「義理人情」の意味と使い方は?その特徴や類語・英語訳も解説

「義理人情」は日本では古くから大切にされてきた考え方ですが、現代では「いらない」「嫌い」という声も耳にします。本記事では「義理人情」の意味・使い方をはじめ、「義理人情に厚い人」の特徴や不要と言われる理由についても紹介します。「義理人情」の類語・英語訳など関連用語と併せてみていきましょう。

「義理人情」とは?

 

「義理人情」の意味は”世の中のおきてと人に対する思いやり”

「義理人情」の意味は、“人付き合いや世間一般におけるルールと人に対する思いやり”のことです。

「義理」とは”人間関係における付き合いやその中で嫌でも他人のためにしなければならないこと、道義”という意味です。「人として守るべき正しい道筋、道理」という意味もあります。一方の「人情」とは”人への思いやり、なさけ”という意味です。

「義理」と「人情」には相反する意味がありますが、「義理人情」とした場合は「人間関係や社会的関係を維持するためのルールと思いやり」を指します。

「義理人情」は日本社会で大事にされてきた生活規範でもある

「義理人情」は日本では古くから良しとされてきた考え方で、日本固有ともいえる生活規範です。そのため、「義理人情」はしばしば社会のルール、風俗として紹介されることもあります。「義理人情=社会に必要な物」という目線で語られることが多いのもそのためです。

「義理人情」は大事?それともいらない?

「義理人情」は日本に古くからある価値観ですが、現代においては「義理人情」を疎ましく思う人も少なからずいます。「義理人情」は端的に言うと「人付き合いにおけるルールや思いやり」ですが、「義理人情」の価値観で動くと「(自分ではなく)他人を優先することが増える」というデメリットが発生するためです。自分の時間が無くなる、人のために無条件に時間を割きたくない、合理性に欠ける、などの理由で「義理人情は不要」と考える人もいます。

一方で、現代でも「義理人情」から生まれる信頼感、連帯感は人間関係にプラスにはたらくことも多いものです。「義理人情」にはメリット、デメリットの両方を併せ持つ価値観と言えるでしょう。

「義理人情」の使い方と例文とは?

「義理人情」を使った例文

「義理人情」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 義理人情は日本人のイメージそのままだ。
  • 彼は若いのに義理人情をわきまえている。
  • 義理人情のしがらみには助けられることも多いものだ。
  • ビジネスでは義理人情を抜きに、合理的に考えるべきだ。

「義理人情に厚い(篤い)人」とは手助け・協力を惜しまない人

「義理人情に厚い人」とは、手助けや協力を惜しまない人、思いやりのある人を指す褒め言葉です。「気配り上手で、思いやりのある人」「御世話になった人には恩返しを忘れない人」などに用いられます。また、言葉の意味としては「間違ったことには毅然とした態度で接する人」も含みます。

なお、「義理人情に厚い」は「義理人情に”篤い”」の表記が用いられることもあります。「篤い」とは「病気が重い、気持ちが深い」ことを意味し、「義理人情が篤い」と使っても誤りにはなりません。ただし、常用外漢字ということもあり、一般には「義理人情に厚い」の表現をすることが多いでしょう。

「義理人情がない人・薄い人」とは薄情な人を指すことが多い

一方、「義理人情がない人」とは思いやりに欠けた薄情な人を指して用いられることが多いでしょう。「義理人情に薄い人」あるいは「義理も人情もない人」といった表現も可能です。

たとえば、「思いやりのない冷酷な人・無慈悲な人」は「義理人情がない人」の代表例です。いわゆる「ビジネスライクな人」も「義理人情がない」と言われることがあります。

  • 「お世話になった人に恩返しをするどころか冷たい態度をとる」
  • 「ルールやモラルに反する行動を平気でとる」
  • 「他人に興味がない人」
  • 「自分を最優先する人」

たとえば「仕事で手を貸してあげたのに、助けを求めた時はスルーされた」というような場合に「彼には義理人情がないのか」と非難する例が挙げられます。

ことわざ「義理と人情の板挟み」とは

「義理人情」を疎ましく思う人がいるという点は先述しましたが、「義理人情」に葛藤し、息苦しく感じる様を表した慣用表現には「義理と人情の板挟み」があります。たとえば、社会通念上は良しとされない事柄に自分のきもちが傾いているような状況は、「義理と人情の板挟み」と言えるでしょう。結婚している人を好きになり心苦しく思う様やお世話になった取引先をビジネス上の理由で契約を打ち切るような状況が挙げられます。

「義理人情」の類語とは?

似た意味の表現は「仁義」

「義理人情」と似た意味の表現では「仁義」が挙げられます。

「仁義(じんぎ)」とは、”道徳上守るべき筋道、礼儀やしきたり”という意味があります。また、儒教の教え「5条」のうちのふたつ「仁」と「義」を指すワードとしても知られています。儒教における「仁」とは真心と思いやりを、「義」は人の歩むべき正しい道筋を意味します。

「誠心誠意」や「自己犠牲」も似たニュアンスを含む表現

「義理人情に厚い人」を言い表す際には、「誠心誠意・自己犠牲」などの表現を使うことができるでしょう。「誠心誠意」とは”真心をこめて相手に接する心”を意味します。「誠心誠意努力します」とは”真心をこめて精一杯努力します”という意味です。

一方、「自己犠牲」とは文字通り”自分自身を犠牲にすること”を意味します。他人のために自分の労力や時間、生命などをささげることを意味する表現です。「義理人情に厚い」行動は、どこかで「自己犠牲」の上に成り立つものです。たとえば「自己犠牲を払う必要はない」などの使い方が可能です。

「義理人情」の英語訳とは?

「義理人情」は英語で”duty and humanity”

「義理人情」は英語では“duty and humanity”と表現することができます。直訳すると「義務と人情(慈愛)」という意味になり、日本固有の価値観・風習である「義理人情」の意味を汲み、英訳した例です。

また、より意味をかみ砕き「a sense of moral obligation and human feelings」とすることもできます。直訳すると”道徳的な責任感と人間らしい感情(人情味)”となります。「obligation」には”義務、拘束、責任(感)”などの意味があり、「human feelings」は熟語として”人情”の和訳が宛てられます。

まとめ

「義理人情」とは日本では古くからある価値観のひとつで、「人間関係、社会的関係を維持するためのルールと思いやり」という意味です。「人間関係を円滑に保つためにすべきこと」というやや強制的な価値観を含むことから、現代では疎ましく思われたり、重くとらえられたりすることもあります。しかし、たとえば「お世話になった人に何かあったら手助けをする」という身近な例も「義理人情」のひとつということができ、円滑な人間関係にはメリットにはたらくことも少なくはないでしょう。