「咎める」の意味と使い方とは?言い換えや類語「責める」との違いも

「部下を咎める」「良心が咎める」などと使う「咎める(とがめる)」には複数の意味があります。本記事では、「咎める」の詳しい意味を例文で解説するとともに、「責める」「非難する」などの類語とその違いについても触れています。また、「咎める」の英語表現も併せて紹介します。

「咎める」の意味と読み方とは?

「咎める」の意味①責める・非難する

「咎める」の意味は、“過ちや罪、欠点などを責める・非難する”ことです。「責める」とまではいかなくても、”怪しんで問いただす”という意味でも用いられます。

たとえば、「警官に咎められる」とは、”責められる”という意味にも「挙動などを怪しんで問いただされる」という意味のどちらにもとることができるでしょう。

「咎める」の意味②心を痛める

「咎める」には、“心を痛める”という意味もあります。たとえば、自分の過ちなどを「悪いことをしたと思い、心を痛める」ことを言い表す際に「咎める」と使います。

上記以外に、「咎める」には”傷などをいじって悪くする、悪くなる”という意味もあります。「傷が咎める」などの表現がこの意味になりますが、一般にはあまり使用されないでしょう。

読み方は「とがめる」、漢字「咎」には”つみ”という意味も

「咎める」の読み方は、“とがめる”です。「咎」の漢字には”とが・罪・過ち”などの意味がありますが、この「とが」とは”人から責められるような行為・過ち・罰されるべき行為・非難されるべき欠点”などの意味を持ちます。

「咎める」の使い方と例文とは?

「咎める」は立場が上の人から下の人に使う

「咎める」は、人の過失を”責める・非難する”という意味で用いられることが多いでしょう。「過失を咎める」がその代表例です。一般に、「咎める」は立場が上の人が下の者を責める様を表す際に使用します。「子どもを激しい口調で叱責する」というニュアンスでも「咎める」と使うことも可能です。

例文1:「責める・非難する」の意味で使う場合

「咎める」を”責める・非難する”という意味で使う場合の例文をご紹介しましょう。

  • 部長に呼び出された。おそらく先日のミスを咎められるのだろう。
  • 重大な報告を忘れていたので、同僚にまで咎められた。
  • こどものいたずらを咎めるのは我が家ではわたしの役割だ。
  • たまたま早く帰宅した父親に日ごろの怠惰を咎められた。

「咎める」は”心が痛む”という意味で使うこともある

「咎める」を”心が痛む”というニュアンスで使用する場合は、「気が咎める」の形で用いられることが多いでしょう。たとえば、「あんなことをするべきではなかった」と自己嫌悪に陥っているような場合や罪の意識、やましさを感じているような様を「気が咎める」と表現します。仮に相手がさほど気にしていないような失敗であっても、自分が後悔している場合には「気が咎める」と表現しても問題ありません。

例文2:「心が痛む」の意味で使う場合

「咎める」を”心が痛む”の意味で使う場合の例文をご紹介しましょう。

  • 今更ながら気が咎める。
  • 良心が咎めるとはこのことだ。

「咎める」の類語と言い換え方とは?

「咎める」の類義的な表現は”責める・非難する”

「咎める」と似た意味の表現では”責める”や”非難する”といった表現が挙げられます。「責める」とは”相手の過失や怠慢などを指摘して非難する”という意味です。「非難する」とは”過失や欠点を取り上げて責める”ことを意味します。

「咎める・責める・非難する」はいずれも類語関係にありますが、中でも「責める」は単に”過失を指摘する”だけでなく”反省を促す”意味を含むとも言われます。また、「非難する」は一方的に過失を責める際に使うことが多いのが特徴で、「政治家を非難する」のよう使い方も多いのが特徴です。

また、「咎める」は立場が上の者が下の者に対する言動を指すのに対し、「責める」や「非難する」は立場は問題とされない点も相違点です。

「詰る・追及する」と言い換えられる場合も

「咎める」は”詰る(なじる)”や”追及する”と言い換えられる場合もあるでしょう。「詰る」とは、”相手の過失や悪い点を責め、問い詰める”ことを意味します。「なじる」とひらがなで書かれることも多いです。「追及する」とは”追い求めること”を意味しますが、「過失の原因や責任を問いただすこと・追い詰め責め立てること」という意味でも用いられます。

このほか「詰問する(きつもんする)」や「難詰する(なんきつする)」などといった”責め立て、問い詰める”という意味の単語も「咎める」とは似た意味の表現ということができるでしょう。

「咎める」の英語訳と例文とは?

「責める・非難する」の意味では”blame”や”reproach”

「責める・非難する」という意味での「咎める」は“blame”“reproach”と英訳されます。「blame」には”責める、~にせいにする”という意味が、「reproach」には”非難する、叱る”という意味があります。また、「非難する」という意味を持つ「criticize」なども「咎める」の和訳が宛てられるワードのひとつです。

例文
  • I don’t blame you.(あなたを咎めるつもりはない)
  • Our boss likes to criticize ones’ failures.(上司は人の欠点を咎めるのが好きだ)

「気が咎める」は”feel guilty”と英訳

「気が咎める」は、英語では「罪悪感を抱く」という意味で“feel guilty”と英訳することができるでしょう。「I feel guilty.(気が咎める)」「I feel guilty about having told a lie.(嘘をついたことに気が咎めている)」などと使うことができます。

まとめ

「咎める」とは”過失を責める、非難する”という意味のほか、”心が痛む”という意味で用いられます。「責める」という意味では立場が上の者が下の者に対して非難する様に用いられるのが特徴です。この意味では、会社では上司の言動に使う他、親が子供を叱る際にも使用されることがあります。複数の意味を持つ単語なので、意味に応じた使い方が求められます。