「イシス」とは?エジプト神話「オシリスとイシスの伝説」も解説

「イシス」とはエジプト神話に登場する女神です。「豊穣の女神」や「月の女神」として有名なイシスですが、一方で「魔術の女神」として強大な力をもっていたことを知っていますか?この記事では「イシス」が登場する「オシリスとイシスの伝説」の内容や、他の女神との関係を解説しましょう。

「イシス」とは?

「イシス」はエジプト神話の女神

「イシス」とはエジプト神話に登場する女神です。イシスは豊穣を司る女神で、背中にトンビの翼をもつ姿で描かれています。また、時代が進むにつれて牛の角と太陽を頭から生やした姿や、小さな玉座を頭にのせた姿でも描かれます。

イシスは大地の神と天空の女神を親にもつ

イシスは大地の神「ゲブ」と天空の女神「ヌト」から生まれました。ゲブとヌトはイシスの他に、冥界の神「オシリス」と戦いの神「セト」、葬祭の女神「ネフティス」をもうけます。イシスは兄弟であるオシリスと結婚し、残りの兄弟であるセトとネフティスが結婚しました。

「月の女神」「復活の女神」とも呼ばれる

「イシス」は豊穣の女神でありながら、「月の女神」や「復活の女神」「魔術の女神」とも呼ばれます。「月の女神」については諸説ありますが、月が母性などの女性原理の象徴であることから、神話の中で息子を守り抜いたイシスを表しているという説や、豊穣の女神は月の女神と関わりがあるとする説などがあります。

また、「復活の女神」と「魔術の女神」の名はエジプト神話の物語に由来しており、殺された夫を魔術で蘇生させたことから付けられた呼び名です。

「フィラエ神殿」はイシスを祀った神殿

「フィラエ神殿」は女神イシスを祀った有名な神殿です。「イシス神殿」とも呼ばれるフィラエ神殿は、エジプト南部のフィラエ島に位置します。イシスはフィラエ島で子どもを産んだとされており、レリーフや石像など多くの芸術品が残されています。

「オシリスとイシスの伝説」とは?

「オシリスとイシスの伝説」は王位をめぐる物語

エジプト神話のなかでも有名な物語が「オシリスとイシスの伝説」です。イシスの夫であるオシリスの王位をめぐる物語で、イシスの「息子を守る強き母」としての一面や「夫を思う献身的な妻」としての一面が描かれています。

また、妻や母としてだけでなく、物語のなかでは強大な魔力をもつ「魔術の女神」としての一面も見せます。

イシスの夫「オシリス」がセトに殺される

「オシリスとイシスの伝説」はイシスの夫「オシリス」が、彼の弟「セト」に殺されることから始まります。セトはオシリスが神々の王になることを妬み、オシリスを殺して遺体をバラバラに捨ててしまいます。オシリスを亡き者としたセトは、王位を引き継いで神々の王になったのです。

イシスはオシリスの遺体を集めて蘇らせる

夫を殺されたイシスは嘆き悲しみ、バラバラにされたオシリスの遺体を回収します。ミイラづくりの神である「アヌビス」が遺体を繋げ、イシスと妹「ネフティス」の魔術によってオシリスは蘇りました。しかし、集めた遺体の1部が欠けていたことから、オシリスは地上に留まることを許されず、冥界の王として死者の国へ下ったのです。

イシスはオシリスの復活を喜び、彼が冥界へ下る前に息子の「ホルス」をさずかります。イシスがオシリスを蘇らせたことから「復活の女神」という名が、オシリスに魔術を使ったことから「魔術の女神」という名が与えられたのです。

ホルスの勝利によって長い争いが終わる

セトの妨害がありながらも、イシスはなんとかして息子「ホルス」を育てます。イシスは成長したホルスを連れて、神々の宮廷へ向かいました。神々の前でホルスが正当な王位継承者であることを主張しますが、セトの味方をする神もいるため、イシスの思い通りにはなりません。

痺れを切らしたセトは、ホルスに最後の勝負を持ちかけます。見事戦いにかったホルスは、無事神々の王になることができたのです。物語の終わり方は諸説あり、イシスが若い女に化けて、セトを陥れたという説もあります。

蛇を使って太陽神の力を得た話もある

ホルスが神々の王になれたのは、イシスの魔術のおかげだという説もあります。セトとホルスの王位争いが続くなか、イシスは太陽神「ラー」に毒蛇を放ちます。猛毒に苦しむラーに対し、イシスは「苦しみから解放されたければ、あなたの秘密の名を明かしなさい」と言いました。

ラーの「秘密の名」を知ったイシスは、ラーがもつ魔力と権力を得ます。さらに、ホルスにもラーの名を教えることで、彼にも同等の力を与えたのです。これにより、セトへ対抗する力をつけ、王位を勝ち取ったという説もあります。

「イシス」と関係のある女神

「ハトホル」はイシスと同一視される女神

「ハトホル」はイシスと同一視される女神です。「ハトホル」はエジプト神話で愛と美を司ります。エジプト神話のように多くの神々が登場する物語では、似た能力や逸話をもつ神々が1柱として扱われることがあり、これを「習合」と呼びます。イシスとハトホルも習合により同一視されていますが、本来は別々の女神でした。

シリウスの女神「ソプデト」はイシスが起源

「ソプデト」はイシスを起源とする女神です。「ソプデト」はイシスと同じ豊穣の女神であるとともに、シリウス星を擬人化した女神でもあります。ソプデトがイシスの化身と言われることから、シリウス星を「イシスの星」と呼ぶこともあります。

まとめ

「イシス」とはエジプト神話に登場する豊穣の女神です。「オシリスとイシスの伝説」という物語では、死んだ夫「オシリス」を生き返らせたことから「復活の女神」や「魔術の女神」とも呼ばれるようになりました。

妻や母として献身的な姿をみせるイシスですが、強力な魔術を使って息子を王の座へ導くなど、立ち回りの上手い一面もあります。

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大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。