「十二分」の意味と由来・語源とは?言い換え表現も例文で解説

「十二分に力を発揮する」「十二分に注意する」など、「十二分」という単語を使って表現することがあります。この「十二分」とはどのような意味なのでしょう。本記事では「十二分」の意味や使い方のほか、その語源・由来についても紹介します。また、「十二分」の言い換え表現、英語訳についても触れています。

「十二分」の意味とは?

「十二分」の意味は”十分すぎる程満たされている様”

「十二分(じゅうにぶん)」の意味は、“十分すぎる程たっぷりしている様、余裕があるほど満たされていること”です。「満ち足りていて不足がないこと、完全である様」を意味する「十分」を強めた表現です。

なぜ「十二分」?語源・由来は中国語

「十二分」という単語の語源には諸説ありますが、そのひとつが中国語の「十二分」という単語に由来するという説です。中国語の「十二分」もまた、「十分」よりも程度が強いことを意味する単語で、日本語の「十二分」と同じ意味で用いられます。

また、日本語の「十分」には”等しく十に分ける”という意味がありますが、その等分にした10分の1を12個あつめて「十二分」としたとする説もあります。端的に言うと「十分=100%」で、それをさらに強めて「120%」にしたのが「十二分」という考え方です。これもまた、「十二分」が”十分すぎるほど”という意味で用いられるようになった由来とされる説のひとつです。

「十二分」の使い方と例文とは?

「十二分に発揮・十二分にある」など”十二分に”と使うことが多い

「十二分」は、”十二分に~する”という表現でしばしば用いられます。たとえば、「十二分に力を発揮する」とは”十分すぎる程力を発揮する、力を存分に出し切る”といったニュアンスになります。「十二分にある」というと”余裕なほどある”という意味です。非常に満ち足りている様を表しています。このほか、「十二分の~」という表現で使うことも可能です。

例文
  • 練習の成果を十二分に発揮することができたので悔いはない。
  • 知識と経験を十二分に活用し、契約締結までこじつけた。
  • 時間は十二分にあるから落ち着いて対応しよう。
  • 料理は十二分に用意した。あとは来客を待つのみだ。
  • その可能性は十二分にある。検討しよう。

「十二分」は様々なシーンで使用できますが、”十二分に楽しんだはずだ。いい加減帰ろう。”というように、「過剰である」というニュアンスを伴って用いられることもあります。

「十二分に注意します」は”慎重を期す”ことを意味する

「十二分に注意します」とは、”少しの隙もないように、念には念を入れ注意する様”を表します。「慎重を期す・万全を期する」ともいうことができるでしょう。「くれぐれも…」と相手に注意を促したい場合にも使うできます。

例文
  • 雪の日には足元だけでなく公共交通機関の状況にも十二分に注意すべきだ。
  • 契約書作成の際は、細かい文言まで十二分に注意が必要だ。
  • 十二分に注意をしてください。

「十二分に承知」とは”十分すぎる程わかっている”の意味

「十二分に承知している」とは、”十分すぎるくらいに分かっている”ことを表します。

例文
  • 彼の性格は十二分に承知している。
  • ○○さんとは前職からの長い付き合いなので十二分に承知した間柄だ。
  • 手続きに関しては十二分に承知していたはずが、思いがけないミスをしてしまった。

「十二分」の類語・言い換え表現とは?

似た意味の表現は「十分」や「存分」

「十二分」と似た意味の表現は「十分」や「存分」が挙げられます。先にも触れたように、「十二分」は「十分」を強めた表現ですが、「十分」も”不足している部分がなく満足できること”を意味するため、似た表現ということができるでしょう。

一方「存分」には、”満足のいくまですること、物事を思い通りにすること”という意味です。たとえば「力を存分に発揮する・存分に楽しむ・存分な活躍を期待する」などの表現で用いられます。

「遺憾なく」「申し分ない」との言い換えも可能

「十二分」は”遺憾なく・申し分なく”などの表現に言い換えられる場合があります。「遺憾なく~する」とは”心残りがないほど十分に”、「申し分ない」は”指摘する箇所がない”という意味です。いずれも、「十二分」のように満ち足りている様を言い表す際に使用できます。

「十二分」の言い換え表現を使った例文

「十二分」の言い換え表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • 練習の成果を遺憾なく発揮してほしい。
  • 彼なら実力も経験も申し分ないはずだ。

「十二分」の英語訳とは?

「十二分に」は英語で”more than enough”

「十二分に」は英語で“more than enough”という表現を使用することが多いでしょう。「more than enough」は直訳すると”十分以上に、十分より多く”となります。また、「quite enough」の表現でも”十二分に”のニュアンスを出すことができます。

「十二分に」の英語を使った例文

「十二分に」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • You have done more than enough.(きみは十二分にやったよ)
  • We have had quite enough, thank you.([ごちそうは]十二分に頂きました、ありがとう)

このほか、「She was more than pleased.」なども「彼女は十二分に喜んでいた」と和訳を当てることができます。

まとめ

「十二分」とは”余裕があるほど満たされている様”を意味し、「十分」を強めたワードとして使用することができます。「十二分に力を発揮する」や「十二分に楽しむ」「十二分に気を付ける」など様々なシーンで使用することができる表現です。単に「十分に~」としても大抵の場合意図は通じますが、より強調したい場合に「十二分」は用いられます。