「認印をお願いします」と言われたら、どのような印鑑を用意しますか。「認印」は印鑑そのものを指すことも多いですが、そもそも「認印」には了承や承認などの意味があります。本記事では「認印」の意味をはじめ、使用シーンや選び方、また「シャチハタ」や「実印」との違いなど印鑑の基礎知識について解説します。
「認印」とは?
「認印」の意味は”承認のあかしとして押す印”のこと
「認印」の意味は“その内容を承認したあかし、了承したあかしとして押す印”あるいは“承認(了承)したあかしとして印を押すこと”です。押印することで「内容について了承しました」という証拠となります。他にも、確認や同意の意味で押される「認印」もあります。
「認印」には”届け出をしていない印鑑”が用いられる
「認印」は”認印をお持ちください”のように印鑑そのものを指して使うことも可能ですが、この場合は「届け出をしていない印鑑」を意味します。
個人が所有する印鑑のうち、市区町村等に届け出をしたものを「実印」と呼びますが、届け出を出していないものが「認印」です。「認印」と呼ばれる印鑑でも、届け出によって「実印」にすることもできます。
「認印」の読み方は”みとめいん”
「認印」の読み方は“みとめいん”です。「にんいん」という読み方でも誤りではありませんが、「みとめいん」という読みの方が一般的です。
「認印」の使用シーンと購入時の注意点とは?
「認印」とは日常的に使用される印鑑
「認印」は承認、了承、同意、確認などの意味で日常的に使用されます。たとえば、ビジネスシーンでは書類の確認印、承認印として頻繁に使います。宅配便の受け取り、学校や役所への提出書類なども「認印」です。また、軽微な契約書類であれば「認印」が用いられることもあります。
「認印」のサイズは12㎜前後が定番、書体も読みやすいものを
「認印」のサイズは直径12㎜前後のものが多く、丸印が定番です。男性のほうがやや大きめの印鑑を選ぶことが多く、直径13mm程度の丸印が勧められることもありますが、これより大きくなると押印欄に収まらない場合があるため注意が必要です。また、書体も凝った書体を選ぶのではなく、すっきりとした読みやすいものが選ばれます。
「認印」は安いものでもOK
「認印」は「三文判」と呼ばれるような低価格のものでも問題ありません。「認印」としての効力は安価な印鑑でも変わりませんが、会社など人前で使うことが多い人はできればしっかりしたものを選ぶのがベターです。
「認印」と「シャチハタ」の違いとは?
「シャチハタ」とは”朱肉不要印鑑”のこと
「シャチハタ」とは一般に「浸透印」と呼ばれる「朱肉不要の印鑑」を指します。実はこの「シャチハタ」とは、一般に広く用いられている「朱肉不要の印鑑」が「シャチハタ株式会社」の製品であることにちなんだ呼び方です。
なお、「浸透印」はインクを補充することで繰り返し使うことができます。
契約書や公的書類以外であれば「シャチハタ」も可
「シャチハタ(浸透印)」は、朱肉をつける手間がなく連続して押せる、捺印マットが無くてもきれいに押せるなどのメリットがあります。そのため、社内書類等では「認印」として「シャチハタ」を使う人も少なくありません。宅配便の受け取りなども都度朱肉を押すのは面倒なので「シャチハタ」は大変重宝します。
一方で、軽微な契約書でも「シャチハタ」は原則として使用できません。役所の手続き(転入・転出届や社会保険の手続きなど)も「シャチハタ」不可とされる良い例です。この場合は先方からも「シャチハタではなく朱肉を使う印鑑をお持ちください」と指定があるでしょう。
「シャチハタ」が不可とされる理由
「シャチハタ(浸透印)」が公的書類や契約書類で不可とされる理由は、時間経過とともにインクが薄れてしまったり、劣化によって印影が変わったりするためと言われています。また、「シャチハタ(浸透印)」は全く同じ印影が存在することも契約書等で不向きとされる理由です。時間がたっても本人が同意したことの証拠とするためには、やはり朱肉を使った「認印」が求められます。
「認印」と「実印」の違いとは?
「実印」とは”市区町村に届け出をした印”のこと
「実印(じついん)」とは、”市区町村に届け出をし、印鑑登録した印”のことです。印鑑登録をすると、本人の印鑑であることの証明として「印鑑登録証」が発行されます。また、申請すると「実印」であることを証明する「印鑑証明書」を発行してもらうことができます。
なお、「実印」には個人のもの以外に「法人実印(会社実印)」もあります。
「認印」と「実印」の違いは法的効力
「実印」は自治体に登録されたものであるため、法的にも十分な力を持っているとみなされるのが大きな特徴です。これに対し、「認印」は軽微な契約書類には用いられるものの、法的効力が低いとみなされることから重要な契約には不向きとされます。たとえば、不動産取引等においては「実印」とともに「印鑑証明書」を添付し、本人のもので間違いないことを証明するのが通例です。
「実印」購入の際は偽造のされにくさも考慮
「実印」は大量生産品ではなく、陰影の偽造が困難な手彫りの印鑑を用意するのが理想的です。手彫りではない場合でも、偽造防止の観点から読みにくい書体(吉相体[きっそうたい]など)が選ばれることが多いでしょう。
なお、「実印」は「認印」よりやや大きいものが選ばれます。特に男性の場合はフルネームで作成することが多いのも要因のひとつで、男性では直径16.5~18㎜の大きさのものが定番です。一方、女性の場合は下の名前で作成することが多く、「認印」より大きくても13.5~15㎜程度が目安となります。
まとめ
「認印」とは”確認や了承、承認の証として押される印”のことで、そのために用いられる印鑑を指して「認印」と呼ぶこともあります。一般には「届け出をしていない印」が「認印」として用いられます。社内や宅配の受け取り印では「認印」として、朱肉不要の「シャチハタ(浸透印)」を使用することも多いですが、軽微な契約でも「シャチハタ」は不可とされるのが一般的です。さらに、重要な契約等では市区町村に届け出た「実印」が求められます。