「メソポタミア神話」とは?ギルガメシュや最高神・女神を紹介

「メソポタミア神話」とは、メソポタミア文明で語られた神話の総称です。最高神「アヌ」や母なる神「ティアマト」、人間に文明を与えたと言われる「エア」など、多くの神が登場します。

この記事では「メソポタミア神話」に登場する神や女神を、一覧で紹介します。加えて、英雄の「ギルガメシュ」についても解説しましょう。

「メソポタミア神話」とは?

「メソポタミア神話」とは”メソポタミア文明の神話の総称”

「メソポタミア神話」とは、“メソポタミア文明のなかで語られた神話の総称”を指します。シュメール人の「シュメール神話」やバビロニア人の「バビロニア神話」など、複数の神話を共有し、発展させたものが「メソポタミア神話」なのです。

メソポタミアの神々は紀元前の頃から数千年にわたり信仰されますが、1世紀頃から衰退を始めます。しかし、メソポタミア神話における宗教観は他宗教へ大きな影響を与えており、古代ギリシアの宗教やユダヤ教、キリスト教もその影響を受けたと言われています。

『ギルガメシュ叙事詩』は有名な物語

メソポタミア神話のなかで有名な物語が『ギルガメシュ叙事詩(じょじし)』です。『ギルガメシュ叙事詩』は古代メソポタミアの王「ギルガメシュ」を主人公とした物語で、世界最古の英雄譚と言われています。

他にも、旧約聖書の「ノアの方舟(はこぶね)」にも影響を与えたと言われる洪水神話や、天地創造神話が有名です。

「メソポタミア神話」の神を一覧で紹介

「アヌ」とはメソポタミア神話の最高神

「アヌ(アン)」とは、メソポタミア神話の最高神です。天空を司っており、世界を創り出した創造神でもあります。アヌは妻である女神「キ」との間に、「アヌンナキ」と呼ばれる神々の集団を生み出しました。

最高神に定められるアヌですが「デウス・オティオースス(暇な神)」とも呼ばれ、実際の権力はアヌの下に位置する「エンリル」たちが握っていたようです。

「エア」とは人間に友好的な神

「エア(エンキ)」とは知識や水、魔法を司る神です。最高神の「アヌ」や実権を握っていた「エンリル」と同じ重要な神に数えられるエアは、人間に友好的な神だったと言われています。

まだ人類の文明が発達していないとき、エアは文字や建築を人間に教えました。また、エンリルが人類を滅ぼすために行った「干ばつ」や「飢餓・疫病」に対し、エアは医学や農業の知識を人類へ授けたと言われています。

「シン」とは月を司る神

「シン(ナンナ)」とは、月を司る神です。なかでも三日月と強く結びつけられ、三日月の武器をもち、三日月のような角をもつ牡牛(おうし)に乗る姿で描かれます。また、メソポタミアでは月を基準に暦の計算を行っていたことや、暦が農業と深い関係にあることから「暦」や「豊穣」を司る神でもありました。

「メソポタミア神話」に登場する神一覧

「メソポタミア神話」に登場する神をご紹介しましょう。

  • アプスー…淡水の神。女神「ティアマト」との間に多くの神を生んだ、神々の父。
  • エンリル…嵐や秩序の神。最高神はアヌだが、実権を握っているのはエンリル。
  • アンシャル…天の神。妻との間に最高神アヌやエンリルを生む。

「メソポタミア神話」の英雄・女神を紹介

「ギルガメシュ」とは半神半人の英雄

「ギルガメシュ」とは、『ギルガメシュ叙事詩』に登場する半神半人の英雄です。「ギルガメシュ」は実際に存在した古代シュメールの王であると考えられており、死後に神格化され半神半人になったと言われています。

『ギルガメシュ叙事詩』ではギルガメシュの親友「エンキドゥ」が殺されたことから、不死を求めて旅に出る物語が描かれています。

「ティアマト」とは神々の母となる女神

「ティアマト」とは原初と呼ばれる古い神の1柱で、多くの神を生んだ「母なる神」です。メソポタミア神話の1つであるバビロニアの創世神話『エヌマ・エリシュ』では、夫「アプスー」の殺害を機に、若い神々へ復讐を誓います。

しかし、ティアマトは太陽神「マルドゥク」により、心臓を矢で射られて殺されます。マルドゥクはティアマトの遺体を2つに引き裂き、片方で天を、もう片方で大地を創りました。

「イシュタル」とは最高神と同等の権力をもつ

「イシュタル(イナンナ)」とは愛と美の女神で、他にも豊穣や戦、王権を司ります。イシュタルは本来、「イナンナ」という名で豊穣の女神として信仰されていました。しかし、後に女神「イシュタル」と同一視されたことで、「愛と美」や「戦」「王権」などの要素を含むようになります。

イシュタルは最高神「アヌ」や権力者「エンリル」、知恵を司る「エア」など、高位の神と同等の権力を持っており、大きな信仰を集めました。

「メソポタミア神話」に登場する女神一覧

「メソポタミア神話」に登場する女神を一覧でご紹介しましょう。

  • エレシュキガル…冥界の女神。その名は「冥界の女王」を意味する。
  • ニンフルサグ…大地の女神。7柱いる運命を司る女神のうちの1柱でもある。
  • ニンガル…イネ科の植物「ヨシ」の女神。月を司る「シン」との間に太陽神を生む。

まとめ

「メソポタミア神話」とはシュメール神話やバビロニア神話など、メソポタミア文明で語られていた神話の総称を指します。メソポタミアでは2,000を超える神が信仰されており、その宗教観は他宗教へ大きな影響を与えたと言われています。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。