「人の噂も七十五日」とは?意味・由来から対義表現まで解説

「人の噂も七十五日」とは人々を騒がせたり、悩ませたりする「噂」に関することわざですが、どのような意味・思いが込められているのでしょう。本記事では「人の噂も七十五日」ということわざの意味や由来、例文をはじめ、類語・対義語や英語訳などについて解説します。

「人の噂も七十五日」の意味とは

「人の噂も七十五日」は「どんな噂も一時的なもの」という意味

「人の噂も七十五日」とは「世間で人々が噂をしていても、それは75日程度のこと」つまり「人の噂は一時的な物で、永遠に続くわけではない」という意味のことわざです。「人々があれこれ騒ぎ立てていても、やがては自然に忘れてしまうものである」という噂の性質、人間の性質を言い表したものともいうことができます。

「噂など放っておけばよい」という意味が込められた表現

「人の噂は七十五日」は単に「そう長くは続かない」という噂の性質を言い表したものであるだけでなく、「どうせそのうち噂は忘れられるのだから放っておけばよい」という意味にもとることができます。つまり、「いっときの噂に踊らされるな、惑わされるな」「噂など気にすることはない」というメッセージを含んだ表現でもあるのです。

読み方は「しちじゅうごにち」が正解

「人の噂は七十五日」の「七十五日」は「しちじゅうごにち」と読みます。「ななじゅうごにち」とは読みません。

また、「人の噂は四十九日」「人の噂は四十五日」などという人もいますが、いずれも誤りです。「四十九日」は仏教用語のひとつで、仏教では死後から次の生を受けるまでの期間を49日とし、「四十九日法要」を行うのが通例ですが、「人の噂は~」ということわざとは無関係です。「四十五日」という数字もおそらく「七十五日」の聞き間違いなどによる誤りでしょう。

「人の噂も七十五日」を使った例文

  • あんな噂、気にすることはないよ。所詮、人の噂も七十五日だ。すぐに忘れるさ。
  • 人の噂も七十五日というが、当事者としては1日でも早く忘れてほしい。
  • あれ程連日報道していたのに、今では誰も話題にしない。人の噂も七十五日とはまさにこのこと。
  • 人の噂も七十五日というが、企業の不祥事をただの「噂」で終わらせてはいけない。

なぜ「七十五日」?由来とは

「七十五日」の日数は昔の季節のとらえ方に由来する

「人の噂の七十五日」はなぜ「七十五日」なのでしょう。その由来には諸説ありますが、一般には「五季節」の考え方に由来するとされています。「五季節」とは、春夏秋冬の四季に、土用を含めたものです。現代でも「夏の土用」にはうなぎを食べる風習がありますが、本来は季節の変わり目に「土用」はあったのです。

一年を5つの季節に分けると考えた場合、単純計算するとひとつの季節が73日と「ほぼ75日」になります。そこから、「季節が変わる頃には噂も聞かれなくなる」という意味で「人の噂も七十五日」としたという説が有力とされています。

このほかにも、農作物の種まきから収穫までが約75日であることから、噂の種が撒かれてから75日程で収束を迎えるという説、あるいは75日経つと収穫で慌ただしくなるため噂どころでないからとする説などもあります。

ネット社会での実際はもっと長い?

「人の噂は七十五日」と言われるように、連日ワイドショーをにぎわせたゴシップニュースも2~3か月もすればおのずと誰も話題にしなくなるものです。しかし、ネット社会である現代では、忘れ去られたような話題でもインターネットで検索すればいとも簡単に入手することができます。また、ネットに書き込まれた情報は拡散され、削除をしてほしくてもすべてを追うことは難しいでしょう。

こうした理由から、現代では「人の噂は七十五日どころではない」という見方をされることも多いようです。

「人の噂も七十五日」の類語・対義語

似た意味を持つことわざは「世の取り沙汰も七十五日」

「人の噂も七十五日」と似た意味を持つことわざには、「世の取り沙汰も七十五日」が挙げられます。「世の取り沙汰も七十五日」の「取り沙汰」とは「うわさ」を意味し、「人の噂も七十五日」と同義にとることができるでしょう。このほかにも、「善きも悪しきも七十五日」も類義のことわざです。

反対の意味を持つのは「虎狼より人の口恐ろし」

「人の噂も七十五日」は、「いずれ噂など忘れられるから大したことはない」というニュアンスも含みますが、反対に「人の噂は恐ろしいものだ」という意味を持つのが「虎狼より人の口恐ろし」です。これは、「虎や狼による被害は防げるが、人の陰口・中傷は防ぎようがないので恐ろしい」という意味です。大したことはない、気にすることはないという意味も含む「人の噂も七十五日」とは対義的と言うことができるでしょう。

「覆水盆に返らず」も対義的表現といえる

「たった一度の噂でもなかったことにはできない(忘れ去られはしない)」という意味では、「覆水盆に返らず」が挙げられます。「覆水盆に返らず」とは、「一度起きてしまったことは二度と元には戻らない」ことのたとえで、「一度してしまった過ちは取り返しがつかない」という意味です。2~3か月で噂など忘れられるという意味の「人の噂も七十五日」に対し、取り返しがつかないことを意味する点で反対の意味を持つと言うことができます。

このほか、「百日の説法屁一つ(長い間の苦労が、ちょっとしことで台無しになることのたとえ)」なども、「人の噂も七十五日」とは反対の意味を持つことわざとして挙げられます。

「人の噂も七十五日」の英語訳とは

英語では「A wonder lasts but nine days」

「人の噂も七十五日」と似た意味を持つことわざは英語にもあります。「A wonder lasts but nine days」です。直訳すると「驚きも9日しか続かない」「不思議がるのも9日間だけ」といった意味になるでしょう。

日本語の「人の噂も~」のことわざに比べると随分日数が短いですが、これは英語圏で多いカトリックでは9日間を区切りとする祭事が多いことに由来するとされています。このほか、子犬が産まれてから目があくまでとされる9日間にちなみ、その間は人々が気にかけ注目するから、という説もあるようです。

まとめ

「人の噂も七十五日」とは、「人の噂は所詮75日程度のものである」つまり「いずれは忘れ去られるもの・一時的な物である」という意味のことわざです。「噂など気にすることはない」あるいは「一時的なうわさに踊らされるべきではない」というメッセージにも読み取れるでしょう。とはいえ、ネット社会である現代では、単なる「噂」も一気に拡散され半永久的に残ることもあります。実際にはことわざ通りといかないことも多いと推察されます。