「不穏」の意味とは?介護や医療分野での使い方や例文・類語も解説

「不穏」とは文字通り「穏やかではないこと」を意味しますが、どういったニュアンス、使い方をされるのでしょう。「不穏」の詳しい意味とその使い方を例文で解説します。また、看護・介護など医療界における使用例「不穏な状態」や類語、英語訳についても紹介します。

「不穏」の意味とは

不穏とは「穏やかではない様子」を意味する

「不穏」とは文字通り「穏やかではない様子」を意味します。もう少し詳しく言うと、状況が不安定である様子や何らかの危機・危険が予測されるような状態を指して「不穏」と言います。

「不穏」の読み方は「ふおん」

「不穏」の読み方は「ふおん」です。「穏」の字は訓読みでは「おだやか」、音読みでは「オン」と読みます。「穏」と似た漢字に「隠」がありますが、混同しないようにしましょう。

「不穏」の使い方と例文

「不穏な空気」とは「良くないことが起こりそうな雰囲気」

「不穏」は「不穏な空気」という表現でよく使います。「不穏な空気」とは「穏やかではない雰囲気、何か好ましくないことが起こりそうな雰囲気」を意味します。

例文

彼の一言で現場は一気に不穏な空気に包まれた。

「不穏な○○」とは危機や危険を予感させる表現

「不穏な空気」以外にも「不穏な○○」の形で使用されることが多いです。「不穏な状態」「不穏な状況」などが良い例で、いずれも「危険をはらんでいる状態、状況」を指します。また、単に「穏やかではない様子」という意味で「不穏な様」などといった使い方も可能です。

例文

当社の経営は不穏な状態が続いている。

「不穏分子」とは「秩序を乱す行動を企てる人」

「不穏分子(ふおんぶんし)」とは「ある集団内で治安や秩序を乱すような行動を企てる人」を指します。「組織内の不穏分子」「不穏分子を除外する」などといった使い方をします。

例文

上司をいとも簡単に論破してしまう彼は、役員の間で「不穏分子」と呼ばれている。

「不穏状態」とは介護や看護における「興奮している状態」

介護や看護など、医療分野において「不穏」とは「落ち着きがなく興奮している様子」という意味で用いられます。「不穏状態」の表現で使用されることも多いです。

たとえば、穏やかだった人が急に興奮状態になり、大混乱に陥ったりしてしまう事を表します。主に周囲への強い警戒心を伴い、薬剤によるものをはじめ統合失調症などの精神疾患、環境不適応や過度なストレスも理由の一つです。

また、医療分野では一時的な意識・認知機能障害を指して「せん妄(せんもう)」と言いますが、「不穏状態」は「せん妄」などの意識障害によって引き起こされる例もあります。

「不穏当」とは「適切ではない、穏やかではないこと」

「不穏当(ふおんとう)」とは、「適切ではないこと、穏やかではないこと」という意味です。この「不穏等」は「不穏」ではなく「穏当(おんとう)」という語に由来し、「穏当」の否定語が「不穏当」になります。

差し障りがある事や穏やかではない様子を指して「不穏当」と使い、たとえば「不穏当な発言」という表現は「不適切な発言、穏やかではいられないような発言」というニュアンスです。

「不穏」の類語とは

「不穏な空気」は「不吉」に言い換えられる

「不穏」にはさまざまな類語がありますが、「不吉」もそのひとつです。「不吉」には「不運の兆しがあること」という意味があり、悲劇的な展開の兆候を表す点で「不穏」の持つ危険なことが起こりそうなニュアンスに通じるものがあります。

また、似た表現では「禍々しい(まがまがしい)」という語も挙げられます。

「不穏な状態」の類語は「混乱・動揺・動乱」

「不穏な状態」は「混乱」「動揺」「動乱」などの語でも表すことができます。いずれも穏やかではない不安定な様子や危険性をはらんでいるようなニュアンスを含む表現です。

「不穏」の英語訳とは

「不穏」の英語訳には「threatening」を使う

「不穏」を英語訳する場合は「threatening」を使用します。「threatening」は「強迫的な、悪いことが起こりそうな」という意味の単語です。

たとえば「The situation is threatening.」は「状況は不穏である」と和訳することができます。また「the weather is threatening(天候不穏)」「a threatening attitude(不穏な態度)」などといった使い方も可能です。

「不穏な空気」の英語訳には「unrest」

「不穏な空気」は「unrest」を使った英語訳が一般的です。「unrest」は「(社会的な)不安、不穏な状態、心配」などの意味を持つ単語で、「social unrest」は「社会不安(不穏)」、「political unrest」は「政治的な不穏」を意味します。

一方で、人間関係における「不穏な空気」は「unconfortable atmosphere」といった英語訳も可能です。「不快な雰囲気」といったニュアンスで、居心地の悪さや微妙な空気を表現したい場合に使えるフレーズです。

まとめ

「不穏」とは状況が穏やかではない様子、危険をはらんだ危機的な状況を指します。よく「不穏な空気が漂う」などの表現で用いられますが、「何か良からぬことが起きそうな雰囲気」を言い表すのに適した表現です。「不穏な状態」「不穏な様子」など状況が不安定な様を指してもよく用いられます。