「精緻な機械」「精緻な描写」と細かさや詳しさを指す表現として「精緻」があります。ビジネス用語としても使用される「精緻」について、意味と使い方を例文で解説します。また「精緻」の類語「精密」との違いや対義語、英語訳など関連用語もチェックしてみてください。
「精緻」の意味と読み方とは?
「精緻」の意味は”極めて詳しく、細かいこと”
「精緻」の意味は、“極めて詳しく細かいこと、その様子”です。つくりが非常に細かい様や物事について詳しい様を指して「精緻」と言います。「綿密である様」や「細かい点まで注意が行き届いている様」を指しても用いられます。
「精緻化」とは”より精緻な状態にすること”
「精緻化」とは”より精緻な状態にすること”を意味し、より細かいつくりにすることやより詳しくすることを指して用いられます。「細かい点まで努力を尽くし、さらに優れた状態にする」というニュアンスでも用いられる表現です。
「精緻」の読み方は”せいち”
「精緻」の読み方は“せいち”です。「精緻」の「精」は”くわしい、こまかい”、「緻」も”きめこまかい、くわしい”という意味を持つ漢字です。似た意味の漢字をふたつ重ねることでさらに意味が強調され、「極めて詳しく細かい」という意味になっています。
「精緻」の使い方と例文とは?
「精緻な」と形容詞的に使われることが多い
「精緻」は”精緻な○○”と形容詞的に用いられることが多いです。たとえば「精緻な機械」というと”つくりが非常に細かい機械”という意味に、「精緻な描写」というと”細かく詳しい描写”という意味にとることができます。
- この分野における精緻な知識では彼に勝る人はうちにはいない。
- 精緻な文様はまさに日本の職人技そのものだ。
「精緻さ」の形での使用例
「精緻さ」とは”精緻な様”を意味します。「精緻」も品詞では名詞に該当しますが、「精緻さ」の形で名詞として用いられる例も少なくありません。
たとえば、「精緻な心理描写で知られる作家」は”この作家は心理描写の精緻さで名を馳せている”などと言い換えることができます。
「精緻」の類語とは?
「精緻」の類語は”微細・精巧・細緻”
「精緻」と似た意味の単語では“微細”が挙げられます。「微細(びさい)」とは”とても細かく小さいこと”を意味する単語です。また「つくりが細かい」というニュアンスでは“精巧(せいこう)”が類語と言えるでしょう。「精巧」は”細工や仕組みがこまかくよくできていること”という意味です。
「精緻」と似た表現では“細緻”もあります。「細緻(さいち)」とは”細かく綿密なこと”という意味で、細かいところまで行き届いている様を意味します。
「精密」は科学的・機械的な正確さや精度の高さ
「精密」とは”細かい点まで注意が行き届いている事”を意味します。「精緻」とは意味だけでなく語感も似ていますが、使用分野が異なります。
「精密」は科学的、機械的な正確さや精度の高さを指して用いられることが多いのが特徴です。対する「精緻」は、人の手による細かさ、正確さを意味することが多い点がポイントです。
たとえば、「精緻な機械」は”精密な機械”と同義としても使えますが、言い換えの際には注意が必要です。
「繊細」は類語でも儚げなニュアンス
「繊細」もまた”小さい、細かい”というニュアンスを持つワードで特に「細く小さい事、ほっそりとして優美な様」を指します。また「感情の細かさ、デリケートさ」を指しても用いられます。「精緻」も”非常に細かい様”という意味を持ちますが、「繊細」の方が脆く儚げなニュアンスを伴うのがポイントです。
「精緻」の対義語とは?
「精緻」の対義語は”粗笨”
「精緻」と反対の意味を持つ語は“粗笨”です。「粗笨(そほん)とは”大まかで、細かいところまで注意が行き届かない様”をいう意味です。
また、「精緻」が”細かく丁寧である”という意味を持つことを考えると、「いい加減で大雑把である」という意味の「粗雑(そざつ)」も対義表現です。
「概要・概略」も反対の意味の表現
「精緻」の”細かいところまで詳しく”という意味では「大まかな」というニュアンスも対義表現と言えるでしょう。その意味では「概要」や「概略」といった語が挙げられます。「概要(がいよう)・概略(がいりゃく)」はいずれも、おおよその内容や大まかな流れを意味します。
「精緻」を使った関連用語とは?
「精緻化見込みモデル」とは相手を説得するための論理モデル
「精緻化見込みモデル」とは宣伝広告やマーケティングの分野でも用いられ、相手を説得する際に用いられる論理モデルのことです。もう少し詳しく言うと、説得や勧誘に対する人の認識や反応を社会心理学的にモデル化したものが「精緻化見込みモデル」と呼ばれます。
この「精緻化見込みモデル」では消費者は広告に対して「中心ルート(内容を正しく認識して反応するパターン)」と「周辺ルート(イメージ等に流され反応するパターン)」のいずれかをたどり、反応・選択するとされています。前者は相手を理論的に説得し、後者は相手の感情に訴えて説得するのが特徴です。
「精緻化リハーサル」は教育心理学用語
「精緻化リハーサル」とは、人が何かを覚える際に「長期記憶」として長く記憶にとどめておきたい場合に有効とされる手法です。覚えたことをすでに持っている知識や物事の背景・イメージと結びつけることで覚えやすくなり、単に繰り返し唱える手法(維持リハーサル)よりも長期記憶につながるとされています。
主に教育心理学の分野で用いられる表現ですが、日常的に「精緻化リハーサル」を無意識のうちに勉強の手法のひとつとして取り入れている人も多いかもしれません。
「精緻」の英語訳とは?
「精緻」は英語では”minute”などを使用する
「精緻」を英語訳する際には“minute”、”fine”、”exact”など様々な単語が挙げられます。
「minute」は時間の”分”を意味する名詞としてよく知られていますが、形容詞として「微細な、精密な」という意味を持ちます。「元気で、素晴らしい」などの意味で知られる”fine”もまた、「細かい、微細な、精巧な」といった意味で使用される単語です。
このほか、「exact(正確な、精密な)」や「elaborate(精巧な、精緻な)」「detailed(詳しい、詳細にわたる)」などの語も「精緻」の英訳に使うことができるでしょう。
- minute researches(精緻な研究)
- fine lace([目の]細かいレース)
まとめ
「精緻」は”せいち”と読み、「極めてこまかい事、こまかく詳しい様」を意味します。「精緻な○○」「精緻さ」「精緻化」など様々な言い回しで用いられますが、ビジネス用語としての「精緻化見込みモデル」も覚えておきたい表現です。なお類語の「精密」とは非常に意味が似ているものの、使用分野が少し異なります。他の類語と併せてうまく使い分けてみてください。
こちらは従来品に改良を加え、精緻化した商品です。