「トト神」とは?アヌビス神との関係やエジプト神話での物語を解説

「トト神」とはエジプト神話に登場する神様です。トキやヒヒなど、動物の頭をもつ姿をしており「知恵の神」や「月の神」として広く信仰されています。

この記事では「トト神」と「アヌビス神」や「ホルス神」「アポフィス」との関係や、エジプト神話での登場場面を解説します。加えて「トト神」の英語表現も解説しましょう。

「トト神」とは?

「トト神」とは”エジプト神話の神様”

「トト神」とは、“エジプト神話に登場する神様”のことです。「トト神」は知恵を司る神で、エジプトだけでなく古代ローマ帝国でも信仰されていました。世界を創ったとする「創造神」の1柱でもあり、トト神は言葉を使って世界を創造したと言われています。

「トト神」は動物の姿で描かれている

「トト神」はトキやヒヒなど、動物の姿で描かれます。人間の体にトキの頭をもつ姿や、ヒヒの体にトキの頭をもつ姿をしており、完全なる人型の姿で描かれることはありません。また、人型ではなく、トキやヒヒそのものの姿であるとも言われています。

「トト神」は多くの異名をもつ

「トト神」は長く信仰された神であるため、たくさんの異名をもちます。有名なものでは「知恵の神」や「創造神」がありますが、他にも「書記の守護者」や「時の管理者」「ラーの心臓」などと呼ばれていました。

「書記の守護者」はトト神が文字を人に伝えたことから付けられた異名です。また、トト神は水時計をつくった神と言われており、暦をつけていたことから「時の管理者」と呼ばれるようになりました。また、「ラーの心臓」はトト神が太陽神「ラー」の補佐を務めたことから付けられた異名です。

「トト神」は英語で”Thoth”

「トト神」は英語で”Thoth”や”Toto”と表します。古代エジプトでは「ジェフティ」と呼ばれていましたが、時代が進むにつれて言葉の発声方式が変化し「トト(トート)」と呼ばれるようになったと言われています。

「トト神」と他の神との関係とは?

「アヌビス神」はトト神と同じ冥界で働く神

「アヌビス神」は「トト神」と同じ冥界で働く神様です。冥界では「死者の審判」という儀式があり、有罪と判断された魂は転生を禁じられていました。死者の審判ではアヌビス神が死者の心臓を天秤で測り、トト神が死者の名前や罪の重さを記録していたと言われています。

「ホルス神」にとってトト神は恩人

「ホルス神」はトト神に命を助けられた神様です。エジプト神話には「オシリスとイシスの伝説」という物語があり、その中でホルスは叔父「セト」の攻撃により左目を失います。ホルスを哀れんだトト神は、魔法を使って彼の目を治してあげました。

また、「オシリスとイシスの伝説」は諸説あり、一説ではホルスがセトに毒殺されたとも言われています。ホルスの死を嘆いた母「イシス」は、悲しみのあまり時を止めてしまいます。そこへ時を司るトト神が現れてホルスの解毒を行い、止められた時間を進めることでホルスは息を吹き返したのです。

「アポフィス」はトト神が働く冥界に捕獲された悪

「アポフィス」とはエジプト神話に登場する悪の化身です。トト神が働く冥界に捕獲されており、死者の魂を食べることから恐れられていました。神話のなかではトト神との関係は薄く、「ラーの敵対者」や「セトに倒される悪」として登場します。

「トト神」のエジプト神話での登場シーンとは?

「トト神」は自力で石から生まれた

トト神が生まれた経緯は諸説ありますが、石から自力で生まれたという話が有名です。世界が創造されたと同時に石から生まれ、早く生まれすぎたために足が不自由だったと言われています。また、戦争の神「セト」の頭から生まれたという説もあります。

トト神は魔法使いとして42冊の本を残す

エジプト神話の中では、トト神が魔法を使うシーンが多く描かれています。たとえば「オシリスとイシスの伝説」では魔法によってホルスの解毒を行っただけでなく、ホルスの母「イシス」を蘇らせました。

「魔術の神」とも呼ばれるトト神は、自身がもつあらゆる知識を42冊の書物に書き留めたと言われています。

トト神は月と勝負して時間を勝ち取る

エジプト神話には、トト神が月と勝負をして時間を勝ち取る物語があります。大地の神「ゲブ」と天空の女神「ヌト」は仲睦まじい夫婦でした。しかし、仲が良すぎたため太陽神「ラー」から”1年のすべての日で子を産むことを許さない”と言いつけられます。

5人の子どもを身ごもっていたヌトは困り果て、トト神に相談しました。そこで、トト神は月と勝負をして5日分の時間を勝ち取ります。1年に加えられた5日間で、無事ヌトは子どもを産むことができたのです。このことから、トト神は「月の神」とも呼ばれています。

まとめ

「トト神」とはエジプト神話に登場する神様です。「知恵の神」や「創造神」として有名ですが、他にも「書記の守護者」や「時の管理者」「月の神」など多くの異名を持ちます。

神話の中では自身の魔法で神や女神を助けたり、アヌビス神と一緒に冥界で死者を裁いたりと、様々な役割を担っています。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。