「禍根」の意味と使い方とは?「遺恨」との違いや類語も例文解説

「禍根を残す結果となった」というと、すっきりしないもやもやとした印象を与える表現ではないでしょうか。この「禍根」とは具体的にはどういった意味を持つのでしょう。読み方や意味、熟語の成り立ちをはじめ、「禍根」と「遺恨」の違い、使い方などについて例文で詳しく解説します。類語や英語訳についても紹介します。

「禍根」の意味と読み方とは?

「禍根」の意味は”わざわいのもと、原因”

「禍根」の意味は、“わざわいのもとになること・わざわいの原因”です。災難や争いといった出来事そのものではなく、災難や争い事などにつながる事柄や災難や争いごとの原因を指して「禍根」といいます。

「禍根」の読み方は”かこん”、熟語の構成は修飾関係

「禍根」の読み方は“かこん”です。「禍根」の「禍」の字は、”わざわい”を意味します。常用外漢字ですが、昨今では「コロナ禍(ころなか)」の表現でよく見聞きするのではないでしょうか。他にも「戦禍(せんか)」などの使用例があります。

一方の「根」は文字通り「根っこ」つまり”物事の起こるところ”を意味する漢字であることから、「禍根」は前の漢字が後に続く漢字を修飾するタイプの熟語に分類されます。

「禍根」の使い方とは?

「禍根を残す」や「禍根を残さない」と表現する

「禍根」は「禍根を残す」の表現でしばしば用いられます。この場合”わざわいの原因を残す”という意味になり、「先々に何らかの災難が起きる可能性がある」「問題はまだ残っている」ことを示唆する表現です。

たとえば、「この一件は両者の間に禍根を残した」というと、何らかのわだかまりが残った状態であり、後にトラブルになる可能性があることが伺えます。

一方で「禍根を残さない」というと、のちにわざわいとならないよう問題を解決している状態を意味する表現となります。

「禍根を断つ」という表現でも用いられる

「禍根を断つ」とは、”わざわいなど悪いことの原因を完全になくす”という意味です。根本となる原因をなくす、根本的に解決するというニュアンスの表現で、すでに「禍根」がある場合に用いられます。

「禍根」を使った例文

「禍根」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 若かりし頃に生じた禍根は、長年にわたる月日と共に消え去った。
  • 些細ないざこざがこじれて禍根となり、もはや第三者が口出しできる状況ではない。
  • このままでは禍根が残り、きっと君は後悔することになるだろう。
  • 禍根を残さないことはもちろん、未来の自分のためにもきっちり仕事を全うしよう。
  • 後世への禍根を断つべく、もっと環境問題に真摯に取り組むべきだ。
  • 我が国の味方をすることで禍根を絶とうという狙いがあるのではないか。

「禍根」と「遺恨」の違いとは?

「遺恨」とは”いつまでも残る恨み”のこと

「遺恨」とは”根深い恨み、いつまでも残る忘れがたい恨み”という意味です。「いこん」と読みます。また、「遺恨」には”残念に思うこと”という意味もあります。

「禍根」と「遺恨」は意味も使い方も違う

「禍根」と「遺恨」は似たような読みをすることから混同されがちですが、「禍根」の「こん」は”根っこ”であるのに対し、「遺恨」の「こん」は”恨み”を意味する漢字である点で異なります。

また、先述のように「禍根」は、”残す・残さない・断つ”などの動詞で用いられますが、「遺恨」は”残す・残さない”のほかに”遺恨を晴らす”の言い回しでよく用いられる点も相違点と言えるでしょう。

「禍根」が”災いの原因、もと”であるのに対し、「遺恨」は”深い恨み、後悔”を意味するため、災いの後に生まれる感情とも言い表すことができます。

「禍根」の類語とは?

「禍根」の類語は”禍源・禍因”

「禍根」と似た意味を持つ表現(類語)では“禍源”“禍因”が挙げられます。いずれも、わざわいの根源、わざわいの起こる素という意味で「禍根」とほぼ同じ意味を持つワードです。

「余燼がくすぶる」も類義的な表現

「余燼(よじん)」とは、”燃え残っている火”のほか”事件などがひと段落した後に残っているもの、その影響”という意味です。「余燼がくすぶる」とは”争いなどが終わっても次の争いの火種が残っている”という意味になります。次の争い(わざわい)の原因が残っているという意味で、「禍根を残す」とは類義表現です。このほか、「火種を抱える・尾を引く」などに言い換えることも可能です。

例文
  • 遺産相続の余燼がなおもくすぶっている。
  • 当社はまだ火種を抱えている。
  • 数年前の出来事がまだ尾を引いている。

「わだかまり」に言い換えられる場合も

個人間の争い事などにおいて生じた「禍根」は”わだかまり”や”しこり”のワードにも置き換えられます。いずれも、心の中のつっかえたような感情やいざこざが片付いた後に残る気まずい気分を指す表現です。「わだかまり」が必ずしも次の争い事の原因となるわけではありませんが、すっきり問題解決といかない様を言い表す文言としては似た使い方をするワードです。

「禍根」の英語訳とは?

「禍根」は英語で”the root of the evil”

「禍根」の英語表現は“the root of the evil”を使用します。「root」は”根っこ”、「evil」は”邪悪、害悪、罪悪”などの意味を持つ単語です。「the root of future problem(未来の問題の根っこ)」も「禍根」の和訳が宛てられます。また、「source of calamity(calamity:災害)」や「sources of trouble」なども「禍根」の意味の英語表現です。

一方で「禍根を残す」は「create a future problem」、「禍根を絶つ」は「remove the root of the future problem」「eradicate the root of the problem」などの英訳が可能です。「禍根」のワードにこだわらずに、日本語を英語に意訳するイメージだとわかりやすいでしょう。

「禍根」の英語訳を使った例文

「禍根」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • Her behavior created future problems to their friendship.(彼女のふるまいは彼らの間に禍根を残した)
  • I decided to eradicate the root of the future problem.(私は禍根を絶つことを決めた)

まとめ

「禍根」とは「わざわいのもとになること」という意味です。たとえば、喧嘩をしたけれども納得できる解決ができずにくすぶっている様、将来的に何らかの問題が起きそうな状況に対して用いられます。似た語感の表現に「遺恨」がありますが、こちらは「忘れがたい恨み、残念に思うこと」を意味し、「禍根」とは全く異なる意味で用いられる単語です。「遺恨が残る」という使い方から混同されがちなので、しっかりと区別して覚えておきましょう。