「自明」の意味とは?使い方・例文と「自明の理」や類語も解説

「~なのは自明だ」とは誰の目にも明らかな様を表していますが、ほかにも「自明の理」という慣用句や数学では「自明の解」「自明でない解」など様々な表現で用いられます。本記事では、「自明」の意味とその使い方を例文で解説するとともに、類語や対義語、英語訳も解説します。

「自明」の意味とは?

「自明」の意味は”説明しなくても明らかなこと”

「自明」の意味は、“説明しなくても明らかなこと、分かり切っている様”です。「じめい」と読み、読んで字のごとく”それ自身ですでに明らかである様”を指します。

「自明」が正しいとは限らない

「自明」は一般に”誰の目にも明らかである”という事柄に対して使いますが、「自明」という判断は主観によるものであるため、本当に誰もがそう思っているとは限りません。同様に、「自明」であるからといって必ずしも「正しい」とも限らず、「自明」とされた判断や認識が間違っているケースもあります。

「自明」の使い方と例文・短文とは?

「~なのは自明だ、自明である」と使うのが一般的

「自明」は”○○なのは自明だ”や”○○なのは自明である”などの言い回しで用いられることが多いです。いずれも、詳しく説明しなくても○○だということが明らかである、○○だということがわかる、というニュアンスになります。

例文
  • 連日飲み歩いているのだから仕事に支障が出るのは自明だ。
  • このままではうまくいかないことは自明である。
  • 業績が下降してるのは数値で見ると自明だ。

また、「~なのは自明だが、彼だけは頑なに譲らない。」のように、「分かりきったことなのに…」と苛立ちや批判的なニュアンスで用いられる例もあります。

「自明の理」とは”説明不要の明白な道理”のこと

「自明の理(じめいのり)」とは、端的に言うと”自明な道理、論理”を指し、「説明する必要のない明白な道理、論理」を意味します。当然の論理、明らかな真理を指して用いられる慣用表現です。

「自明だ」のように、”自明の理だ・自明の理である”などの言い回しで使うことができますが、「ごく当たり前・当然」いう意味合いが濃くなるのがポイントでしょう。

例文

人が酸素がないと生きていけないのは自明の理だ。

「自明性」とは”おのずと明らかになる性質”のこと

「自明性」とは”おのずと明らかになる性質”を意味します。学術用語として用いられることが多く、誰の目にも明らかな性質、傾向を「自明性」と表現することができます。

「自明視」とは”自明とみなすこと”を指す

「自明視」とは端的に言うと”自明とみなすこと”という意味です。たとえば「人々が自明視している行動」とは”人々が自明(=当然)だと思っている行動”の意味とることができます。「説明しなくてもわかる」ようなものの見方を指して用いられます。

数学では「自明の解・自明でない解」と使う

数学の分野における「自明」は”自明の解・自明でない解”という表現で用いられます。「自明な解」とはこの場合、誰の目にも明らかな解、すなわちパッと見ただけでもわかるような解を指します。

たとえば、連立方程式「ax+by=0、cx+dy=0」では「x=y=0」が「自明な解」です。「x=y=0」の場合に先述の連立方程式が成り立つことが明らかであるからです。これに対し、「自明でない解」とは”x=y=0ではない場合の解”を指します。このように「自明ではない解を求めなさい」という問題では「x=y=0」以外の解を回答することが多いです。

「自明」の類語とは?

似た意味の表現は「明白・明らか」

「自明」と似た意味の表現は“明白”“明らか”が挙げられます。いずれも「はっきりしていてうたがう余地がない様」を指す表現です。また、「自明」が”当然である”というニュアンスで用いられるように、「当然・当たり前」という語に言い換えられる場合もあります。

「歴然」も「自明」の類語

「歴然」とは”まぎれもなくはっきりしている様”という意味です。「れきぜん」と読みます。たとえば「歴然たる事実」は”疑う余地がないほどはっきりしている事実”という意味になります。

他にも「灼然(しゃくぜん)」や「瞭然(りょうぜん)」なども類語として挙げられます。

慣用表現では「火を見るより明らか」と類義

「自明の理」のように慣用表現で似た意味を持つものでは「火を見るより明らか」があります。「火を見るより明らか」とは”極めて明らかでうたがう余地がない様”を指します。主に悪い結果が予想される場合に用いられるのが特徴です。

「自明」の対義語とは?

「自明」の対義語は”不明”

「自明」と反対の意味を持つ語は“不明”です。「不明」とは”はっきりとしない様、明らかではないこと”を指します。たとえば「業務への影響は不明だ」などといった使用が可能です。

「懐疑」も反対の意味を持つ表現

「懐疑(かいぎ)」とは”疑いを持つこと”という意味です。「誰の目にも明らかである」という意味を持つ「自明」に対し、決定的な考えを持てずに疑いを持つ様を指します。「○○に対して、A氏は懐疑的だ」などと使用することができます。

「自明」の英語訳とは?

「自明」の英語訳は”self-evident”を使う

「自明」は英語では“self-evident”を使用します。「evident」には”明らかな、はっきりとした”という意味があり、「self-evident」とすることで”自明”のニュアンスになります。たとえば「The fact is self-evident.」は”事実は自明である”という意味です。

また、「(事物が)はっきりと証明している」という意味の表現”speak for itself”を使い、「The fact speaks for itself.」としても”事実は自明である”という意味を表現することも可能です。

「obvious」を使った英訳も可能

「自明」の英語訳では、先述の「evident」の類語である「obvious」を使う英文例も挙げられます。「obvious」には”明らかな、明白な”などの意味があり、たとえば「That should be obvious.」は”それは自明なはずだ”と和訳することができるでしょう。

まとめ

「自明」とは”説明しなくても明らかである様、明白である事”という意味です。「自明だ」「自明である」のほか「自明の理」という慣用表現でもしばしば用いられます。「自明」は「誰の目にも明らかである」というニュアンスのほか、「~であることは自明のはずだ」と「当然のはずなのに…」と相手に反論したり、批判めいた主張をしたりする際も使う表現です。