「処遇を改善する」「改善計画を立てる」など、「改善」という言葉はビジネスシーンでもよく耳にするものです。この「改善」とは具体的にはどういった場面で用いられるのでしょう。「改善」の意味とその使い方を例文を用いて解説します。また、「改良」をはじめとした類語との違いや対義語、英語訳についても紹介します。
「改善」の意味とは?
「改善」の意味は”悪いところを改め、よくすること”
「改善」の意味は、“悪いところを改め(あらため)、より良い状態にすること”です。ミスや欠陥などを改めて、より好ましい状態・より望ましいものにすることを「改善」といい、そのための取り組みや工夫を指して「改善」ということもできます。
「改善(Kaizen)」は”改善活動・改善提案”の基本
「改善」は日本の製造業において、工場(現場)の作業者が中心となり知恵を出し合いながら制作・改造すること、あるいはその戦略を指す言葉としても用いられます。
こうしたものづくりにおける「改善」は、日本の製造業で生まれた言葉として「カイゼン」とカタカナ表記を用いる、あるいは「Kaizen」と表記されるなど、国外でも通用するワードです。
上からの指示ではなく現場の作業者目線で、課題を見つけて業務を改善する。製造業だけでなく、多くのビジネスシーンで必要とされる「改善提案」や「改善活動」に通じる姿勢だと言えるでしょう。
「改善」の使い方と例文とは?
「改善(名詞)・改善する(動詞)」の使い方
「改善」は、”改善の要望”や”改善の提案”など名詞で使える他「改善する」の形でもしばしば用いられます。主に、行動や目的、考え方など抽象的な事柄に対して使う表現です。また、ビジネスシーンでは「効率化を図る・無駄を省く」というニュアンスで「業務を改善する」と使うことが多いのも特徴です。
- 業務改善計画を作成する。
- 改善の要望がある以上、無視することはできない。
- 処遇の改善を求める。
- この点は改善する必要があるだろう。
「改善の余地がある」は”まだ改善できる”という意味
「改善の余地がある」とは、”まだ改善できる部分がある”という意味です。言い換えると、「まだ悪いところが残っている」という意味ともいうことができるでしょう。反対に、「これ以上よくすることはできない、直すところはもう残っていない」という意味では”改善の余地がない”と表現します。
- まだまだ改善の余地がある。もう一度考えてみよう。
- これだけ知恵を絞ったのだから、もはや改善の余地はないだろう。
「改善の見込みがある」は”今後よくなるかもしれない”という可能性
「改善の見込みがある」とは、”今後よくなるかもしれない”という可能性を表現しています。対して、「改善の見込みはない」というと”これ以上よくなる可能性はない”という意味です。
- 改善の見込みがないと言われてしまった。
- 節約できるとこはないというが、内の家計はまだまだ改善の見込みがあると思う。
「改善」の類語・類義語とは?
「改善」の類語・類義語は”改良”
「改善」の類語では”改良”が挙げられます。「改良」とは、”悪い部分をあらため良いものにすること”という意味で、「改善」と同じニュアンスを持つ表現です。ただし、「改善」と「改良」は使う対象が異なります。
「改良」は、具体的な物事に対して用いられる単語です。たとえば「品種改良」や「勤怠システムの改良」など、具体的な事物・物理的な事柄を挙げて用いられる点が大きな特徴です。
これに対し、「改善」は”業務の改善・関係の改善”など行動や目的などといった抽象的な事柄に対して使う点で異なります。
「是正」も改善の類義語(類語)のひとつ
「改善」と似た意味の表現では”是正”も挙げられます。「是正(ぜせい)」とは、”悪い点を改めて正しくする”という意味です。「改善」と似た意味を持ちますが、「是正」は明確に悪い・良くないとされる事柄をあらため、普通の状態にするという意味です。一方の「改善」は必ずしも悪い点・間違っている点に用いるわけではないこと、また、良い方向へと改めるという意味を持つ点で異なります。
「改善」の対義語とは?
「改善」の対義語は”改悪”
「改善」の対義語は”改悪”です。「改悪(かいあく)」とは、”変更を加え以前よりも悪い状況になる”という意味です。何らかの理由で変更が加わった際に、以前よりも使いにくくなった・状況が悪くなったことを指して「改悪」と言います。
「維持・保守」なども対義的な表現
「改善」が”良い方向へと改める”という意味なので、「良い方向へと改めるのではなく、そのままにする」という意味の”維持”や”保守”も対義的な表現ということができるでしょう。
「維持(いじ)」とは”物事をそのままの状態に保つこと”、「保守(ほしゅ)」とは”それまで続いてきた状態を維持し続けること”という意味です。
「改善」の英語訳とは?
英文では”improvement(名詞)”や”improve(動詞)”を使う
「改善」を意味する英単語は“improvement(名詞)”や“improve(動詞)”が挙げられます。たとえば、「労働環境の改善」は”improvement of working condition”と表現することができるでしょう。
「改善」の英語表現を使った例文
「改善」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。
- I think it needs a lot of improvement.(多くの改善が必要だと思う)
- There is still room for improvement.(まだ改善の余地がある)
- Conditions have improved over the last 20 years.(この20年で状況は改善した)
まとめ
「改善」とは”あらため、より良い状態にすること”という意味です。主に、行動や考え方など抽象的な事柄に用いられるのが特徴で、ビジネスシーンでは「業務の改善=無駄を省くこと」の意味合いでもよく用いられます。一方、類語「改良」は具体的・物理的な事物を挙げて用いられるのが特徴です。意味はほぼ同じでも使用シーンが異なるため注意したい表現です。