「シヴァ神」とは?「ヴィシュヌ神」との関係や日本での名前も解説

「シヴァ神」とはインド神話に登場する神様です。最高神の1柱であり、日本では「大自在天」の名で信仰されています。

この記事ではシヴァを信仰する宗教や、シヴァの特徴である牛やマントラについて解説します。くわえて、シヴァを踏んでいる女神「カーリー」や、「ヴィシュヌ神」「ガネーシャ」についても解説しましょう。

「シヴァ神」とは?

「シヴァ神」とは”インド神話の神”

「シヴァ神」とは、“インド神話に登場する神様”のことです。最も力をもつ最高神の1柱に数えられ、破壊と再生を司ります。シヴァ神には1,000を超える異名があると言われており、表される名前によって慈悲深かったり乱暴だったりと、様々な性格をもちます。

「シヴァ神」の特徴は牛や蛇、ダマル

「シヴァ神」を祀った像には「乳白色の牛」や「蛇」、「ダマル」などをもつ特徴があります。インド神話には神々の乗り物となる動物が登場し、シヴァ神は「ナンディン」という牛に乗る姿で描かれるのです。

また、首に蛇を巻きつけた姿や、砂時計のような形をした太鼓「ダマル」をもつという特徴もあります。他にも額に第三の目をもつ姿や、数珠をもつ姿もありますが、全てが共通するわけではなく像によって持ち物や容姿は異なります。

「シヴァ神」は5つのマントラで構成されている

「シヴァ神」は5つのマントラで構成されています。「マントラ」とはサンスクリット語で「文字」や「言葉」を意味し、1つ1つに神をたたえる歌や祈りが込められているのです。

シヴァ神を構成する5つのマントラはそれぞれが神であり、シヴァがもつ異名のなかの1つでもあります。たとえば、シヴァ神のマントラの1つである「バイラヴァ」は、”恐ろしい者”を意味する「バイラヴァ神」を表します。バイラヴァはシヴァの破壊神としての一面を表しており、人々から恐れられていました。

「シヴァ神」と他の神々との関係とは?

「シヴァ神」と「ヴィシュヌ神・ブラフマー神」は同一神

インド神話に登場する最高神には、「シヴァ神」の他に「ヴィシュヌ神」と「ブラフマー神」がいます。インド神話と密な関係にあるヒンドュー教には「三神一体(さんしんいったい)」という教えがあり、「シヴァ神」「ヴィシュヌ神」「ブラフマー神」は同一の神として対等な力をもっていると言われているのです。

破壊を司る「シヴァ神」に対し、「ヴィシュヌ神」は維持を、「ブラフマー神」は創造を司ります。ブラフマー神が創ったものをヴィシュヌ神が維持し、シヴァ神が破壊すると言われていますが、現代ではブラフマー神の信仰が薄れ、シヴァ神とヴィシュヌ神が多く信仰されています。

「カーリー」はシヴァを踏んだ女神

戦いの女神「カーリー」はシヴァ神の妻です。血と殺戮を好む女神とされており、神話のなかでは神の敵対者である「アスラ」を殺戮した様子が描かれています。そんな彼女を表す絵画や像では、カーリーがシヴァ神を踏んでいる構図が多く見られます。

カーリーは戦の勝利に興奮して踊りだすのですが、踊りがあまりに激しいため大地が砕けそうになりました。夫であるシヴァが衝撃を弱めるため彼女の足元に入り、踊りの勢いのままカーリーはシヴァの腹を踏んでしまうのです。

「ガネーシャ」はシヴァ神の子ども

「ガネーシャ」はシヴァ神と女神「パールヴァティ」の間にできた子どもです。本来は人型の頭をもっていたガネーシャですが、シヴァの怒りにより頭を切り落とされ、代わりに象の頭をもつようになりました。

「ガネーシャ」は学問の神であるとともに、富の神でもあることから現代でも多くの信仰を集めています。

「シヴァ神」がもつ異名を紹介

日本では「大自在天」と呼ばれる

1,000を超える異名をもつと言われているシヴァ神は、日本で「大自在天(だいじざいてん)」と呼ばれています。ヒンドュー教が仏教に取り入れられたときに「大自在天」の名を与えられ、3つの眼と8本の腕をもつ姿で描かれます。

また、「大黒天(だいこくてん)」もシヴァ神を表す名前です。「大黒天」は「七福神(しちふくじん)」の1柱として食物や財福を司ることから、日本では多く信仰されています。

「ルドラ」はシヴァ神の怖い一面を表す

「ルドラ」はインド神話に登場する暴風神です。当初はルドラとシヴァ神の関係は薄く、同一視はされていませんでした。しかし、時代が進むにつれて関連づけられるようになり、シヴァ神の「ルドラは私の化身である」という言葉から、同一視されるようになったのです。

強大な力をもつルドラは恐れられていましたが、人々の健康と安寧を願う神でもあったとされています。

「ナタラージャ」は踊るシヴァ神を表す

「ナタラージャ」もシヴァ神がもつ異名の1つです。「ナタラージャ」は「踊りの王」を意味しており、片足をあげて踊っている姿で描かれます。踊りには108のポーズがあり、それぞれが宇宙の創造や維持、破壊などの意味をもつと言われています。

「シヴァ神」の英語表現は「Shiva」

「シヴァ神」は英語で「Shiva」や「Siva」と表します。ちなみに「シヴァ神」ともに最高神に数えられる「ブラフマー神」は”Brahma”と、「ヴィシュヌ神」は”Vishnu”と表します。

宗教における「シヴァ神」と崇拝の関係とは?

「シヴァ神」はリンガの形でも崇拝される

シヴァ神は人型で崇拝されるだけでなく、「リンガ」と呼ばれる男性器を模した形でも崇拝されます。「リンガ」は円状の台の中心から、円柱がそびえ立つ形をしています。インドの各所にあるリンガですが、シヴァ神の特徴でもある蛇を巻きつけたものや、手のひらサイズのものなど、形や大きさは様々です。

「シヴァ派」はシヴァ神を崇拝する宗教

「シヴァ派」とは”シヴァ神”を最高神として崇拝する宗教です。ヒンドュー教は主に4つの宗派に分かれていますが、その大半が「シヴァ派」と「ヴィシュヌ派」で占められています。

シヴァ派ではシヴァ神の妻である「サティー」や「パールヴァティ」も崇拝され、シヴァ神の特徴でもある「リンガ」も礼拝の対象とされます。

まとめ

「シヴァ神」とはインド神話に登場する最高神です。1,000を超える異名をもつと言われており、日本では「大自在天」や「大黒天」の名で信仰されています。

ヒンドュー教では「ブラフマー神」「ヴィシュヌ神」で一体とされる「三神一体」の教えがありますが、現代ではブラフマー神を除いた「シヴァ派」と「ヴィシュヌ派」が主な宗派となっています。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。