「独白」の意味とは?独白形式や類語「モノローグ」も例文で解説

「独白」は「独白する」「独白形式」の表現で日常的に耳にするほか、演劇用語としても用いられます。本記事では、「独白」の詳しい意味とその使い方を例文で解説しましょう。また、「モノローグ」などの類語、言い換え表現や「独白」の英語訳についても紹介します。

「独白」の意味とは

「独白」とは相手なしで台詞を述べること

「独白」とは「演劇において相手なしで台詞(せりふ)を述べること、またはその台詞」という意味で、読み方は「どくはく」です。登場人物が心に抱える心情や考えを観客に知らせるために用いられる手法をさし、「ひとりぜりふ」とも呼ばれます。

演劇における「独白」の用い方は作品によって異なり、登場人物が自分の気持ちを述べるだけでなく、「天が語りかける声」「その場にいない(設定の)人物の声」を表すなど様々なパターンがあります。また、「独白」と呼ばれる演出では舞台上にその人物がひとりで立ち台詞を述べる、というスタイルも特徴的です。

「ひとりごとを言うこと」という意味も

「独白」は演劇における手法としてだけでなく、日常生活において「ひとりごとを言うこと」という意味でも用いられます。「心の内に抱える思いを独り言の形式で表す」というニュアンスです。

なお、「独白」の「独」には「ひとり、ひとりよがり」という意味が、「白」の字は色としての「白」だけでなく「もうす、つげる」などの意味があります。

「独白」の使い方と例文

「独白」の演劇における使用例

「独白」は演劇における手法のひとつであることは先述の通りです。たとえば、シェイクスピアの『ハムレット』における「独白」シーンは、世界的にも有名です。

例文

姫が自問自答する独白シーンには心を惹きつけられた。

「独白劇」とは「ひとり舞台」をさす例も

「独白劇」とは「独白の劇」を意味し、「ひとり舞台」「ひとり芝居」を指しても用いられます。「独白」が「相手無しで台詞を言うこと、その台詞」という意味ですが、加えて舞台上でひとりで台詞を言う様を表します。そこから、「独白劇」は「舞台上でひとり、相手無しで台詞をいう劇」という意味が推測できるでしょう。

「ひとりごと」の意味での「独白」の使用例

「独白」は演劇シーンだけでなく「ひとりごと」の意味でも用いられます。ただし、「独白」が指す「ひとりごと」は厳密に言うと誰もいない場所でひとりぽつりと漏らすものではなく、「周囲の人に自分の心情を(勝手に)話す」というニュアンスで用いられることが多いのがポイントです。

たとえば、お酒の席で急に仕事への情熱を語りだす上司には「また○○部長の独白が始まった…」という言葉が合います。このように、ひとり語りではあるものの誰かに聞かせる意図をもったものを指して「独白」と使います。

「独白形式」はインタビューでよく使われる

「独白形式」とは主にテレビや雑誌の芸能インタビューで見かける表現です。この場合の「独白」は「心情を吐露する」という意味にとるとわかりやすいでしょう。

たとえば、スキャンダルの渦中にある芸能人が、心の内や事の真相を明かしたインタビューが「独白!」と目を引く見出しで報じられることがあります。この場合、インタビュアーが聞き出すというよりは、思うままに語らせる形式を指すことが多いです。

例文

大物芸能人の独白記事が掲載されたこともあり、今月号の売れ行きは好調だ。

「独白する」という表現で使う

「独白する」という表現は、演劇用語に限らず日常会話としても使用できます。たとば、劇中で登場人物が行う「独白」を指して「主人公が独白する姿は涙を誘った」と使うほか、「彼は周りの空気など考えずに独白する癖がある」といった使用例も挙げられるでしょう。

「独白」の類語や言い換え表現とは

「独白」はカタカナで「モノローグ」とも

「モノローグ」とは英語やフランス語「monologue」の読みをそのままカタカナで使用した表現です。この「モノローグ」の日本語訳が「独白」です。日本語でも特に演劇用語としては「モノローグ」とカタカナで使用される例も少なくありません。

「傍白」と「独白」では舞台上の人数が違う

演劇における「独白」と似た手法では「傍白」が挙げられます。「傍白(ぼうはく)」もまた、登場人物が一人で語ることを指します。

ただし、「独白」と「傍白」では舞台上の人物の数が異なるのがポイントです。「独白」は舞台上でひとりで語るのに対し、「傍白」は他の人物が舞台上にはいるものの観客にのみに聞かせる前提でひとり台詞を述べるという演出です。

舞台上に他の役者がいる点が「傍白」の特徴ですが、劇の進行としては舞台上の他の人物に知られたくない事柄を観客と共有するという意図があります。

「ひとりごと」を意味する類語は「独言」「独話」

「ひとりごと」という意味での「独白」の類語は「独言(どくげん)」や「独語(どくご)」が挙げられます。いずれも「ひとりでものをいうこと」を意味し、人に話しかけるのではなく無意識に言葉が出るような様を指して用いられます。ただし、日常会話では「ひとりごと」や「独白」といった語の方がメジャーです。

「独白」の英語訳とは

英語では「monologue」を使う

「独白」を意味する英単語は「monologue」です。英単語「monologue」は「独白、モノローグ、ひとり芝居」などの意味を持ちます。

例文

She continued her monologue.(彼女は独白を続けた)

「confess」を使った英訳も可能

「confess」とは「告白する、白状する、打ち明ける」などの意味を持つ英単語ですが、文脈によっては「独白する」の和訳が宛てられることもあります。一般的には「He confessed his guilt.」や「He confessed himself guilty.」などの形が多いです。

いずれも「彼は罪を告白した、認めた」というニュアンスですが、使用シーンによっては「彼は罪を独白した」ととることもできるでしょう。

まとめ

「独白」は演劇における手法の一つとして「登場人物が舞台で相手無しで台詞を述べること、その台詞」という意味を持ちます。「独白」は舞台にその人ひとりだけが立っているのが特徴で、観客に向かって心情を明かすなどの目的で用いられます。

一方、日常で「独白」という場合は一般に「ひとりごと」の意味が多いです。また、芸能インタビューの「独白」は「心情を打ち明ける」というニュアンスにもとれるでしょう。