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「セイレーン」とは?「ローレライ」「人魚」との違いや絵画も紹介

「セイレーン」とはギリシャ神話に登場する怪物です。鳥または魚の下半身をもち、美しい歌声で船乗りを惑わします。

この記事では「セイレーン」の特徴や神話での登場シーン、「セイレーン」という名がもつ意味を解説します。くわえて「セイレーン」と「ローレライ」「人魚(マーメイド)」との違いも解説しましょう。

「セイレーン」とは?

「セイレーン」とは”ギリシャ神話の怪物”

「セイレーン」とは、“ギリシャ神話に登場する怪物”のことです。海に住んでおり、2~5人の姉妹だと言われていますが構成人数は諸説あります。「セイレーン」は自身の美しい歌声で人を惑わし、海に引きずりこんだり、人の肉を食べたりしたことから怪物と呼ばれています。

「セイレーン」は鳥の下半身をもつ

「セイレーン」は女性の上半身に、鳥の下半身をもつ怪物です。背中には大きな翼が生えていますが、翼を失った姿で描かれている物語もあります。また、中世以降は鳥の下半身ではなく、人魚のような魚の下半身をもつ姿で描かれるようになりました。

鳥と魚の2種類がある理由としては、ギリシャ語の「羽根」と「鱗」が同じ表記であるため混同されたという説があります。

「セイレーン」の意味は”干上がる”

「セイレーン」の名前は”干上がる・ひもで縛る”を意味する「Seirazein」が語源だと言われています。ただ、神話ではセイレーンの歌を聞くために身体をひもで縛るシーンがありますが、干上がるシーンはありません。

「干上がる・ひもで縛る」が語源というのは1つの説であり、確定ではないことを覚えておきましょう。

「セイレーン」と「ローレライ・人魚」の違いとは?

セイレーンは海、ローレライは川に住む

「セイレーン」とよく似た生き物に「ローレライ」が挙げられます。「ローレライ」とはドイツのライン川にいるとされる精霊です。本来はライン川にある岩を「ローレライ」と呼びますが、川で事故が多発したことから「岩上の少女が船乗りを惑わし、水底に誘い込む」という話に変わり、その少女を「ローレライ」と呼ぶようになりました。

「水辺に住んで船乗りを惑わせる」という点が共通している「セイレーン」と「ローレライ」ですが、「セイレーン」は海に、「ローレライ」は川に住むという違いがあります。また、「セイレーン」は古代ギリシャより伝えられる古い伝承ですが、「ローレライ」は伝承ではなく小説家による創作だと言われています。

セイレーンと人魚(マーメイド)は姿が違う

人魚伝説は世界中にあり、「セイレーン」も広義の人魚として扱われることがあります。人魚(マーメイド)と言えば、女性の上半身に魚の下半身をもつ姿が一般的です。しかし、「ローレライ」は魚の下半身だけでなく、鳥の下半身をもち、羽がある姿でも描かれるという違いがあります。

「セイレーン」のギリシャ神話での登場シーン

セイレーンの歌に惑わされた男「オデュッセウス」

ギリシャ神話では「セイレーン」が歌を歌って、船乗りの男性を惑わせるシーンがあります。神話に登場する英雄「オデュッセウス」はセイレーンの歌声を聞こうと、自身を船のマストに縛り付けます。

残りの船員は耳栓を使っていましたが、耳栓をしていないオデュッセウスは歌に惑わされ、暴れ出しました。その後、耳栓をした船員によって船が進められ、オデュッセウスは正気を取り戻したのです。

誘惑に失敗したセイレーンは自殺する

神話の中では、歌での誘惑に失敗したセイレーンが自殺する様子が描かれています。『アルゴナウティカ』という書物では、琴の名手である「オルペウス」がセイレーンに対抗して琴を演奏します。

船員のほとんどがオルペウスの琴に聞き惚れ、セイレーンに惑わされなかったことから、セイレーンは海に飛び込み自殺しました。

絵画では『ユリシーズとセイレーンたち』『飽食のセイレーン』が有名

ギリシャ神話の「セイレーン」を題材にした絵画は多くあります。1909年に描かれた『ユリシーズとセイレーンたち』という絵では、マストに縛り付けられた「オデュッセウス」に、3体のセイレーンが群がる様子が描かれています。

また、1905年に描かれた『飽食のセイレーン』も有名です。セイレーンの姿は物語によって異なりますが、『飽食のセイレーン』では大きな翼をもつ鳥の姿で描かれています。ちなみに『ユリシーズとセイレーンたち』では人魚の姿をしており、水からあがったセイレーンはヒレのない女の姿で描かれています。

「セイレーン」の英語表現とは?

「セイレーン」は英語で”Siren”

「セイレーン」の英語表現には“Siren”が当てはまります。本来はギリシャ語で「Seirenes」と表したのが、ラテン語の「Siren」へと変化し、英語でも「Siren」の形で使われるようになったのです。

「サイレン」の語源は「セイレーン」にある

「Siren」は”サイレン”の語源でもあります。「サイレン」は”警報音などの大きな音をだす装置”また”その装置からでた大きな音”を意味する単語です。神話に登場するセイレーンが歌で人を惑わしていたことから、音をだす装置に「サイレン」と名付けられました。

まとめ

「セイレーン」とはギリシャ神話に登場する怪物です。自身が住まう海で、美しい歌声を使って船乗りを惑わしていました。似た生き物に「ローレライ」や「人魚(マーメイド)」がいますが、住んでいる場所や姿が異なるため、完全に同一というわけではありません。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。