「苛烈」の意味と使い方とは?「熾烈」との違いや類語・対義語

「苛烈」は「戦いは苛烈を極める」「苛烈な争い」などのほか「苛烈な人」という表現でも見聞きしますが、どういった意味、使い方をするのでしょう。「苛烈」の意味と読みをはじめ、その使い方を例文を用いて詳しく解説します。また、似た使い方をする「熾烈」との違い、類語や対義語についても触れています。

「苛烈」の意味と読み方とは?

「苛烈」の意味は”きびしく、はげしいこと”

「苛烈」の意味は、“きびしく、はげしいこと”です。むごいほど激しい様や厳しい様を表現する際に用いられます。たとえば、耐えがたいほどの苦難に対して使用するほか、非常に悪い様、極度に不快な様など好ましくない物事を意味します。

「苛烈」の読み方は”かれつ”

「苛烈」の読み方は“かれつ”です。似た読みをする熟語に「しれつ」がありますが、「苛烈」は「かれつ」という読みが正しいです。

「苛烈」の「苛」には、”厳しい、むごい”という意味の他”いら立つ、いらいらする”という意味もあります。一方の「烈」とは”激しい、勢いが強い”様を意味します。この二つの漢字を重ねることで「厳しく、激しい様」という意味として用いられています。

「苛烈」の使い方と例文とは?

「苛烈を増す」や「苛烈を極める」などと使う

「苛烈」は”苛烈を増す”や”苛烈を極める”の言い回しでよく使用されます。それぞれ「厳しさが増す・この上ないほど厳しく激しい」という意味になります。また、”厳しくなる”という意味で「苛烈化する」といった表現も可能です。

例文
  • 戦いは苛烈を増す様相だ。
  • トップ争いは苛烈を極めた。
  • 戦況が苛烈化していることは民衆には隠された。

「苛烈な」の表現でも使用される

「苛烈」は”苛烈な○○”の表現で、形容詞的に使用されることもあります。

例文
  • 今日もまた、部長と先輩の苛烈な言い争いが始まった。
  • あのような苛烈な戦争は二度と繰り返してはならない。

また、非常に悪い様や不快な様を表す言い回しとして「苛烈な痛み」のような使用例も挙げられます。

「苛烈な人」「苛烈な性格」はネガティブなニュアンスに

「苛烈」は人の性格に対しても使用されます。たとえば、「苛烈な人」とは”厳しい人、冷酷な人、厳しく無慈悲な人”を、「苛烈な性格」というと”激しい性格の人、手厳しい人”などをさします。「苛烈」の持つ”むごいほどに厳しい、激しい”という意味からも想像できるように、人の性質をネガティブに言い表す際に用いられます。

「苛烈な性格」の人物としては織田信長がよく挙げられます。信長は短気だったこと、またそれゆえに数々の非情な仕打ちでも歴史に名を残す人物です。信長が成し遂げたことは歴史的に大きな意味を持ちますが、一方で目的達成のために犠牲をいとわなかったという様々なエピソードは彼の「苛烈さ」を物語っていると言えるでしょう。

「苛烈」の類語・対義語とは?

「苛烈」の類語①熾烈

「苛烈」と似た意味を持つ単語では“熾烈”が挙げられます。「熾烈」は”しれつ”と読み、「勢いが盛んで激しいこと」を意味します。「苛烈」と「熾烈」は読みだけでなく、その意味も似ているため混同しやすいワードです。

「苛烈」は”激しく厳しいこと”という意味ですが、「熾烈」には”勢いが盛ん”というニュアンスが加わります。一方で、「熾烈」には”厳しい”という意味が含まれないのも特徴です。使い分ける際には「厳しさ」の有無もポイントになるでしょう。

「苛烈」の類語②峻烈

「苛烈」と似た表現では“峻烈”も挙げられます。「峻烈(しゅんれつ)」とは”非常に激しく厳しいこと”という意味で、「峻烈な批判」などの言い回しでよく用いられます。「苛烈」と「峻烈」はほぼ同義ということができますが、度合いで言うと「峻烈」の方が激しさ、厳しさが強いとされています。

このほか、「苛烈」と似た意味の単語では「苛酷」や「苛辣」などもあります。

「苛烈」に明確な対義語はない

一方、「苛烈」には明確な対義語はありません。ただし、「苛烈」の意味を考慮すると「厳しい」の対義語である「易しい」や「優しい」、「激しい」の対義語である「穏やか」などは、「苛烈」とは反対の意味を持つ表現と言えるでしょう。

また、「苛烈な人、苛烈な性格」と反対の性格では、「寛大」が挙げられます。「寛大(かんだい)」とは、”心が広いこと・他人の欠点や失敗に対し、思いやりのある態度で接する様”という意味です。

「苛烈」の英語訳とは?

「苛烈」は英語では”severe”

「苛烈」は英語では“severe”を使って表現することができます。「severe」は”厳しい、非情な、重度の”などの意味を持つ単語で、カタカナで「シビア」と用いられることも多いです。また、「terrible(ひどい、ひどく不快な)」や「relentless(冷酷な)」などのワードにも「苛烈」の和訳が宛てられることがあります。

「苛烈」を使った英語例文

「苛烈」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • a severe heat(酷暑[苛烈な夏])
  • severe competition (苛烈な競争)
  • He’s very severe with his children. (彼は子供には非常に厳しい)
  • Don’t be too severe on others’ errors. (他人の誤りに厳しすぎてはならない)

まとめ

「苛烈」とは”厳しく、激しいこと”を意味する単語で、むごいほどの激しさや厳しさを表現する際に用いられます。「苛烈を極める」や「苛烈な人」の表現で使いますが、人やその性格に言及する際には「冷酷な人」「無慈悲な人」を指すことが多いでしょう。なお、「苛烈」は「かれつ」と読み、「熾烈(しれつ)」とは意味も似ていますが読み間違いには気を付けましょう。