「競合」の意味とビジネスでの使い方とは?競争との違いや例文も

ビジネスシーンではライバル企業を「競合」「競合他社」と表現することがありますが、「競合」とはどういった意味を持つのでしょう。「競合」の詳しい意味とその使い方について解説します。また「競合する/しない」や「競合分析」などの語句・例文解説、類語や英語訳といった関連用語にも触れています。

「競合」の意味とは

「競合」とは「きそいあうこと」を意味する

「競合」とは端的にいうと「きそいあうこと、せりあうこと」という意味です。

また、法律用語として用いられる場合は、私法上単一の事実・要件について評価や効果が重複すること、刑法ではひとつの行為が数個の罪名にあたること、という意味になります。

「競合」の読み方は「きょうごう」

「競合」は「きょうごう」と読みます。「競合」は「せりあい」とも読めますが、「せりあい」という読みでは「競り合い」と送り仮名を伴った表記が一般的です。また、「競り合い」は「互いに競争する」や「口喧嘩、こぜりあい」という意味で用いられるのが通例で、先述の「競い合う」とは異なる意味での使用が目立ちます。

「競合」のビジネスでの使い方と例文

「競合する」「競合しない」と表現する

「競合」を動詞で使う場合は「競合する」「競合しない」の形で用いられます。「A社の製品とは競合しない線で開発する」というと「A社の製品と同じターゲット層を狙わないように開発する」というニュアンスにとることができます。

例文

この手の商品は、大手3社と競合する可能性が高いためある程度のリスクを伴う。

「競合他社」とはビジネスの競争相手

「競合」の最も多い使用例が「競合他社」です。「競合他社」とは端的にいうと「ビジネスにおける競争相手」のことです。もう少し具体的にいうと「同じ分野・市場で顧客獲得を狙っている企業」をさして「競合他社」と表現します。

また「競合との差別化を図る」のように「競合」のみでも「競い合う企業」という意味で用いられる例もあります。

例文

競合他社との差別化を図る。

「競合分析」とは「競合」の調査や把握

ビジネスシーンでは、「競合」相手がどのようにして市場を獲得しているのか、その売り上げや利益などを研究・把握したうえで自社戦略に役立てることをさして「競合分析」といいます。特に「customer(市場・顧客)」「competitor(競合)」「company(自社)」の3つのCを用いた「3C分析」でよく知られています。

「競合阻害」とは酵素の反応阻害現象のこと

「競合阻害」とは酵素反応機構でおこる現象のひとつで、「同一の気質を異なる酵素が取り合うため、結果として起こる反応阻害現象」をさします。「競争阻害」や「拮抗阻害」の語でも用いられます。

「競合」のコンピュータプログラムでの使い方

コンピュータの分野で「競合」というと、複数のプログラムが動作しているコンピュータにおいて、同じファイルやデータベースにアクセスしようとした際におこる不安定な動作や不整合性を意味します。

たとえば、一方で読み取って他方でデータを更新した場合、整合性が取れなくなることがあります。こうした「競合」による問題を防ぐために、アクセス権によって制限をするのが通例です。

「競合」に転職するときの注意点

「競合他社」に転職するのは問題ない

「競合」というワードは「競合他社」「競合分析」などでもよく用いられますが、これらのワードは転職市場、人材業界でもよく耳にします。

転職の際に「競合」とされる同業種を検討する人は多いもので、実際に「競合」に転職することは可能です。これまでの経験を活かし、ステップアップを考える際にも「競合」への転職を視野に入れることもあります。

「競合」への情報漏洩はNG

「競合」への転職で問題になる点があれば、機密情報の取り扱いです。前職の内部事情を新しい職場で漏らすことはマナー違反であり、場合によっては機密漏洩として訴訟に発展することも懸念されます。当人の信用にもかかわるため、情報を漏らすのは避けましょう。

「競合」の類語と「競争」との違いとは

「競争」との違いは「優劣を争う意味を含むか」

「競合」と混同しやすい語に「競争」があります。「競争」とは、「友人と競争する」のように順位や優劣を争うニュアンスが強いのが特徴です。一方の「競合」は「きそいあう、ぶつかりあう」といったニュアンスを持つ点がポイントです。

そのため、「互いにぶつかり合う様」は「競合」、「優劣を決める場合」には「競争」を使用します。

「競合」と似た意味の言葉は「相克」

「競合」と似た熟語では「相克(そうこく)」も挙げられます。「相克」とは「2つのものが互いに、相手に勝とうと争うこと」という意味です。主に、対立・矛盾するもの同士が争う様をさします。たとえば、「理性と感情が相克する」「期待と不安が相克する」のような表現が可能です。

「競合する」の類語は「競り合う」「張り合う」

「競合する」は「競り合う」「張り合う」といった表現に言い換えることができます。「競り合う」とは「互いに競争する、互いに負けまいと激しく争う」という意味です。「張り合う」には「相手に対抗して競う、負けまいとして競い合う」という意味があります。

「競合」の英語訳とは

「競合する」は英語で「compete」「competition」

「競合する」という意味を持つ英単語は「compete」です。たとえば「競合するサービス」は「competing services」と英訳できます。また、名詞では「competition」を使用します。

例文

We behind in the competition.(競合に後れを取った)

「競合他社」は英語で「competitor」

「競合他社」の英語訳では「competitor」という語を使用するのが通例です。「competitors in business」という表現でも用いられます。

「競合他社」はいわゆる「ライバル企業」ではありますが、英単語の「rival」は敵対するようなイメージを伴うこともあり、ビジネスでは「competitor」を使うことが多いようです。

例文

This company is a competitor of ours.(この会社はうちの競合[競合他社]だ)

まとめ

「競合」とは「きそいあうこと」という意味の表現で、ビジネスシーンでは「競合他社」という表現でよく耳にします。「競合他社」とは、同じ市場で顧客獲得を目指す企業のことです。「競合する」「競合しない」や「競合分析」など、ビジネスでは「競合」をじっくりと研究し活かすことがより有力な戦力立てにつながります。