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「臨む」の意味と使い方とは?「望む」や「挑む」との違いや例文も

「海を臨む客室」「試合に臨む」など「臨む」という語は複数の意味合いで用いられます。本記事では「臨む」の詳しい意味と読み方をはじめ、その使い方を例文で解説します。また「海を臨む」と「海を望む」の違いや類語、英語訳についても紹介しましょう。

「臨む」の意味とは

「臨む」とは「目の前にする、直面する」の意味

「臨む」とは「風景や場所を目の前にする、面する」という意味です。また「ある事態が起こるような場に直面する、出会う」という意味もあります。わかりやすく言うと、風景・場所・何らかの事態など「あらゆる場面に向かい対する」という意味を持つ語です。

「出かける、参加する」という意味もある

「臨む」には「その場所へ出かける、公的な催しに参加する」という意味もあります。晴れの場や重要な会合、催し等に参加することをさして「臨む」と使う例がこの意味です。

「支配者として人に対応する」ことも表す

「臨む」は、ほかにも「支配者として人々に対する、対応する」ことも表します。支配者や統治者として、という意味を含むのがポイントで上から見下ろすようなニュアンスになります。

「臨む」の読み方は「のぞむ」

多岐にわたる意味をもつ「臨む」は、いずれの場合も「のぞむ」と読みます。「臨」の字には「みおろす、上に立つ、出向く、目のまえにする」などの意味があります。「君臨(くんりん)」や「降臨(くんりん)」などの語でも用いられる漢字です。

「臨む」と「望む」の違いとは

「望む」とは「願っていること、遠くを眺めること」

「のぞむ」と読む言葉には「望む」という表記も用いられます。「望む」には「願っていること」という意味に加えて「遠くを眺めること」という意味もあり、風景や場所に対して「臨む」と似た使い方が可能です。

たとえば、「海を望む客室」と表現した場合「海を眺める客室」という意味になります。

「臨む」と「望む」の違いは「距離感」

風景に対して似た使い方をする「臨む」と「望む」ですが、表す距離感が少し異なります。「臨む」が「直面する、目の前にする」と距離感が近い様を表現するのに対し、「望む」は「遠くに眺める」という意味です。

たとえば、先述の「海を望む客室」は「遠くのほうに海が見える」様を表現しますが、「海を臨む客室」とすると「すぐ近く、目の前に海がある」というニュアンスになります。

「臨む」の使い方と例文

「直面する、立ち向かう」の意味でよく使う

「臨む」は「物事に直面する」という文脈でよく用いられます。たとえば「社長プレゼンに臨む」のように「重大な局面に対する」様を表して使うことも多く、「立ち向かう(堂々と取り組む)」という意味にもとることができるでしょう。

例文

今回のコンペには社運をかけて臨んでいる。

「参加する」という意味での使い方と例文

「臨む」の「参加する」という意味での使用では、「コンクールに臨む」「オリンピックの開会式に臨む」などといった文例が考えられます。「立ち向かう」というニュアンスで使用する例と文脈が似ていますが、何らかの催しや会合である場合には「参加する」という意味にもとれます。

例文
  • 当社の代表としてA社の商品発表会に臨む。
  • 姪の結婚式に親のような心情で臨む。

「人への対応」を表す使い方と例文

「人に対する、対応する」という意味での「臨む」は立場が上の人に使用します。たとえば「次期経営者として厳正な態度で臨む」のように、上の者が下の者に対峙する様を言い表す際に使用します。

「風景を前にする」ことを表す使い方と例文

ビジネスシーンでは「立ち向かう」という意味での使用が多い「臨む」ですが、「風景や景色を前にする」というニュアンスでの使用例も挙げておきましょう。

例文
  • 大海を臨み、決意を新たにする。
  • 奮発したホテルから臨む景色は言葉では言い尽くせないほど贅沢だった。

「臨む」の類語とは

類語は「面する」「対する」「出向く」など

「臨む」の類語には、「面する」や「対する」「出向く」などが挙げられます。「海を臨む客室」は「海に面する客室」に、「プレゼンに臨む」は「プレゼンに向かう、向き合う」などに言い換えることができます。

また、「演奏会に臨む」は「演奏会に出向く、参加する」のような表現が可能です。「臨む」は複数の意味をもつため、言い換えに使う類語も文脈によって変わってきます。

「臨む」と「挑む」はニュアンスが異なる

「臨む」と似た語に「挑む(いどむ)」がありますが、両者のニュアンスは厳密には異なります。「挑む」には「挑戦する、チャレンジする」という意味があり、「試験に挑む」は「難しい試験にチャレンジする」という意味です。

一方、「試験に臨む」とした場合は「試験に参加する=試験を受ける」ことを表します。似た文脈ではありますが、「臨む」には「チャレンジする」というニュアンスがありません。

「臨む」の英語訳

「臨む」の英語訳では「face」を使う

「面する」という意味の「臨む」は英語では「face」を使用します。たとえば「face a crisis」は「危機に臨む(危機に直面する)」という意味に、「a house facing the sea」は「海を臨む家」という意味になります。

「参加する」の意味の英語表現は「attend」

「参加する」という意味で用いられる「臨む」は、「attend」や「be present」を使った英語訳が一般的です。「attend a ceremony」「be present a ceremony」といった言い回しで使用できます。

また、「試合に臨む」などの英訳では「go into(参加する)」という表現を用いて、「She will go into the match.」といった英語訳も可能です。

まとめ

「臨む」は「直面する、目の前にする」や「参加する」という意味で用いられます。「プレゼンに臨む」「試験に臨む」のように重大な局面に向かう様、直面する様を表すことも多いです。似た言葉の「挑む」と同じニュアンスにとらえがちですが、「挑む」には「チャレンジする」という意味があるため、厳密には異なります。