「故意に」の意味とは?使い方の例文解説と類語・対義語も紹介!

「故意にけがを負わせる」など「故意に」という単語はニュースでもしばしば見聞きする表現で、刑法とも深いかかわりを持つ単語です。ここでは、「故意」の意味とその使い方を、刑法での使用例と併せて解説します。また、類語や対義語、英語訳などの関連用語についても紹介します。

「故意」の意味とは?

「故意」の意味は”わざとすること”

「故意(こい)」の意味は、“わざとすること”または“その気持ち”です。「意図的に何かをする様」あるいは「意識して何か行動をとること」を指して「故意」と使用します。

刑法上は「罪となる事実を認識していること」の意味に

「故意」は事件に関する報道でもよく用いられますが、法律上は「他人の権利や利益を侵害する結果を認識しながら、それを容認してその行為におよぶこと」を指します。また、刑法においては「罪となることを認識していること・罪を犯す意思」を指す単語としても用いられます。

「故意」の使い方と例文とは?

「故意に~する」「故意的」と使う

「故意」は「故意に~する」という表現で用いられることが多いでしょう。たとえば「故意にけがを負わせる」「故意に連絡を怠る」などといった使用が可能です。また、「故意的に」の表現で用いられることもありますが、この場合も「故意的に~する」と使い方に大きな違いはありません。

例文
  • 今回の件が故意的に起こされたものだということは既に察しがついている。
  • 故意に間違ったのであれば、話は別だ。
  • 人混みで明らかに故意にぶつかられたということは一度や二度ではない。

好ましくない事柄に使うことが多い

「故意」という単語は、一般にあまり好ましくない事柄に用いられるのも特徴です。たとえば「故意に連絡を怠る」という場合、「本当は連絡が必須であることを知っていたのに連絡しなかった」のように、「連絡しない」ことが好ましくない行為であるというニュアンスを暗に含みます。そのため、ネガティブな印象を避けたい場合には言い換えが必要です。

たとえば、「故意に接触する」というと良からぬ企みが伺える表現となりますが、「さりげなく接触する」「意識して接触する」とすると悪い印象を与えずに済みます。一方で悪気がないことを示す際に「故意ではありません」といった使い方も可能です。

「未必の故意」は犯罪者の心理状態を表すことば

「故意」を使った表現に「未必の故意」があります。「未必の故意」とは「もしかしたら犯罪行為になるかもしれない」と思いながらその行為に及ぶ心理状態を表します。積極的に罪を犯そうと思ったわけではないものの、その行為が犯罪につながるかもしれないと認識した上で敢えてその行為に臨む心理を指す表現です。

「もしかしたら…」という不確かな状況ではあるものの、この「未必の故意」が認められる場合は有責性があるとみなされるため、罪に問われることになります。

「故意」と類語の違いとは?

類語①「意図的」とは”目的がありわざと行うこと”

「意図的」とは”はっきりとした目的があり、わざと物事を行うこと”を意味します。「故意(的)」は明確な目的がない場合でも用いることができる一方で、「意図的」は”明確な目的・理由・狙い”があるのが特徴です。また、「故意(的)」がネガティブな事柄に用いられるのに対し、「意図的」は良い意味でも悪い意味でも使えるのが特徴です。

例文
  • 誰かが意図的に改変したに違いない。
  • 意図的に残業を増やしている。

類語②「作為的」とは”企みがあり、わざと物事を行うこと”

「作為的(さくいてき)」とは、”何か企みがあって、わざと行うこと・わざと手を加えること”を意味します。「故意(的)」とは異なり、何らかの目的・企みがある場合に用いられる表現ですが、ネガティブな行動に対して用いられる点では「故意(的)」と共通しています。

例文
  • 作為的に仕組まれたに違いない。
  • フェイクニュースとまではいかなくても、作為的な記事が出されることも珍しくはない。

他にも「わざと」「殊更」などが似た意味を持つ表現

「故意」と似た意味を持つ表現には上記の他にも「わざと」や「殊更」などが挙げられます。「殊更(ことさら)」は、”とりわけ”の意味がある一方で「わざわざ・わざと」の意味も持つ単語です。たとえば、「殊更に邪魔をする」というと”故意に邪魔をする”という意味になります。

「故意」の対義語・反対語とは?

逆の意味を持つ表現は「過失」

「故意」と反対の意味を持つ単語は「過失」が挙げられます。「過失(かしつ)」とは、「不注意などで生じた過ち、しくじり」という意味です。「そうするつもりは全くなかったのに、思いがけずそうなってしまった」というような状況が「過失」です。

一方で、特に刑法における「過失」は「行為者が不注意によって、犯罪発生の防止策を取らなかったその落ち度ある態度」という意味になります。「業務上過失致死傷罪」などでもよく耳にします。

「恣意」や「偶然」も「故意」とは対義的表現

「恣意(しい)」とは、「思いついたままの考え、気ままな考え」という意味の単語です。「わざと」という意味を持つ「故意」に対し、「思いついたまま」というニュアンスを持つ「恣意」は対義的表現と言えるでしょう。

また、「意図したわけではなく、思いがけなくおこったこと」を意味する「偶然」も「故意」とは反対の意味になります。

「故意」の英語訳とは?

英文では「intentionally」や「deliberately」 を使う

「故意」を英語で表現する場合には、“intentionally”“deliberately”を使用します。たとえば、「She deliberately hid the information from me.」とは”彼女は故意に情報を隠した”という意味になります。また「~するつもりである」という慣用表現「mean to」を使って”故意に~する”というニュアンスを出すことも可能です。

例文
  • I didn’t mean to do it―it was just an accident. (故意ではありません、ただの偶然です)
  • I did it intentionally.(私は故意にやりました)

まとめ

「故意」とは端的に言うと「わざと」という意味で、「故意に~する」などの表現で用いられます。「故意」と似た表現には「意図的」「作為的」などが挙げられますが、それぞれ意味合いが少しずつ異なります。「故意」は具体的な企みや目的がない場合でも用いることができますが、ネガティブなニュアンスを伴う点が特徴です。悪気があったわけではない、という意味では「故意ではありません」などの表現で使うこともできます。