか「スパイ」のニュアンスでも使うことができます。この「隠密」の詳しい意味やその読み方について解説しました。また例文や類語、英語訳など関連用語のほか、しばしば「隠密」と対比される「忍者」との違いについても紹介します。

「隠密」の意味と読み方とは?

「隠密」の意味①隠して何かを行うこと

「隠密」の意味は、“他の人に悟られないよう隠して行動を起こすこと・人目を避けて、何か事を起こすこと”です。「隠れて何かをすること」やその様子を「隠密」と表現します。

「隠密」の意味②忍びの者・間者

「隠れて行動する」という意味から派生して、「隠密」は“忍びの者・間者(かんじゃ)”の意味も持ちます。

この意味での「隠密」は一般に、戦国時代から近世にかけて、幕府などに所属してスパイ活動を行った下級武士を指すことが多いでしょう。主君の命を受け密偵活動をした「隠密」ですが、武士とは言え身分は低かったとされています。ただし、時代によっては「隠密=忍者」の場合もあるなど、厳密には重なる部分もあるようです。

「隠密」の読み方は”おんみつ”

「隠密」の読み方は、“おんみつ”です。「隠密」の「隠」は、”かくす・かくれる”という意味を持つ漢字で、「密」は”ひそか・こまかい・すきまがない”などの意味があります。なお、一般には「おんみつ」と読むことが多いですが、「いんみつ」の読みが用いられることもあります。

「隠密」の使い方と例文とは?

「隠密に」や「隠密の」などの表現で用いる

「隠密」は、「隠密に」あるいは「隠密の」といった表現で用いられることが多いでしょう。人に隠れて何かをする様、人目を避けて行われる物事であることを表現する際に用いられます。

例文
  • 隠密に計画していたはずが、いつの間にか周知の事実となっていた。
  • 本日、取締役を集めた隠密な会談が開かれた。
  • 上司に偶然出くわしたが、その隠密な雰囲気に声をかけられなかった。

「隠密行動」として使うことも多い

「隠密行動」とは、文字通り”隠密に行動すること”を意味します。「隠密行動をとる」などの表現で用いられます。

例文
  • これ以上隠密行動を続けることはできないだろう。
  • 隠密行動にはまず、相応の準備が必要だ。

「隠密」の類語とは?

「隠密」の類語は”内密・極秘”

「隠密」と似た意味の表現(類語)では、“内密”“極秘”など「秘密」のニュアンスを持つ表現が挙げられます。たとえば、「内密(ないみつ)」とは、”表沙汰にしないこと・内々”を意味し、「極秘」とは”絶対的な秘密・外部に絶対もらしてはならないこと”を意味します。

例文
  • くれぐれも内密にお願いします。
  • 各国の要人たちが極秘に会談したそうだ。

「非公式」も似た意味を持つ表現

「隠密」と似た意味を持つ表現としては、“非公式”も挙げられます。「非公式」とは、”公式ではないこと・表向きではないこと”を意味する表現です。表立って行うのではなく人目を避けて行われること、という意味では「隠密」に通じる意味があります。

たとえば、「日本を隠密に訪問する」は”日本を非公式に訪問する”と言い換えることができるでしょう。

「忍びの者」のニュアンスでは”回し者・スパイ”などの言い換えも

「忍びの者」としての”隠密”は”回し者”と言い換えることができます。「回し者」とは”内情を探るために差し向けられた者”を指します。「敵の回し者」や「ライバル店の回し者」などの使用が可能です。このほか、「スパイ」や「工作員」なども似た意味を持つ表現です。

「隠密」と「忍者」の違いは諜報活動の有無

「忍びの者」としての「隠密」は、しばしば「忍者」と対比されますが、「忍者」は忍び装束(黒い忍者服)に身を包み、情報収集(盗み聞き)や要人暗殺などを担うのが特徴です。これに対し「隠密」は特定の職業に身を包み活動するのが特徴で、情報収集のみならず情報をばらまいて人々をかく乱するなど諜報活動を行う点で異なるとされています。

「隠密」の英語訳とは?

「隠密の」は英語で”undercover”

「隠密の」を意味する英語表現には“undercover”が挙げられます。「undercover」には”秘密の・内密の”などの意味があります。たとえば、「undercover action」は”隠密な行動”、「work undercover」で”隠密に動く”となります。

また、「秘密の」という意味を持つ単語には「covert」も挙げられます。特に、国家の秘密情報活動などを指して用いられることが多いのが特徴で、「covert operation」で「隠密行動、秘密工作」などの和訳が宛てられます。

まとめ

「隠密」とは、”人に悟られないよう隠れて行動すること、人目を避けて何かをする様”を意味します。また、その意味から派生して密偵活動・諜報活動をする者を指して用いられることもあります。「隠密」は”おんみつ・いんみつ”のどちらの読みも間違いではありませんが、一般には「おんみつ」と読むことが多いでしょう。