「私が迂闊だった」とはミスを悔いるような発言ですが、この「迂闊」にはどういった意味があるのでしょう。「迂闊にも」「迂闊な」などその使い方とともに、「迂闊」の意味を詳しく解説します。また、「迂闊」の類語や言い換え表現、英語訳など関連用語にも触れています。
「迂闊」の意味と語源とは
「迂闊(うかつ)」とは「注意が足りないこと」
「迂闊」とは「注意が足りないこと」という意味です。「注意が足りずにぼんやりしている様」や「うっかりしていて心が行き届かない様」を指して「迂闊」と言います。「迂闊」と書いて「うかつ」と読みます。
また、使用頻度は低いですが、「物事に詳しくないこと」「実際の役に立たないこと」といった意味もあります。
「迂闊」の語源は中国語にある
「迂闊」の「迂」の字には「遠回りする、疎い」などの意味が、「闊」には「うとい、回り遠い」などの意味があります。「迂闊」はもともとは中国語に由来する表現ですが、現代で主に使われる「注意が足りないこと」という意味は、使用されるにつれて加わった日本独自の意味とされています。
「迂闊」の使い方と例文
「迂闊だった」と悔やむ表現として使う
「迂闊だった」とは自分のミスを「注意が足りなかった、うっかりしていた」と悔やむ際に用いられる表現です。
ただし、「迂闊でした」と反省を述べる例もありますが、自分では「ちょっとした不注意」だと思っていても、相手にとっては大事ということも多いため「迂闊」では済まない場合もあるでしょう。
「迂闊にも~する」もよく使う表現
「迂闊」は「迂闊にも~する(してしまった)」という言い回しでもよく用いられます。この場合、「迂闊」のニュアンスがやや強調されます。
たとえば「迂闊にも失念してしまった」は「不注意で忘れてしまった」という意味ですが、「”本当に”うっかりしていた」というような状況が伺えるでしょう。
「迂闊に~できない」と使うと自重の意味に
「迂闊に~できない」とは「うっかり~するわけにはいかない」というニュアンスになり、自分の行動などを慎む際に使います。
ネット社会では迂闊にものも言えない。
また「迂闊に外出するべきではない」と使うと「注意を欠いて外出するべきではない=軽々しく外出するべきではない」というニュアンスになります。
「迂闊なこと」「迂闊な○○」という使用例も
「迂闊な」の形で形容詞的に使うことも可能です。たとえば「迂闊なことはできない」というと「うっかりしたことはできない(下手なことはできない)」という意味になります。また、「迂闊な発言」とは「不注意な発言=考えなしの発言、軽はずみな発言」といったニュアンスです。
「迂闊」の類語、言い換え
似た意味の表現は「軽率」
「迂闊」の類語は「軽率」です。「軽率(けいそつ)」とは「深くは考えずに軽々しく行うこと、軽はずみ」という意味です。「迂闊」とは「注意が足りない」というニュアンスを持つ点で共通しています。
「不注意」「不用意」も類語
「迂闊」と似た意味の表現では「不注意」や「不用意」も挙げられます。「不注意」とは「注意が足りない様」を、「不用意」とは「用意してないこと、うっかりしていること」を意味します。
たとえば「迂闊な発言」は「不用意な発言」と言い換えることができるでしょう。
「迂闊に」は「むやみに」「軽々しく」への言い換えも
「迂闊に」の言い換えでは「むやみに」や「軽々しく」といった表現も使用できます。たとえば「迂闊に発言するべきではない」は、「むやみに発言するべきではない」「軽々しく発言するべきではない」としても似たような意味になります。
「むやみに」には「後先を考えずに振舞う様、無分別に振舞う様」という意味が、「軽々しく」には「軽率である」という意味があります。
「迂闊にも」は「不覚にも」に言い換え可
「不覚にも」とは「用心していたのに油断して失敗する様」を表します。「迂闊にも」の言い換えとして使える表現で、「不覚にも失念しておりました(=うっかり忘れていました)」はビジネスシーンでも用いられる堅い言い回しです。
「迂闊」の英語訳
「迂闊」の英語訳では「careless」を使う
「迂闊」の英語訳では「不注意」を意味する「careless」や「carelessly」を使うことができます。たとえば「I was careless.」は「迂闊でした」と和訳することができます。
It was careless of me to do that.(迂闊なことをした)
「stupid」を使った英語訳も
「carelsss」のほか、「stupid」や「stupidly」も「迂闊」の和訳をあてられる単語です。たとえば「It was stupid of you to overlook a mistake.」は直訳すると「ミスを見落とすなんて君は愚かだった」という意味ですが、「ミスを見落とすとは迂闊だった」と和訳されることもあります。
まとめ
「迂闊」とは「注意が足りないこと」を意味し、「不注意でぼんやりしているさま」や「うっかりしていて行き届かないこと」をさして用いられます。「迂闊だった」や「迂闊にも~してしまった」など不注意から生じた言動に対して使うことが多いでしょう。また、「迂闊に発言できない」のように自分の言動を慎む場合、注意を払う場合にも使用可能です。
注意書きを見落とすとはなんとも迂闊だった。