「義憤」の意味と使い方とは?熟語の構成や「義憤に駆られる」も

正義感が強く、曲がったことが嫌いな人はしばしば「義憤」を覚えることがあるものです。この「義憤」とは怒りを意味する語句のひとつですが、具体的にはどのようなシーンで用いられるのでしょうか。「義憤」の意味と使い方を例文をふまえて解説します。また、類語や言い換え表現、英語訳も紹介しています。

「義憤」の意味とは

「義憤」とは「道徳に反したことへの怒り」

「義憤」とは「道義に外れたことや不公正なことに対する怒り、いきどおり」を意味します。「道義」とは人の行うべき正しい道、道徳のことです。つまり、非道徳的な行為や人物、正しくないことに対して沸き起こる怒りや憤りを「義憤」といいます。「義憤」は硬い表現であるため、日常会話で使うことは少ないでしょう。

「義憤」の熟語の構成

「義憤」は「道義に外れたことに対するいきどおり、怒り」を意味する語であり、前の漢字が後の漢字を修飾する関係になっています。「義(道義)」に関する「憤り」ととらえるとわかりやすいでしょう。

「義憤」の読み方は「ぎふん」

「義憤」は「ぎふん」と読みます。「義憤」の「義」には「道理、人のふみ行うべき道」という意味があります。一方の「憤」は訓読みでは「いきどおる」と読み、「激しく腹を立てる」という意味です。つまり、「義憤」は激しい怒りというニュアンスを含む表現ということになります。

「義憤」の使い方と例文

「義憤に駆られる」とは怒りに突き動かされる様

「義憤に駆られる」の「駆られる」とは感情を意味する語に続けて使うことで、高まった感情に動かされる様を表します。そのため、道義に外れたことに対する怒りが強いこと、高まっていることがうかがえます。

例文

彼はとうとう義憤に駆られて、抗議しに行った。

「義憤に燃える」も強い怒りを示す表現

「義憤に燃える」とは、わかりやすく言うと「怒りに燃える」という意味です。「義憤に駆られる」と同様に、強い憤りの感情を表したい場合に使用します。また、非道徳な様や不公正な様に対して「(自分は)正しい行いをしなければ」という正義感から気持ちが激しく動く様にもとることができます。

「義憤に堪えない」も気持ちをおさえられない様

「義憤に堪えない」とは「激しい憤りをおさえられない」という意味です。単に「義憤を抱かずにはいられない(=怒らずにはいられない)」という意味を表す場合と、その感情を抱えきれず表に出さずにはいられないというニュアンスにもなります。

「義憤を抱く」「義憤を覚える」という表現も

「義憤」は道義に外れたことに対する激しい憤り(怒り)であり、感情の一種です。そのため他の感情を表す語と同じように、「義憤を抱く」や「義憤を覚える」といった表現が可能です。「義憤する」の形で使うことはないため気をつけましょう。

例文
  • 度重なる政治家の不祥事には多くの人が義憤を覚えた。
  • 上司のパラハラに義憤を抱いたのは一度や二度ではない。

「義憤」の類語とは

「義憤」の類語は「憤慨」

「義憤」と似た意味の単語は「憤慨」です。「憤慨(ふんがい)」とは「ひどく腹を立てる事」を意味し、私的な事柄や些細な事柄に起因するような怒りの感情にも使うことができます。

これに対し、「義憤」は道義に外れたことや不公正な様など怒りの対象が限られる点で異なります。

「悲憤」とは悲しみを伴う場合に使う

「悲憤(ひふん)」とは文字通り「悲しみいきどおること」という意味です。「悲しみ」という感情が加わるのが大きなポイントで、たとえば社会の不正や乱れに対して、悲しみいきどおる様に用いられます。「悲憤慷慨(ひふんこうがい)」の四字熟語で用いられることも多いです。

「私憤」とは個人的な怒りを意味する

「私憤(しふん)」とは「個人的な事柄でのいきどおり、怒り」を意味します。「義憤」が道義に外れたことに対する怒りを意味するのに対し、「私憤」は個人的な感情であり、その内容は問わない点がポイントです。

「義憤」は「激怒」に言い換えも可能

激しい憤りや怒りを意味する「義憤」は、身近な言葉では「激怒」に言い換えることが可能です。「激怒(げきど)」は文字通り激しい怒りを意味し、日常的にもよく耳にする表現でしょう。硬い印象を伴う「義憤」に対し、使いやすい表現だといえます。

「義憤」の英語訳とは

「義憤」は英語「indignation」を使う

「義憤」の英語訳として使用される単語の一つは「indignation」です。「indignation」とは「憤り」という意味を持つ英単語で、一語でも「不当な行いに対する憤慨、人に対する憤り」の意味で使えます。

「righteous」や「anger」を使った英語訳も

日本語の「義憤」のニュアンスを濃くしたい場合には、「正しいこと」を意味する英単語「righteous」を使い「righteous indignation(正しい怒り、当然の憤り)」とする例もあります。また、「怒り」を意味する「anger」を用いて「rightneous anger」という表現も可能です。

まとめ

「義憤」とは「非道徳的な行い・人物や正しくない事柄に対する憤り」という意味です。「義憤を覚える」や「義憤に駆られる」などの表現で用いられることが多く、「義憤」という語自体に「”激しい”怒り」というニュアンスを伴うのも特徴でしょう。

似た意味の表現では「憤慨」や「激怒」が挙げられますが、「義憤」は怒りの対象が限られる点が大きなポイントになります。