「難儀」の意味と使い方とは?ビジネス例文と類語・対義語も解説

「難儀(なんぎ)」には複数の意味があり、「歩くのも難儀だ」「難儀な仕事」「難儀な人」と使用シーンも幅広いのが特徴です。本記事では「難儀」の詳しい意味をはじめ、使い方を例文と共に解説します。また、方言での表現や類語、対義語・英語訳など関連用語も紹介します。

「難儀」の意味とは

「難儀」とは「苦労すること」という意味

「難儀(なんぎ)」とは「苦労すること、苦しみ悩むこと」という意味です。加えて、「面倒であること、迷惑なこと」という意味もあります。

「難儀」はもともと標準語

「難儀」は方言のイメージが強いという人もいますが、「難儀」そのものは辞書にも掲載されている語で標準語に該当します。そのため、ビジネスシーンで使用しても問題ありません。

「難儀やな」のような方言も

「難儀」の方言としての印象を強くしている理由の一つに「難儀やな」というフレーズが挙げられるでしょう。「やな」という語尾はいわゆる関西弁と呼ばれる方言で、「難儀なやぁ」で「大変だね」と同情や共感を示す言い回しとしてよく用いられます。

また、「なんぎ」を主に「面倒」という意味で用いる地域、「なんぎい=具合が悪い」という意味で使う地域もあります。土地によって特有の使い方があることも、「難儀」が方言と認識される理由の一つと言えるでしょう。

「難儀」の使い方とビジネス例文

「難儀である」とは悩み苦しむ様を表す

「難儀」は「難儀である」「難儀だ」という風に、悩んでいる様や苦しむ様、あるいは困難を抱える様を表す際に使用されます。たとえば、「この雨では外を出歩くのも難儀だ」とは大雨で外を出歩くのも困難である、というニュアンスです。

例文

腰を痛めてしまい、寝起きするのでさえ難儀である。 

「難儀する」「難儀している」は困窮する様にも

「難儀する」や「難儀している」という表現は悩み苦しむ様を表す際にも使用できますが、加えて「生活に困っている様」を指しても用いられます。

例文
  • このご時世、飲食店はどこも難儀しているだろう。
  • 近ごろは日用品を買うのにも難儀する程だ。

「難儀をかける」とは「迷惑をかける」の意味

「難儀をかける」は「面倒をかける、迷惑をかける」という意味です。ビジネスシーンでは、「ご難儀をおかけしますが…」の言い回しで「迷惑をかけますが…」という意味のクッション言葉としてしばしば用いられます。

例文

ご難儀をおかけしますが、よろしくご対応の程お願い申し上げます。

「難儀な仕事」とは「難しい仕事」「面倒な仕事」

「難儀な仕事」とは「難しい仕事」や「面倒な仕事」の意味にもとることができます。「手のかかる仕事」ともいうことができるでしょう。

例文

定時はとうに過ぎたが、先輩に頼まれた難儀な仕事が残っている。

「難儀な人」「難儀な子」とは「面倒な人」

「難儀な人」や「難儀な子」のように人に対して「難儀」と使った場合、主に「面倒な人」という意味にとることができます。「関わるのが面倒な人」「面倒だなと感じる人」を「難儀な人」といいます。

「難儀な性格」もまた「面倒な性格」という意味にとれますが、加えて「難儀な性格=苦労する性格」というニュアンスになるでしょう。たとえば「嘘がつけないなんて難儀な性格だね」は「苦労する性格で大変だね」という意味合いです。

「難儀」の類語とは

「難儀」の類語は「困難」や「苦難」

「難儀」の類語としては「困難」や「苦難」といった語が挙げられます。「困難」とは「物事をするのが非常に難しい様」、「苦難」とは「苦しみ、難儀」という意味です。他にも「苦労」や「面倒」といった語に言い換えられる場合もあるでしょう。

似た意味の表現には「難事」も

「難儀」とよく似た表現には「難事」もあります。「難事(なんじ)」とは「処理するのが困難な事柄、解決が難しい事柄」という意味です。「難儀」と似た意味ではありますが、人の様子などには使うことができず、「事柄」に限定して使用される表現です。

「難儀」の対義語とは

「難儀」と反対の意味を持つ「安楽」

「難儀」には明確な対義語はありませんが、反対の意味を持つ語では「安楽」が挙げられます。「安楽」とは「心身に苦痛や苦労がなく穏やかな気持ちでいられる様、楽々としている事」を指します。

「容易」も対義的な表現

「難儀」の「難しい」というニュアンスをくむと、「容易」もまた反対の意味を持つ表現と言えるでしょう。「容易」とは「簡単に行えること、たやすいこと」という意味です。たとえば「容易な仕事」「容易に解決できる」などといった使用例が挙げられます。

「難儀」の英語訳

「難儀」の英語訳では「hard」を使う

「難儀」の英語訳では「hard」という語が使用できます。「hard」は「かたい」という意味の他「難しい」という意味があり、たとえば「a hard job」は「困難な仕事=難儀な仕事」という和訳が可能です。「(金銭的に)難儀する」というニュアンスでは「be hard up for money」を使った英訳ができます。

「tough」を使った「難儀」の英語表現

「難儀」の英語訳には、「困難な」を意味する「tough」も使用可能です。「難儀な仕事」は「a tough job」、「Today was a tough day」とすると「今日は難儀な一日だった」と訳すことができます。このほか「a life of hardship(難儀な生活)」といった表現もあります。

まとめ

「難儀」とは「苦労すること」や「悩み苦しむこと」「面倒なこと」という意味を持つ表現です。方言としての印象を持つ人も多いですが、「難儀である」「難儀している」は標準的な言葉として用いられます。複数の意味を持つため使用シーンも幅広く、都度ニュアンスが若干変わってきます。本文に挙げた使用例を参考に、文脈にあう意味を探ってみてください。