「損して得取れ」の意味とは?仕事や人間関係での事例・対義語も

「損して得取れ」は、ビジネスシーンでもよく耳にする言葉です。一時的な損をしても大きな利益が返ってくるという意味で、商売の心構えとして座右の銘にしている人も多くいます。

この記事は「損して得取れ」の意味や使い方、商売や人間関係の事例などの解説です。類語・対義語についてや英語表現も紹介します。

「損して得取れ」の意味とは?

意味は「損することで大きな利益につながること」

「損して得取れ(そんしてとくとれ)」とは「一時的に損をしたとしても、将来的に大きな利益として返ってくるようにしなさい」という意味の言葉です。「損」には「利益を失う」という意味があり、「得」には「利益」や「もうけ」という意味があります。

最初は損をしても、投資することで大きな利益に繋げていく方が良いという逆説的なことわざです。目先の利益にとらわれず先に投資をして大きな利益を得るというビジネスシーンの考え方としても使われています。

「損して得取れ」の由来は「損して徳取れ」

「損して得取れ」はもともと「損して徳取れ」と表記していました。「徳」とは「他人からの信頼」や「社会的価値」のこと。損な役回りや大変なことでも一生懸命にやっていれば、いずれ周囲の人からの信頼や社会的地位の向上につながります。

目先の利益を得ようとするのではなく、善意で人に尽くしたり損な役回りをしたりしていると、いずれ人望が認められ周囲からの信頼を得られるという意味です。

「損して得取れ」の使い方と例文

「損して得取れ」はビジネスマンの座右の銘

座右の銘とは、自分に対する励ましや戒めとして大切にしている言葉のこと。

「損して得取れ」はビジネス用語ではありません。しかし、商売の心得として使われることが多いこと、ビジネスには信頼関係も大切という理由から「座右の銘(ざゆうのめい)」としているビジネスマンも多くいます。

「損して得取れ」を使った例文

  • あの会社は、損して得取れの精神でここまで事業を拡大した。
  • 売れ行きの悪かった商品のサンプルを配ったら、急に売れ始めた。損して得取れとはこういうことか。
  • 社長のモットーは「損して得取れ」だ。いつも顧客の利益になることを考えている。

「損して得取れ」をビジネスで使った場合の事例

事例1:商売や仕事での「損して得取れ」

商売や仕事などのビジネスシーンでは、商品やサービスを売るマーケティング手法のひとつとして「損して得取れ」という言葉が使われます。

例文
  • 新しい化粧品のサンプルを配ることで、商品自体の購入に繋げる。
  • スポーツジムの初回利用料を無償にすることで、継続的利用に繋げる。

消費者が新しい商品やサービスを利用する場合には、その使用感や品質が気になるもの。そこでまずは試してもらうためにサンプル品を配ったり、初回の利用料を無料にしたりします。その初期投資が「損して」です。

消費者は、気軽に試すことでその商品やサービスへの好感度が上がります。さらに、使用感が良ければその後の購入や利用につながるため、長い目で見ると利益につながるのです。これが「得取れ」です。

事例2:人間関係の考え方としての「損して得取れ」

「損して得取れ」は、人間関係の考え方としても使う言葉です。

例文
  • 誰に対してもあいさつをすることで周囲の信頼を得る。
  • 普段から困っている人の手助けをすることで周囲から人望を認められる。

普段から、周囲の人に対して気づかいをしたり手助けをしたりと、自分の損得を考えずに行動することが「損して」です。そうすることで、周囲から信頼を得て手助けしてもらえるようになり「徳」を得ることができます。これが「得取れ」です。

人間関係での「損して得取れ」は、もともとの由来である「損して徳取れ」の意味と言えます。

「損して得取れ」の類義語(類語)とは

「損して得取れ」の類義語1:「損せぬ人に儲けなし」

「損せぬ人に儲けなし(そんせぬひとにもうけなし)」とは、損をこわがっている人は儲けを得ることもできないという意味。ビジネスシーンでは、利益を得るために損をすることが必要です。

たとえば、必要な人員や設備を整えるなど設備投資をすることで、大きな成果や利益が戻ってくることになります。しかし、必要な設備投資をしない場合には大きな利益を上げることは難しいでしょう。ある程度の損失を覚悟しないと、大きな利益を上げることはできないという、商売に対する心構えを表現しています。

特にビジネスシーンで使う場合は、「損して得取れ」とは同じ意味と言えるでしょう。

「損して得取れ」の類義語2:「負けるが勝ち」

「負けるが勝ち(まけるがかち)」とは、争わず相手に勝ちを譲ることで、結果として自分の勝利に繋がるという意味のことわざです。

勝つことばかり意識をして相手と争っていると、その場では自分が勝ったとしてもお互いに傷つけあうことで関係性が悪くなってしまいます。自分が負けることで相手との関係性を良好に保つことは、結果として勝つことに繋がるのです。

「損して得取れ」とほぼ同じ意味と言えますが、シーンによって使い分けると良いでしょう。

関連記事:「負けるが勝ち」の意味や由来とは?類語・事例に合わせた例文も

「損して得取れ」の対義語と英語表現

「損して得取れ」の対義語は「一文惜しみの百知らず」

「一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず)」とは、目先の小さな金銭を惜しんで、後で大きな損失をすること。また、そのことに考えが及ばないことという意味。一文とは江戸時代の貨幣のことで、わずかな金銭な価値の低いものをさします。目先のことや小さな出費にこだわることで、先が見通せないという意味のことわざです。

一時的に損をしても結果的に大きな利益として返ってくるという「損して得取れ」に対し、「一文惜しみの百知らず」は目先の損失を惜しむことで結果的に損をすることに気づかない見通しの甘さを表現します。

「損して得取れ」は英語で「Sometimes the best gain is to lose」

「損して得取れ」の英語で表現するには「Sometimes the best gain is to lose」という英語のことわざが適しています。「gain」は「利益」という意味の単語。「時に損をすることが最高の利益になる」という意味のフレーズです。

まとめ

「損して得取れ」とは、「一時的に損をしたとしても、将来的に大きな利益として返ってくる」という意味のことわざです。商売の心構えや人間関係の考え方としても使われ、座右の銘とするのにも適しています。

商売やマーケティングの手法として、ビジネスシーンでも心にとどめておきたい言葉です。