「牽制」の意味とは?野球の「牽制球」やその他の使い方・例文解説

「牽制(けんせい)」は野球でよく聞くワードですが、「諸外国を牽制する動きがみられる」などニュースでも耳にすることがあります。「牽制」とはどういった意味で、どういったシーンで用いられるのでしょう。様々な使い方を例文で解説するとともに、類語や英語など関連用語も紹介します。

「牽制」の意味とは?

「牽制」の意味は”気をひきつけ自由な行動を妨げること”

「牽制」の意味は、“ある行動によって相手をひきつけるなどし、自由な行動を妨げること”です。相手を監視したり、威嚇したりして自由に行動できなくする様、あるいは自分の望むように引き留め行動を妨げることを指して「牽制」といいます。

読み方は「けんせい」、漢字「牽」は”引く”という意味

「牽制」の読み方は“けんせい”です。「牽制」の「牽」には、”ひく・ひっぱる・ひきつける”などの意味があり、「制」には”おさえる”という意味があります。この二つの漢字を重ねることで「相手の注意をひきつけて、行動をおさえる」という先述の意味になります。なお、「牽制」は”けん制”と書かれることもあります。

「牽制」の使い方と例文とは?

「牽制」は野球用語のひとつ、「牽制球」とも

野球における「牽制」とは、走者の盗塁を防ぐためにその塁にボールを投げることを言います。隙を見つけて盗塁しようとするランナーを威嚇するために行われ、走者が塁から離れていた場合には、「牽制」によってアウトとなることもあります。この「牽制」のために投げられたボールが「牽制球」です。

例文
  • 一塁ランナーを牽制する。
  • 二塁走者への牽制が成功した。

ただし、野球で「牽制する」際には「ボーク」に注意が必要です。「ボーク」とは反則行為の一種でいくつかの条件がありますが、「牽制」の際にしっかりと足を踏み出さない場合や投げるふりを繰り返すなどの遅延行為に対して宣告されます。

「牽制する・牽制しあう」とスポーツ以外でも使う

「牽制」は野球以外でも用いられます。自分が望まない行動を相手に慎んでほしい場合にとる言動を「牽制する」、互いの動きを監視し合う様を「牽制しあう」と表現することができます。国家間の動きを言い表す際のほか、日常生活でも「牽制」と呼べる例は意外と多いかもしれません。

例文
  • 度重なる軍事訓練など牽制の動きがみられる。
  • 相手国を牽制する意図で、公表に至ったと思われる。
  • 合コンで狙った相手を仲間内に告げるのは、相手を牽制する意味もある。
  • 競合相手をさわやかな挨拶で牽制する。

「牽制を効かせる」とはやや強いニュアンスを示す

「牽制する」の形で使うことが多いですが、「牽制を効かせる」と使うとやや強い「牽制」の意図を感じさせる表現となります。この場合の「効かせる」は”効き目があるようにする”という意味で用いられていて、「牽制」によって相手の動きをしっかりと妨げるような様、より強い「牽制」のニュアンスが感じ取れるでしょう。

例文
  • ここできめれば決勝進出ということもあり、ピッチャーは牽制を効かせている。
  • 前回のコンペでは競合他社に出し抜かれたため、今回はより一層牽制を効かせている。

「内部牽制」とは不正防止のための内部体制のこと

「内部牽制」とは、社内の不正やミスを未然に防止するための企業内部の体制のことです。万が一、不正やミスが生じた場合にも速やかに発見できる体制も指します。たとえば、ひとつの業務に二人以上の人がかかわり、作成とチェック(承認)を別の人間が行うことも「内部牽制」のひとつです。

「牽制」の類語・類義語とは?

似た意味の表現は「控制」

「牽制」と似た意味を持つ単語は「控制」です。「控制(こうせい)」とは、”おさえとどめること・引き留め自由に行動させないこと”という意味です。また、「自由な行動を妨げる」という意味では「抑制・制限」なども似た意味を持つ表現として挙げられます。

「牽制する」は”睨みをきかせる”とも

「牽制する」は、”監視する・威圧する”など直接的な表現の他、「睨みをきかせる」と言い換えることもできます。「睨みをきかせる」とは”威圧して勝手な行動をとらないようにおさえつけること”を意味します。たとえば、「先輩が睨みをきかせているせいで定時退社できない」などの使用が可能です。

「牽制」の英語訳とは?

「牽制する」は英語では”check”や”containment”などを使う

「牽制」の英訳では”check”や”restrait”、”containment “などが用いられます。「check」には”監視・抑制”などの意味が、「restraint」には”抑制・牽制”などの意味があります。「containment 」も同様で”抑制・束縛”などの意味を持つ単語です。動詞ではそれぞれ、「check」「restrain」「contain」となります。

たとえば、「A国が敵軍を牽制した」は”Country A contained the enemy forces.”、「兄が私を牽制した」は”My brother checked me.”と表現します。

野球の「牽制」は”pick-off”

一方で、野球における「牽制」は”a pick-off”を使用します。「牽制球」は”a pick-off throw”と表現するのが一般的です。

例文
  • pick a runner off base(ランナーを牽制する)
  • He was picked off second base.(二塁で牽制球で刺された)

まとめ

「牽制」とは”相手の気をひきつけ、自由な行動を妨げること”を意味します。野球の「牽制」や「牽制球」で知っているという人も多いですが、端的に言うと「相手が行動をとらないように威嚇する、威圧する」という意味で「牽制する」と使います。国際情勢を言い表す際や「内部牽制」というビジネスワードでも用いられますので、ぜひ覚えておきましょう。