「辣腕」の意味とは?「辣腕を振るう」の使い方や類語・対義語も

「辣腕を振るう」と働きぶりを評価することがありますが、「辣腕」や「辣腕を振るう」とはどのようなことを表しているのでしょうか。「辣腕」の意味や読み方をはじめ、「辣腕を振るう」「辣腕家」などの使い方を例文で解説します。また、「辣腕」の類語・対義語や英語訳など関連用語も紹介しましょう。

「辣腕」の意味と読み方とは?

「辣腕」の意味とは「的確に処理する能力がある」

「辣腕」とは「ためらうことなく、的確に物事を処理する能力がある事」という意味です。躊躇なく、的確に処理する様を指す表現で、正確性だけでなく容赦なく処理する様、こなしていく能力を指しても用いられます。

「辣腕」の正しい読み方は「らつわん」

「辣腕」は「らつわん」と読みます。「辣腕」の「辣」には「厳しい、激しい、むごい」などの意味があります。そのため、「躊躇なく、的確に対応する能力があること」という「辣腕」の意味には厳しさや乱暴さというニュアンスが含まれることがうかがえます。

「辣腕」の使い方と例文

「辣腕を振るう」の表現でよく使われる

「辣腕」のもっとも多い使用例が「辣腕を振るう(辣腕をふるう)」です。仕事ぶりをほめるニュアンスで用いられることが多く、難しい局面でも的確に業務をこなしていく能力を持つ人に対して使用します。他にも「○○さんの辣腕ぶりは伺っています」「辣腕を振るわれていますね」のような表現も可能です。

例文

新しいマネージャーは前の部署でも辣腕を振るっていたらしい。

「辣腕家」や「辣腕な○○」の形でも使う

「辣腕家」とは端的に言うと「辣腕な人」のことです。躊躇なくまた的確に物事を処理する人を指しています。「辣腕な人」という意味では「辣腕弁護士」のように、職種や肩書を続けた使い方でもよく用いられます。

たとえば「編集部でも群を抜く辣腕記者」というと凄腕な記者であることが表現できるでしょう。

「辣腕」はやや強引なニュアンスを伴う

「辣腕」は「辣」の持つ意味から、やや強引で厳しいイメージを伴って使われることが多いです。「躊躇することなく的確に」という意味からもうかがえるように、多少乱暴な手を使ったり容赦ない仕事ぶりを指したりする例も多いでしょう。

たとえば「辣腕弁護士」というと、何としても勝ちに行くような弁護士をイメージする人もいるかもしれません。ただし、ネガティブな意味で用いられるのではなく「的確に処理する能力を褒める表現」ということは押さえておきましょう。

「辣腕」と類語「敏腕・凄腕」の違いとは?

「敏腕」とは「素早い処理能力」に使う

「敏腕(びんわん)」とは「物事を素早く上手にこなす様」を意味します。物事を素早く処理する能力があること、テキパキと正確に行う能力があることを指して「敏腕」と表現します。

「敏腕」の「敏」にはすばやい、賢いという意味があります。一般に「辣腕」と「敏腕」では、「敏腕」の方が上位を指して用いられます。

「凄腕」とは「ずば抜けた能力」を示す

「凄腕(すごうで)」とは文字通り、「すごい腕前」つまり「ずば抜けた能力」を指します。「凄腕」の「凄」がもつ「すさまじい、はなはだしい」という意味から「群を抜いた能力、人並外れた能力」というニュアンスが伝わる表現です。

この「凄腕」は「辣腕」や先に紹介した「敏腕」よりもさらに上の能力を指します。普通の人とは一線を画すような意味を含むのがポイントです。

「剛腕」とは「強引に進める人」を指す

「剛腕(ごうわん)」には、「腕力が強い人」「物事を強引に進める人」という意味があります。腕っぷしの強さというニュアンスから転じて、強引に推し進めるような意味合いでも使用可能です。「豪腕」とも書かれます。

このほか野球で速い球を投げる選手を指したり、将棋や囲碁で攻めを得意とする様を表したりする使用例も挙げられます。

「有能」「やり手」も似た意味の言葉

「辣腕」の言い換えに使える表現として、「有能」や「やり手」といった表現も挙げられます。「有能」とは才能や能力があること、「やり手」とは腕前のある人を指します。

「有能」は単に才能や能力を評価するニュアンスですが、「やり手」は時に巧みに物事を操る人、容赦ない人という「辣腕」に似た意味合いでも用いられます。

「辣腕」の対義語とは

「辣腕」に明確な対義語は存在しない

「物事をためらわずに的確に処理する能力」という意味の「辣腕」には、明確な対義語は存在しません。「躊躇なく」「的確に」など複数のニュアンスを含む表現であるため、明確な対義語を定めるのは難しいようです。

反対の意味の表現では「鈍腕」も

「辣腕」と反対のニュアンスを持つ単語では、「鈍腕」が挙げられます。「鈍腕(どんわん)」とは「物事を処理する能力が劣ること、腕前が鈍いこと」という意味で、しばしば「凄腕」や「敏腕」との対比として用いられる表現です。

ネガティブなニュアンスにはなりますが、「鈍腕な弁護士」「鈍腕な上司」のように表現します。

「辣腕」の英語訳とは?

「辣腕」の英語訳では「shrewd」が使える

「辣腕」の英語訳では様々な表現が可能ですが、たとえば「shrewd」が使用できます。「shrewd」とは「鋭敏な、賢い、洞察力のある、抜け目ない」などの意味を持つ単語です。

たとえば「a shrewd lawyer」は「やり手の弁護士、辣腕な弁護士」といった和訳が可能です。また、「He is a shrewd man.」は「彼は辣腕家だ」と和訳できます。

「辣腕を振るう」の英語「display one’s shrewdness」

「辣腕を振るう」を英語訳する際は、「shrewd」の名詞形「shrewdness」を使います。一般に、「display one’s shrewdness」が「辣腕を振るう」と和訳されます。「uncommon(卓越した、稀な、の意味)」を使い「display one’s uncommon shrewdness」と表現したり、「display great shrewdness」と表現したりする例もあるようです。

例文

He displayed great shrewdness on the occasion.(彼は大いに辣腕を振るった)

まとめ

「辣腕」とは「躊躇なく、的確に処理する能力があること」という意味です。主に「辣腕を振るう」という言い回しで、仕事ぶりを評価鵜する際に用いられます。また「辣腕である人」という意味で「辣腕家」「辣腕弁護士」などの表現も可能です。