「至言」の意味や使い方とは?類語「名言・金言」も例文解説

「○○とはまさに至言だ」と著名人の発言を褒め称えたり、ことわざを引用したりすることがありますが、そもそも「至言」とはどういった表現に対して用いるのが正しいのでしょう。「名言」や「金言」など「至言」の類語(類義語)と共に、その意味、使い方を例文で詳しく解説します。

「至言」の意味と読み方とは?

「至言」の意味は”本質を言い当てた言葉”

「至言」の意味は、“物事の本質をこの上なく的確に言い当てた言葉”です。状況や人の心理、信条などを的確・適切に言い当てた言葉、真実にかなっている言葉を指して「至言」といいます。

「至言」の読み方は”しげん”、「しごん」は誤り

「至言」の読み方は“しげん”です。「至言」の「至」は”いたる、とどく”という意味や”この上ない、極めて”という意味を持ちます。一方の「言」は”ことば”を意味するため、「至言」は”極めてもっともな言葉、この上なく適切に言い表した言葉”という意味になるのです。

なお、「至言」は”しごん”と読まれることがありますが、これは誤りです。「至言=しげん」と覚えておきましょう。

「至言」の使い方と例文とは?

「至言ですね」は相手の的確な表現を称賛する

「至言」は”至言である・至言だ”といった形で用いられます。巧みな表現で的確に言い表している様や相手の冴えた言い回しに対して、「至言ですね」と使うと称賛を込めた表現に。ただし、硬い印象を伴う表現のため、日常の会話で使うより文章中で目にすることが多いでしょう。

「けだし至言である」の意味は”まさにその通りである言葉だ”

「至言」を使った表現のひとつに「けだし至言である」が挙げられます。この「けだし」には”まさしく、ほんとうに”などの意味があり、「けだし至言である」とは”まさにその通りである言葉だ”という意味です。特別な意味を持つわけではありませんが、慣用表現のように用いられています。

「至言」を使った例文

「至言」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 日本の経済成長を支えた名だたる経営者の言葉には至言が多い。
  • けだし至言である、と皆が感嘆した。
  • 「情けは人のためならず」とはまさに至言である。
  • 子育ての先輩の話には至言が並ぶ。

「至言」の類語・類義語とは?

「至言」の類語は”寸言”や”箴言”

「至言」と似た意味の表現(類語)では“寸言(すんげん)”“箴言(しんげん)”が挙げられます。「寸言」とは”短いものの意味が深い言葉”という意味です。人生の真理や戒めなどを短く言い表した言葉を指して「寸言」と使います。

一方「箴言」とは”戒めの言葉”を意味し、教訓のような短い言葉を指します。また、「箴言」は旧約聖書における一書(英知による格言を集めたもの)を指すワードでもあります。

また「なるほど、うまい言い回しだ」「まさにその通りだ」と強く共感する意味では「言い得て妙(いいえてみょう)」の表現も使えます。「至言」ほどの改まった印象はないものの、強い同意を示す表現として身近な間柄で使えるフレーズです。

「名言」とは”確かにそうだと思わせる優れた言葉”

「至言」と似たワードでは「名言」があります。「名言」とは”本質をうまくとらえた言葉、優れた言葉”を意味しますが、実際には「ドラマの名言」のように「印象深い言葉、かっこいいフレーズ」を指した使用例も少なくありません。幅広い使用例があるのが「名言」の特徴と言えるでしょう。

例文
  • 90年代のドラマには数々の名言がある。
  • ~は数多くの名言を残している。

「金言」とは”模範とすべき優れた言葉”

「金言(きんげん)」とは”模範とすべき優れた言葉、尊い言葉”という意味です。文字通り「金」のように価値のある言葉が「金言」と称され、似た意味では「格言」も挙げられます。人生において大切にするべき優れた言葉を意味しますが、「金言耳に逆らう」のように立派すぎて耳が痛い、聞き入れがたいという慣用表現もあります。

例文
  • 恩師の金言を胸に、自分に正直に生きたいと思う。
  • 偉大なる先輩の金言を無視するわけにはいかない。

「至言」の英語訳とは?

「至言」は英語で”quote”

「至言」は英語では“quote”という単語で表現します。「quote」とは名詞で”引用句、引用文”、動詞では”引用する、見積もる”などの意味を持つ単語です。「至言」のような深い意味は持たない英単語ですが、「famous quote」「well-known quote」として使うことで「名言・金言」などの和訳が宛てられることが多いです。

また、「~とは至言である」は”It is well said that~”と英訳されます。「It is truly said that~」や「It is wisely said that~」もほぼ同義で用いられる表現です。

「至言」の英語例文

「至言」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。

  • It is truly said that time is money.(時は金なりとはまさに至言である)
  • What’s your favorite famous quote?(あなたの好きな名言[至言]はなんですか?)
  • It’s a very famous quote by ~.(~による名言[至言]です)

まとめ

「至言」とは”物事の本質をこの上なく的確に言い当てた言葉”という意味です。「もっともだ」と誰もが頷くような言葉、物事の本質をズバリ言い当てた言葉を指して「至言」と言います。文章で見かけることの多い、硬い表現ですが、会話の中で強い納得や同意を示す場合に「至言ですね」として使うこともあります。似た意味の表現では「寸言」や「箴言」が挙げられますが、身近な表現では「名言」「金言」への言い換えも可能でしょう。