「言わずもがな」の意味と使い方を例文で解説!英語・類語も

「言わずもがな」はビジネスシーンでも使われる表現ですが、「言わずもがなのこと」というと何を意味するのか知っていますか?「言わずもがな」には2つの意味があり、一歩間違うと嫌な表現になってしまうこともあります。正しい意味と用例を紹介します。

「言わずもがな」の意味・語源・敬語とは?

「言わずもがな」には2パターンの意味があります。まずはその意味を詳しく解説します。

「言う必要がない」という意味

「言わずもがな」の意味は、「言う必要のないこと」です。また、言わないほうが良い余計な事といったニュアンスも持ちます。たとえば、「君が言わずもがなのことを告げたせいだ」とすると、「余計なことを告げたせいだ」と非難するような意味になるのです。

「言うまでもない」の意味もある

「余計な事」という意味の他に、「言うまでもないこと」「もちろん」という意味もあります。たとえば、「ビジネスマナーは言わずもがな、コミュニケーションスキルも不可欠だ」というと、「ビジネスマナーは当然言うまでもなく、コミュニケーションスキルも欠かせない」という意味です。

また、「価格の見直しが必要なのは言わずもがなだ(価格の見直しが必要なのは明白だ)」というように、「どう見ても明らか」「明白」という意味でも使用されます。

「もがな」の語源は古語にあり

「言わずもがな」の「もがな」とは、願望を表す助詞(終助詞)です。「~があればなあ」「~があったらなあ」という意味で、古語の一種とされています。

そのため、「言わずもがな」は、「言わないことを願う」「言わないといいのになあ」というのがそもそもの語源です。その後、時代を経て言葉が変化する中で、「言うまでもない」「明らかだ」という意味が付け足されていったと考えられています。

方言ではなく敬語表現でも使える

「言わずもがな」は方言と思われることがあるようですが、標準語です。先述したように、歴史が古く、語感が独特なことから勘違いされやすいようです。

また、「言わずもがな」そのものは敬語ではありませんが、敬語を含む文章でも使用することができます。敬語表現として使いたい場合には、「言わずもがなではございますが」「言わずもがなのことを申し上げますが」と、後に続く言葉に適切な敬語が使われていれば問題ありません。

「言わずもがな」の使い方と例文とは?

「言わずもがな」には主に2種類の意味がありますが、実際にはどう使われているのでしょう。具体的な例文を紹介します。

「言わずもがなのこと」は「余計なこと」

「言わずもがなのことを言う」「言わずもがなの発言」という言い回しをした場合には、「余計な事」という意味が考えられます。この場合、「口を滑らせてしまった」というニュアンスになるのがポイントです。

「言わずもがなの発言をしないように気を付ける」というと、「余計なことを言わないように気を付ける」という意味になります。

「言わずもがなですが」は「当然のこと」

「言わずもがなですが」と枕詞として使う場合は、「言うまでもないことですが」「当然のことながら」という意味です。たとえば、「言わずもがなですが、今回のミスは人為的なミスです」とすると「言うまでもなく、人為的ミス」「明らかに人の不注意によるミス」といったニュアンスになります。

また、「先輩は言わずもがな、後輩にも抜かれる」とすると、「先輩に追い越されるのは当然のことだが、後輩にも追い抜かれてしまった」という意味です。

「言わずもがなのひとこと」は両方の意味

「言わずもがなのひとこと」は、先述した2種類のいずれも意味でも使用されます。たとえば、「言わずもがなのひとことではございますが、念のためにご案内申し上げます」とすると「言うまでもない明らかなことだけど、念のために案内します」といった意味です。

一方、「言わずもがなのひとことが原因で、彼女の機嫌を損ねた」というと、「余計なひとことのせいで彼女を怒らせた」というニュアンスになります。前後の文章次第で、同じ表現が全く異なる意味になるので、正しく読み取ることが大切です。

「言わずもがな」の類語と英語とは?

「言わずもがな」という表現はビジネスでも使用可能な言い回しですが、ほかにも類語表現を知っておくと大変便利です。言い換えに便利な表現を紹介します。

「当然」「言わずと知れた」が類語

「言わずもがな」の類語には、「当然」「当たり前」「言うまでもない」「もちろん」といった単語があります。「言わずと知れた」という表現も、類語のひとつです。「言うまでもない」という意味の「無論」も言い換え表現として使うことができます。

これらの類語は、「言う必要のないこと」という意味で使われている場合の類語です。

「疑う余地がない」という言い方も類語

「言うまでもない」という意味で使う場合には、「明白な」「妥当な」「当たり前の」といった意味が類語です。「彼女の機嫌が悪いのは言わずもがなだ」は、「彼女の機嫌が悪いのは明白だ」とすることができます。他にも、「一目瞭然」や「当然ながら」「間違いなく」といった表現が適切なこともあります。

また、「疑う余地がない」も「言わずもがな」の類語のひとつです。ただし、前後の文脈によっては、言い換え表現としては使えないこともあります。文脈に応じて最適なものを使用するようにしてください。

英語では「needless to say」

英語で「言わずもがな」という場合には、「needless to say」という表現が一般的です。「言う必要がない」という意味で使用されます。

たとえば、「needless to say, he left the house(言うまでもなく、彼は家を出て行った)」という使い方が可能です。同様の意味で、「It’s goes without saying that he left the house(彼が家を出て行ったのは言うまでもない)」という表現もあります。

他に、
・That goes without saying(そんなことは言わずもがなだ)
・You know what it is(言わずもがなだ[言わなくても君はそれが何かを知っている])
・I should not have said that(言わずもがなのことを言ってしまった[言うべきではないことを言ってしまった])
といった表現もあり、英語の場合もニュアンスに応じた使い分けがポイントです。

まとめ

「言わずもがな」には、「言う必要のない余計な事」と「言うまでもなく当然の事」という2つの意味があります。ビジネスシーンではどちらの意味でも使用される可能性があるので、文脈に応じて意味の判別が必要です。また、誤解を防ぐためには類語や言い換え表現を使用するのもおすすめです。