「飽食」の意味とは?使用例・例文解説と「飽食の時代」の問題点

日本が「飽食」「飽食の時代」と言われ始めて数十年とたちますが、近年では加えて「フードロス」や「食育」などと共に用いられる例も増えています。「飽食」という言葉の意味、使い方を例文で解説するとともに「飽食の時代」の問題点や課題についても紹介しましょう。また、類語・対義語や英語訳についても解説します。

「飽食」とは?

「飽食」の意味は”食物に不自由のないこと”

「飽食」の意味は、“食物に不自由がないこと、不自由しないこと”です。「飽きるほどに食べられる状態」を指す他、”十分に食べて満ち足りること”という意味もあります。一般には「ほしいものを欲しいだけ食べられるような状態」を指すことが多いです。

「飽食」の読み方は”ほうしょく”

「飽食」の読み方は“ほうしょく”です。「飽」の字は”あきる”という意味の他、「食べあきる、あきるほどに食べる・満ち足りる」などの意味もあります。

日本は「飽食」の状態にある

日本はいわずもがな「飽食」の状態にあります。日本がいつから「飽食」と呼ばれるようになったのか、その歴史をさかのぼると、高度経済成長期の終わり1970年代から90年代にかけ外食産業が大きく栄えたこと、また食料品の輸入が大きく増えたことに起因するとされているようです。

「飽食」の使い方と例文とは?

「飽食の時代」「飽食の国」と使う

「飽食」という単語は”飽食の時代”や”飽食の国”という表現でしばしば用いられます。「飽食の時代」とは”食べ物に不自由しない社会”や”飽きる程に食べられる社会”を言い表します。

「飽食の国」も同様で”食生活に不自由しない国”を指します。ただし、「飽食の国」と一口に言っても、実際には経済格差によって国民全員が「飽食」であるかどうかはまた別の問題と言えるでしょう。

例文
  • 日本は飽食の国と言われて久しい。
  • 飽食の時代と言われる現代でも、お腹を空かせた人がいることを忘れてはいけない。

四字熟語「飽食暖衣」とは”恵まれた生活”のこと

「飽食暖衣」とは文字通り、”飽きるほどに食べ、暖かい衣服を身につけること”を意味します。簡単に言うと「十分に恵まれた生活」を意味する四字熟語です。

例文

飽食暖衣な暮らしを送れることは幸せなことだ。

「飽食問題」とは?デメリットと課題

「飽食」が好き嫌いを加速、栄養失調にも

「飽食」は食べ物に不自由しないという点では望ましい状態ですが、一方で好き嫌いの助長や栄養バランスの偏りといった問題を引き起こします。

食べたいものが自由に選べるため、誰もが好きなものに手を伸ばす、「なんでもいい」と適当に食事を選んでしまうなどの理由から、栄養バランスがないがしろにされやすいのも課題です。そうした偏った食生活は生活習慣病に繋がるだけでなく、過度なやせ型を助長し、栄養失調に陥る例もあるようです。

フードロスも「飽食」の問題点のひとつ

「飽食」のもう一つの問題が「フードロス」です。「フードロス=食品ロス」とは、過度に作りすぎた食品が捨てられたり、好き嫌いで食べ残したりすることで「食べられるのに捨てられる食品」を指します。店頭での売れ残りや外食・家庭での食べ残しが良い例で、近年社会問題として取り上げられています。

「飽食」では食育も課題に

「飽食」による健康被害やフードロスの改善のために「食育」も話題です。食に関してしっかりと理解し、健康や環境のための知識を持つことは、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の観点からも高い関心を集めています。社会全体で問題を認識するためにも、子どもだけでなく、大人への食育も必要です。

「飽食」の類語・言い換え表現とは?

「飽食」は”有り余る”などのワードで言い換えられる

「飽食」を言い換える際には”有り余る”など、過剰に多い様を意味する表現を使うことができます。たとえば、「日本には食品が有り余っている・食品があふれかえっている・食品がありすぎる」などはいずれも「飽食」であることを言い表しています。

「飽食の時代」は”豊かすぎる時代”ともいえる

「飽食の時代」は”豊かすぎる時代・恵まれすぎた時代”とも言うことができるでしょう。そもそも「飽食の時代」や「飽食の国」とされる状態では、食料品に限らず様々なものが社会にあふれているものです。社会全体が豊かすぎるというニュアンスで「豊かすぎる時代・恵まれすぎた時代」と表現することができます。

「飽食」の対義語とは?

「飽食」の対義語は”飢餓”

「飽食」と反対の意味を持つ単語は“飢餓”です。「飢餓(きが)」とは”飢えること”を意味します。食べるものがあふれかえる「飽食」に対し、食物が不足して飢えている状態を指すのが「飢餓」です。

「空腹」も反対の意味の表現

「飽食」には”あきるほどお腹いっぱいに食べること”という意味もありますが、その意味では「空腹」が対義表現ということができるでしょう。また「飢え」を感じる様を意味する”ひもじい・ひもじさ”なども反対の意味で用いられる単語です。

「飽食」の英語訳とは?

「飽食」は英語で”satiation”

「飽食」を意味する英単語には“satiation”が挙げられます。「satiation」とは”飽食、飽き飽きしていること”という意味です。「飽食」の意味で用いる場合は”food satiation”として用いられることもあります。

「飽食の時代」は”the age of plenty”と英訳

「飽食の時代」は”satiation”を使って「satiation period」と表現することも可能ですが、「the age of plenty」もまた”飽食の時代”と和訳される表現です。「plenty」には”豊富さ、豊かさ”という意味があり、「the age of plenty」で”物に不自由しない時代”というニュアンスになります。

まとめ

「飽食」とは”あきるほどに食べること、食べ物に不自由しないこと”という意味です。「飽食の時代」や「飽食の国」など「飽食」にある社会を指して使用することが多いでしょう。

「食べ物に不自由しない」という意味では問題点が見えづらいですが、「食べたいだけ食べられる」状況は食への関心を削ぎ、好き嫌いを助長します。その結果生活習慣病の増加のほか、栄養不足・栄養失調に至るケースもあるようです。「フードロス」「食育」「SDGs」など近年高い関心を集めるワードとも関連性の高い単語です。