「生業」の意味とは?使い方の例文と類語・英語表現も紹介

「生業」とは仕事のことと漠然と解釈されている方も多いかと思いますが、厳密にいえば「生業」と「仕事」、また「稼業」や「職業」とは違いがあります。この記事では、「生業」の意味や読み方、その由来の他に、使い方や類語などを例文と併せて解説します。またコラムとして「生業扶助」についても説明します。

「生業」とは?

「生業」の意味は”生計を立てるための活動”

「生業」の意味は、“生計を立てるための活動のこと”です。サラリーマンのように雇用主から給料をもらっている職種ではなく、主に自営業で営まれる職業について使われる言葉です。

「生業」の読み方は”なりわい”

「生業」の読み方は“なりわい”です。「せいぎょう」や「すぎわい」という読み方もあるのですが、一般的には「なりわい」と読まれます。

「生業」の由来は”農業”

「生業」はかつて「すぎわい(生業)」と言われていたのですが、時代とともに「なりわい」へと変化していきました。この「生業」の語源は農業に携わることです。

その昔、生活を支えるための手段が主に農業だったことから、生きるための業として農業がありました。そのため農業またはその作物を「生業」と呼んだのです。

「生業」の使い方と例文とは?

「生業」は主に自営業でできる職種について使われる

「生業」は主に自営業として営まれる職種に使われます。会社員のように雇用されて給料をもらう仕事には使いません。

自営業の人が生活を支えるための職業を伝えるときに「私の生業は農業です」のように使ったり、店を経営している場合には「生業として」という表現を文頭に用いて、経営している店を続けるといった使い方をします。

「生業」を使った例文
  • 私の生業は漁師である。
  • 農業を生業としている。
  • 生業として、旅行代理店をしています。
  • 生業として、飲食店を経営しています。

※「私の生業はサラリーマンです」とは言わない。

生業に励んでいるときには「生業に熱を入れる」など

生業に励んでいるときには、「生業に熱を入れる」などの独特な言い回しがあります。その一部を紹介しましょう。

「生業」を励んでいるときの言い回し
  • 生業に熱を入れる。
  • 生業に励む。
  • 生業に精を出す。

「生業」の類語と例文とは?

類語①「稼業」には金銭を稼ぐという意味が含まれる

「稼業(かぎょう)」は「生業」とほぼ同義語で、その意味は生計を立てるための活動です。「生業」との違いとしては、「稼業」には生計を立てるために金銭を稼ぐという意味が含まれていることです。「生業」には生計を立てるための活動という意味なので金銭を稼ぐという意味合いは暗に含まれているのですが、その意味は表立っていません。

「稼業」の例文
  • タクシー運転手を稼業にしている。
  • 稼業に精を出す。

類語②「職業」は生計を立てるための活動の種類全般を指す

「職業」は「生業」と同じく生計を立てるための活動という意味の言葉ですが、「生業」と「職業」の違いは、「職業」は生計を立てるための活動での種類全般を指すのに対して、「生業」は限定的な使われ方をします。

「職業」では医者、弁護士などの肩書として使える職種の他にも、サラリーマンはOLなどにも含まれます。一方「生業」はサラリーマンやOLには使えないという特徴があります。

「職業」を使った例文
  • その失業者は職業に就く機会が与えられた。
  • 新しい職業を探す。

※「生業に就く」や「生業を探す」という表現はない。

類語③「仕事」は生計を立てる活動の内容を指すことがある

「仕事」も「生業」と同じく生計を立てるための活動という意味の言葉です。ただし「仕事」はその活動の内容を指すことが多いという特徴があります。

例えば、「警察官という仕事」と表現したとき、職業としての警察官を指していることもあれば、その業務内容を指していることもあります。

「仕事」の例文
  • これまでの仕事に見切りをつけて、新しい仕事を探し始めた。
  • 仕事を変えてみたら、すべてがうまくいった。

「生業」の英語表現とは?

「生業」は英語で”livelihood”

「生業」は英語で“livelihood”と言います。「livelihood」は生計や暮らしという意味でも使われる英単語です。

「livelihood」という表現よりもより自然な言い方として、「生業」を”生計を立てる”と意訳して「to make a living」や「do something for a living」という表現もできるでしょう。また「生業」を”職業”と言い換えて「occupation」が使われることもあります。

「生業」の英語例文

「生業」の英語例文をご紹介しましょう。

  • “As a livelihood, I run a restaurant.”
    「生業として、レストランを経営しています」
  • “He is making a living as a teacher.”
    「彼の生業は教師です」

【コラム】「生業扶助」とはどんな扶助?

「生業扶助」とは生活困窮者を助けるための給付金

「生業扶助」とは、生活困窮している世帯の自立を助けるための給付金です。国が定めた最低限度の生活ができるように国民を保護する制度として生活保護制度があるのですが、「生業扶助」はその制度で定められた8つの扶助のうちのひとつです。

「生業扶助」の4つの種類

「生業扶助」には4つの種類があり、その概要は次の通りです。

  • 「生業費」:小規模な事業を起こすための費用
  • 「技能習得費」:就職するための技能を身につけるために資格などを取得するための費用
  • 「高等学校等就学費」:中学や高校などで就学するための費用
  • 「就職支度費」:就職が決まってから働くために必要な衣類などを購入するための費用

「生業扶助」の申請は福祉事務所で行う

「生業扶助」だけの申請はできず、生活保護の申請をすることになります。生活保護の申請は住んでいる地域の福祉事務所で行います。

生活保護の申請は生活が困窮していれば誰でもできますが、主に次のような条件がありますので申請前に確認しましょう。

生活保護申請の主な条件
  • 世帯収入が最低生活費より少ない場合。最低生活費は、世帯ごとの人員やその年齢、また地域によっても異なり、その内訳は食費などの生活扶助と住居を確保するための住宅扶助の合計金額になります。
  • 働けない。
  • 働く場所がない。
  • 資産を活用しても生活ができない、など。

また「生活保護費」については下記のページに詳しく解説してありますので、ご参照ください。
「生活保護費」の金額はいくら?計算方法や内訳・加算金も解説

まとめ

「生業」とは生計を立てるための活動のことですが、会社員を生業とするという使い方はしません。「生業」は主に自営業で営む職種のことを指し、「生業とする」や「生業として」、また「生業に精を出す」などの言い回しもあります。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。