「空目」の意味と使い方とは?読み方や「空目」の事例・類語も解説

「○○を~~に空目した」という表現はSNSでも目にすることがあります。ネット上では主に「見間違える」というニュアンスで用いられる「空目」ですが、実は複数の意味持つ表現です。本記事ではその意味と読み方を例文で詳しく解説します。また、「空目」の例や類語、英語訳についても触れています。

「空目」の意味と読み方とは?

「空目」の意味は”見間違えること・見ていないふりをすること”

「空目」の意味は、“本当は見えないのに、見えたような気がすること”あるいは“実際にはそうでないものを見間違えること”です。そこには存在しない物を「見た」と認識することや他のものに見間違えることを「空目」といいます。

一方で、「実際には見ていながら、見ていないふりをすること」という意味もあります。

ネットでは主に「読み間違い」の意味で用いられる

「空目」は、インターネット上でもよく用いられますが、「見間違い」でもとりわけ”読み間違い”の意味で用いられるのが特徴です。ニュースサイトでは気になる記事を斜め読みすることも多いため、「見間違い」を意味する「空目」がネットスラングとして定着したものと思われます。

ただし、「空目」はネットスラングとして作られたワードではなく、古くからある日本語です。「見間違い」を意味する単語を応用した例と言えるでしょう。

「空目」には”上目遣い・うつろな目”の意味も

「空目」には上記以外にも”上目遣い・うつろな目”という意味も持ちます。瞳だけを上にあげてみることを「上目遣い」と言いますが、「空目」にも同様の意味があります。

また、「うつろな目、うつろな目をしていること」という意味もあり、こちらはもっぱら古語における用法として知られています。

「空目」の読み方は”そらめ”、「くうもく」は誤り

「空目」の読み方は“そらめ”です。「からめ」や「くうもく」などの読み方は誤りです。耳慣れないうちは「そらめ」という読み方に違和感を覚える人もいるようですが、「そらめ」というのが正しい読み方です。

「空目」の使い方と例文とは?

「空目する・空目した」と使うことが多い

「空目」は”空目する”あるいは”空目した”の形で使うことが多いです。単に「AをBに見間違えた」という場合に「空目した」と使うほか、「本当は存在しないものが見えたように感じた」という場合にも「空目した」と使うことができます。

例文
  • 最近空目することが多い気がする。疲れたのかな。
  • 新聞の細かい文字を空目してしまい、読むのに時間がかかる。
  • 街中で彼女を見かけた気がしたが、どうやら空目だったようだ。
  • 宇宙人の存在を否定するわけではないが、UFOを見たという人のほとんどが空目だと思っている。

「見ないふりをする」の意味での使い方

「空目」には”見ているのに見ていないふりをする”という意味があることは先述しましたが、その意味でも「空目する」や「空目した」の形で用いられます。

例文
  • 部長のパワハラはこれまで皆空目してきたが、ついに誰かが告発したようだ。
  • 私が姑に小言を言われていても夫は空目して助けてはくれない。
  • 息子には困っている人を空目するような人にはなってほしくない。

「上目遣い」の意味で使う

「空目」を”上目遣い”の意味で使用する場合は、「空目を使う・空目遣い(空目使い)」などの言い回しで使用します。

例文
  • 空目を使って頼みごとをするとは、3歳でもうちの娘はしたたかだ。
  • 愛犬の空目遣いが愛くるしくて困っている。

「空目」や文章の読み間違い例

「AをBと空目する」というような「空目」にはどういった例があるのでしょう。たとえば、床に落ちた黒い糸くずを虫に「空目」したり、オフィスの造花を生花だと「空目」して水をあげたりといった例が挙げらます。

また、インターネットにおける「読み間違い」では「おじや」と「おやじ」、「トレイ」と「トイレ」のように同じ文字の組み合わせで「空目」がよくあると言えます。

「空目」の類語とは?

似た意味の表現は「幻視・錯覚・見間違い」

「空目」と似た意味を持つ単語では「幻視」や「錯覚」が挙げられます。「幻視」とは”実際にはないものが存在するように見えること”を、「錯覚」とは”思い違い、勘違い”を意味する単語です。また、単に「見間違える・思い違い」などの表現に言い換えることもできます。

例文
  • 一瞬、誰かいるように感じたが、錯覚だったようだ。
  • 「トレイ」を「トイレ」に見間違え、恥ずかしい思いをした。
  • 単なる君の思い違いだ。

「素知らぬふりをする」も似た意味の表現

「見ていないふりをする」という意味の「空目」は、「素知らぬふりをする」と言い換えることができるでしょう。本当は知っているのに、知らないようなそぶりを見せることを意味する表現で、「素知らぬ顔」という言い回しもあります。

「空耳」とは”実際にはない音を聞いたように思うこと”

「空目」と似た表現では「空耳(そらみみ)」も挙げられます。「空耳」とは端的に言うと「聞き間違い」のことで”実際にはない音を聞いたように思うこと”という意味です。

たとえば、「誰かに名前を呼ばれた気がしたが空耳だったようだ。」というように表現します。

「空耳」の方がなじみがある人が多いことから、「空目」は「空耳」をもじった造語だと思われる例もありますが、先述のように「空目」は古くからある単語です。なお、「空耳」には”聞いても聞かないふりをすること”という意味もあります。

「空目」の英語訳とは?

「読み間違える」を意味する英語は”misread”

インターネット上で用いられる「空目」のように「読み間違える」の意味を持つ英単語は“misread”です。たとえば「I misread sun for son.」は”私はsunをsonに空目した”の意味になります。

また、単に「見間違える」という意味では「take A for B(AをBだと思う)」という表現が使用可能です。「見間違える」のほか「思い違い」の意味でも用いられます。

例文

I took sun for son.(sun をsonに空目した)

「見ていないふりをする」を意味する英語表現

「空目」の”見ていないふりをする”という意味は「look the other way」という英語訳ができるでしょう。直訳すると”違う方を見た”という意味です。たとえば「She looked the other way when she found me.(彼女は私を見つけた時空目をした[見ていないふりをした])などの使用が可能です。

また、「~のふりをする」という意味の「pretend」を使った「pretend not to see」も「見ていないふりをする」という和訳になります。

例文

She pretended not to see him.(彼女は彼を見て見ぬふりをした)

まとめ

「空目」とは「本当は見えていないのに見えたような気がすること」「実際にはそうでないものを見間違えること」という意味です。インターネット上では「読み間違い」のことを「空目」ということが多いのが特徴です。「空目」は近年ネットスラングのようによく用いられますが、古くからある単語で、「見間違い」の意味のほか、「見て見ぬふりをすること」「上目遣い」などの意味を持つ点も覚えておきましょう。