「ブラフマー(梵天)」とは?ヴィシュヌ・シヴァとの関係も解説

「ブラフマー」とはインド神話に登場する神様です。最高神の1柱でもあるブラフマーが、仏教では「梵天」と呼ばれることを知っていますか?
この記事では「ブラフマー」の特徴や「ヴィシュヌ」「シヴァ」との関係を解説します。くわえて「ブラフマー」が創った武器「ブラフマーストラ」についても解説しましょう。

「ブラフマー」とは?

「ブラフマー」とはインド神話の神様

「ブラフマー」とは、“インド神話に登場する神様”のことです。宇宙や生命を創りだした創造神で、最高神の1柱でもあります。「ブラフマー」という名前は、インド哲学における宇宙の原理「ブラフマン」を擬人化させたものだと言われていますが、不確定な部分があるため断定はできません。

他にも「スワヤンブー」や「バーギーシャ」という呼び名もあり、「スワヤンブー」は”自ら産まれるもの”を、「バーギーシャ」は”言葉の王”をそれぞれ意味します。

「ブラフマー」は4つの顔と腕をもつ

「ブラフマー」は4つの顔と4本の腕をもつ姿で描かれています。4つの顔は前後左右に1つずつ付いており、4本の手には数珠や水の入った器など、知識や創造を表すものを持っています。

ブラフマーの力の源は、妻である学問の女神「サラスヴァティー」でした。そのため、サラスヴァティーをいつでも目に入れられるよう、4つの顔をもっていると言われています。

「梵天」はブラフマーの仏教での名前

「ブラフマー」は仏教で”梵天(ぼんてん)”と呼ばれています。バラモン教やヒンドュー教で信仰されていた「ブラフマー」が、仏教に取り入れられて「梵天」という名が与えられました。

妻である「サラスヴァティー」には「弁才天(べんざいてん)」という仏教での名が与えられ、日本では「七福神」の1柱として信仰されています。「梵天」と「弁才天」は、仏教の守護神である「十二天(じゅうにてん)」の1柱でもあります。

ブラフマーストラは武器の名称

「ブラフマーストラ」は「ブラフマー」が創ったとされる武器の名前です。直訳すると「ブラフマーの矢」という意味になり、その名の通り弓矢の形で描かれることが多くあります。「ブラフマーストラ」を使えるのはブラフマー以外にも存在し、英雄の「ラーマ」や「アルジュナ」が使えたとされています。

インド神話でのブラフマーの登場場面

「ブラフマー」が宇宙や生物を創造する

「ブラフマー」は宇宙や生命など、あらゆるものを創造した神です。ブラフマーが宇宙を創るとき「地・水・火・風・空」の五大元素を創りますが、実体化することはできませんでした。そこでブラフマーは水のなかに種をまき、種から黄金の卵を創ります。

ブラフマー自身が黄金の卵に入って生まれる出ることで、肉体を得たのです。半分に割れた黄金の卵は、片方が天に、もう片方が地になったとされ、そこから世界の様々なものが生まれました。ただ、ブラフマーの生まれには諸説あり、最高神の1柱である「ヴィシュヌ」のヘソから生まれたという説もあります。

「ブラフマー」は誰の願いでも叶える

インド神話では苦行を行ったものに対し、「ブラフマー」が願いを叶えるシーンが描かれています。苦行を行ったものであれば人間・神関係なく願いを叶えていたため、神の敵がブラフマーによって力を与えられ世界の主権を握ることもありました。

たとえば、神々の敵対者であるアスラ(魔族の総称)の1人「ヒラニヤカシプ」は、ブラフマーに「誰にも、どこにいても、何を使っても殺されない体」を願い、叶えてもらいます。

「ブラフマー」は釈迦の悟りを広めた神

「ブラフマー」は釈迦の悟りを広めた神でもあります。釈迦は当初、自身が開いた悟りを民衆へ広めようとしませんでした。人々は煩悩にまみれているため、教えを説いたとしても真理を悟ることはできないと考えたのです。

しかし、釈迦の前に現れた梵天(ブラフマー)が、一部の穢れが少ない人は釈迦の教えによって悟ることができると説得します。梵天の願いに応え、釈迦は自身の悟りを広めることにしたのです。

「ブラフマー」と「ヴィシュヌ」「シヴァ」の関係とは?

「ブラフマー」と「ヴィシュヌ」「シヴァ」は3柱で1つ

「ブラフマー」と同じ最高神に当てはまるが「ヴィシュヌ」と「シヴァ」です。ヒンドュー教には「三神一体(さんしんいったい)」という教えがあり、「ブラフマー」「ヴィシュヌ」「シヴァ」の3柱で1つとされています。本来は1柱である神を3つの姿に分けることで、それぞれに能力をもたせたのです。

ブラフマーが創造を、ヴィシュヌが維持を、シヴァが破壊を司っており、力関係は同等だと言われています。ブラフマーが創ったものをヴィシュヌが維持し、シヴァが破壊して再度ブラフマーが創ることで世界が流れるのです。

現代ではヴィシュヌ派とシヴァ派の勢力が大きい

「ブラフマー」と「ヴィシュヌ」「シヴァ」はそれぞれ同等の力を持ちますが、現代ではブラフマーの人気が少ない傾向にあります。最高神であり創造神でもあるブラフマーですが、宇宙を創りだしたことから宇宙そのものとして捉えられるようになり「身近でない」「抽象的」などの理由から信仰が薄れたのです。

一方で「ヴィシュヌ」と「シヴァ」は、二大神と呼ばれるほど信仰を集めています。ヒンドュー教徒の大半がヴィシュヌ派とシヴァ派で占められており、現代でも人気の宗派となっています。

まとめ

「ブラフマー」とはインド神話に登場する創造神です。「ヴィシュヌ」と「シヴァ」とともに最高神に数えられ、それぞれが「創造」「維持」「破壊」を司ります。現代ではヴィシュヌ派とシヴァ派の勢力が大きく、ブラフマーの影響力は少ない傾向にあります。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。