「偏見」の意味とは?「差別」との違いや具体例・例文と類語解説

特定の人や特定の集団に対し、好意的ではない考えを持つ様は「偏見を持つ」「偏見を抱く」と表現されます。この「偏見」とは具体的にはどんな考えを指すのでしょうか。「偏見」の意味と例文をはじめ、その具体例についても触れています。また、「偏見」と「差別」との違いや類語、英語訳も紹介しましょう。

「偏見」とは?

「偏見」の意味は”根拠のないかたよった見方”

「偏見」の意味は、“客観的な根拠のない、かたよったものの見方や考え方”です。「へんけん」と読みます。特に、ある集団や個人に対する根拠のない意見や客観的ではない判断を指します。

例えば国籍や人種による「偏見」も多い

「偏見」の具体的な例では国籍や人種によるものが挙げられます。たとえば”○○人はいい加減だ”という考えは「偏見」であることが多いです。また、性別や年齢、宗教に対する「偏見」も多いもので、”宗教=怪しいもの”という考えも「偏見」の良い例です。

他にも「高齢者は偏屈だ」「若者はマナーが悪い」なども、その人の過去の経験によって自動的に判断されたにすぎず、かたよりやゆがみのある考え方ということができます。

「偏見」と「差別」の違いとは?

「差別」とは”不当に低く扱うこと”を意味する

「差別」とは”取扱に差をつけること・不当に低く扱うこと”という意味です。扱いに差をつける、という意味ではよい方にも悪い方にも使うことができますが、とりわけ冷遇することの意味で用いられることが多いでしょう。「偏見と差別」のように並列して用いられることも多い単語です。

「差別」と「偏見」は原因・背景が違う

「差別」も「偏見」も似た文脈、似たニュアンスで用いられますが、次のような違いがあります。「偏見」は”偏った見方、考え方”を指すのに対し、、「差別」は”低く扱うこと”と具体的なアクションを伴うのがポイントです。また、誤った知識や知識の偏りによって生じる「偏見」に対し、「差別」は意図的な扱いである点も相違点です。

「偏見」は”差別”につながることが多い

誤った知識は正せば問題ありませんが、憎悪や軽蔑といった感情がプラスされると「偏見」になり、さらに何らかの不当なアクションにつながると「差別」になります。「差別」として何らかのアクションがとられると、傷つく人も増えるものです。「差別」を防ぐためにも「偏見」をなくすことが大切と言えるでしょう。

「偏見」の使い方と例文とは?

「偏見を持つ/抱く」とは”偏った考えを持つ”こと

「偏見を持つ」とは”根拠もなく、偏った考えを持つ”ことを意味します。「偏見を抱く」という表現でも用いられます。

例文
  • 彼女は男性に対して偏見を持っているようだ。
  • 偏見を抱く人の多くは単に無知なだけかもしれない。

「偏見に惑わされない」と使うと良い意味に

「偏見」とは”根拠もなく、否定的なかたよったものの見方”を意味するため、ネガティブな文脈で用いられるのが通例です。しかし、「偏見に惑わされない」というと”偏った意見には左右されない様、客観的な判断を下す様”を指し、ポジティブな意味合いになります。

例文

偏見に惑わされないよう自分の目で確かめることが大切だ。

「独断と偏見」と重ねて使う例も

「独断と偏見」とは客観的な根拠なしに、個人の好みであることを意味します。「独断」とは”自分だけで判断すること”を意味し、転じて「正しい根拠ではなく思い込みだけで判断すること」という意味も持つ単語です。

公平・公正な判断ではなく、個人の趣味嗜好によって物事を述べる際に「独断と偏見ですが…」「独断と偏見で選ぶおすすめ美容」などと使用する例が挙げられます。

「偏見」の類語とは?

似た意味の表現は「先入観」

「先入観(せんにゅうかん)」とは”ものごとに対してあらかじめ持たれる固定観念”のことです。先に抱いた考えや思いが原因となり、自由な思考や公正な判断が妨げられるような場合に「先入観が邪魔をする」「先入観を持たずに判断をしてほしい」などと用いられます。

「先入観」は「偏見」のようにかたよりがあり、客観性に欠けるものを指すことが多い点で類語と言うことができます。また、同様の意味を持つ単語には「先入主」もありますが、一般には「先入観」が用いられることが多いでしょう。

カタカナでは「バイアス」も類語

「バイアス」とは英語”bias”に由来し、「傾向、先入観、偏見」などを意味する単語です。よく耳にする「バイアスがかかる」という表現は、”偏見や先入観に影響されている”というニュアンスです。

「ステレオタイプ」とは”固定観念、思い込み”を意味する

カタカナ語では「ステレオタイプ」も「偏見」と似た意味の表現です。「ステレオタイプ(stereotype)」とは”固定観念、思い込み”を意味します。「偏見」のようにかたよったものの見方や否定的な感情を伴わない場合にも用いられます。たとえば「日本人は勤勉だ」というのは海外の人に根強い「ステレオタイプ」でしょう。

「偏見」の英語訳とは?

「偏見」は英語で”prejudice”

「偏見」という意味の英単語は“prejudice”です。「There is a lot of prejudice against ○○.」で”○○に対する偏見は多い”という意味です。「stereotype」に”偏見”の和訳が宛てられることもありますが、見下すような悪いニュアンスでは「prejudice」がより近いでしょう。

例文

He has a prejudice against women because of his past experience.(過去の経験から、彼は女性に偏見を抱いている)

まとめ

「偏見」とは漢字の意味通り「偏った見方」という意味ですが、とりわけ「客観的な根拠のない、かたよったものの見方」を意味します。憎悪や軽蔑を伴う、非好意的な見解を指すことが多く、「偏見」は「差別」という具体的な行動につながることもしばしばです。「偏見」と似た意味を持つ単語には「差別」以外にも「先入観」や「バイアス」「ステレオタイプ」が挙げられます。カタカナ語は単に「偏見」の意味だけでなく、ビジネスシーンでも用いられるので覚えておくと便利です。