「然程(さほど)」の意味と使い方とは?「左程」との違いや例文も

「然程(さほど)」とは「それくらい」という意味で使われる文章表現です。この記事では「然程」の意味や使い方を、例文を交えて解説します。また、「左程」との違いや類語についても紹介しています。

「然程(さほど)」の意味とは?

「然程」の意味は「それくらい」

「然程(さほど)」とは、「それくらい」「それほど」という意味を持つ、やや改まった表現です。文法的には副詞「さ」と副助詞「ほど」の複合語であり、副詞(程度の副詞)に分類されます。

また、「然程」のあとには打ち消しの語を伴って「さほど~ない」のように使われることが多いです。この場合、「特に取り立てて言うほどのことはない」「大したことはない」という意味で使われます。

「左程」は借字(当て字)で意味は同じ

「然程」は、「左程」と書いて使われることがありますが、これは借字(しゃくじ)という当て字の一種でどちらも読み方は同じです。借字とは、意味に関係なく同じ音の漢字を書いて表す語句の表記方法のことです。

「然程」も「左程」も意味に違いはないため、「左程」を使用しても間違いには当たりません。

「然程」の使い方と例文

「然程」はビジネスシーンや改まった場で使う

「然程」は「それほど」よりも少し改まった表現になるため、ビジネスシーンや改まった場での会話や文章でよく使われます。

例文

為替が大きく変動したが、日本の株式市場は然程影響を受けなかった。

「然程変わらない」「然程でもない」と使う

「然程変わらない」「然程でもない」のように、日常生活や会話の中で「それほど~ない」という意味合いでも使われます。

例文

美容院に行って髪型を変えたものの、以前と然程変わらない。

「さほど」との使い分けは?

「然程」は、ひらがなで「さほど」と書き表すこともありますが、使い分けに明確な決まりやルールはありません。ひらがなで表すと文章自体に柔らかさが生まれますので、場面に応じて使い分けるとよいでしょう。

例文

今日の国語のテストは、さほど難しくなかったよ。

「然程」を使った例文

  • 彼の書道の腕前は師匠レベルと聞いていたが、然程でもないようだ
  • 朝は然程寒さを感じませんが、夜になると冷えてきますね
  • 妹は受験勉強を然程大変だと思っていないようで、羨ましい

「然程」の類語・同義語

然程の類語①「それくらい」

「然程」の類語「それくらい」には「その程度」という意味合いがあります。物事の程度を軽んじたり協調したりするときに用いられます。

然程の類語②「そんなに(~ではない)」

類語「そんなに」を使う場合は、後に打ち消しの「~ない」を用います。取り立てて言うほどのものではなかった、そこまでの程度ではなかったという意味になります。

然程の類語③「それほど(~ではない)」

「それほど」とは、「そこに示されている程度がはなはだしい」という意味です。「然程」の類語として使う場合は、後に打ち消しの「~ない」を用いる必要があります。「それほど」に打ち消し語を伴わない場合、「然程」の類語としては使えない点は注意しましょう。

たとえば「それほどおっしゃるのであれば承ります」という文章の場合、「然程おっしゃるのであれば承ります」に言い換えてしまうと、不自然な言い回しになってしまいます。

然程の類語④「あんまり(~ではない)」

「あんまり」「あまり」も、「然程」の類語に位置づけられます。こちらも後に打ち消し語を伴って使います。ちなみに「あんまり」は口語表現ですので、ビジネスシーンや改まった場面・文章で使うのには適していません。

然程の類語⑤「大して(たいして)(~ではない)」

「大して(たいして)」も、「然程」の類語です。「取り立てて言うほどのことはない、大したことはない」という意味になるため、後には打ち消し語を用いて使います。

「然程」の対義語・反対語

然程の対義語①「やはり」

「然程」の対義語にあたる「やはり」は、思っていた通り・予想していた通りの結果が見られたという様子を表す言葉です。

然程の対義語②「思った以上に」

「思った以上に」も、「然程」とは対義的な意味で使われる言葉です。事前に自分が考えていたことよりも程度が高かったという意味があります。

然程の対義語③「あまりに、あまりにも」

「あまりに、あまりにも」という表現も対義語として使用可能です。普通の程度をひどく超えている、度が過ぎているという場合に使われます。

然程の対義語④「想像以上に、予想以上に」

「想像以上に」「予想以上に」は、自分が想像(予想)していたよりも程度が高かった場合に使われる対義語です。「然程」とは対照的な意味合いを持っています。

まとめ

「然程(さほど)」は、ビジネスシーンや改まった会話で使われることが多い言葉です。また「然程」と「左程」に意味の違いはないため、「左程」を使用しても間違いではありません。「然程」には類語も多いため、場面や状況に応じて使い分け表現の幅を広げてみてください。