「困る」の言い換えとは?ビジネスシーンで役立つ表現や慣用句も紹介

「困る」という言葉は様々な場面や状況で使えますが、場合によっては言い換え表現を用いることで相手に気持ちが伝わりやすくなります。幅広く使われる言葉だからこそ、言い換えのバリエーションを知っておくと役立つでしょう。この記事では「困る」の言い換え表現や慣用句を紹介します。

「困る」の意味とは

「困る」の意味は「どうすればよいか苦しむ」「不都合である」など

「困る」には様々な意味がありますが、具体的には以下の5つの意味合いで使われている言葉です。

「困る」の意味
  • 「物事をどう判断・処理すればよいかわからず苦しむ」

(例文:そんな無理難題を言われても私は困ります。)

  • 「取り扱いがやっかいで苦しむこと」

(例文:彼は頭の回転が速すぎて会話が時々飛躍してしまう、これは困ったものだ。)

  • 「つらいことにあって悩んでしまうこと」

(例文:どうやら彼は上司から毎日うるさく言われて困っている様子だ。)

  • 「不都合である・迷惑である」

(例文:彼女はドタキャンすることが多いから、予定が読めなくて困るんだよね。)

  • 「物やお金がなく、生活に苦しむこと」

(例文:あなたは生活に困ったことなんて一度もないのではありませんか。)

「困る」の「困」の字は「木」と「口」から成っており「木がかこいの中(□の中)でのびなやんでいるようす」を表しています。

「困る」と「悩む」の違いは「内面的なもの」が含まれるかどうか

「困る」と同じように使われる言葉に「悩む」があります。どちらも「物事をどう判断・処理すればよいかわからず苦しむ」を意味する言葉ですが、「困る」は「実際に問題や不都合に直面し、その対処に苦しんでいる」のに対して「悩む」には「実際に問題や不都合などがなくても、内面的に迷ったり苦しんだりすること」のニュアンスが含まれています。

たとえば、将来のこと(まだ起きていない事象)を心配して不安に思う気持ちを伝えるときには「将来のことを考えて悩んでいる」と言います。

ビジネスシーンで使える「困る」の言い換え表現とは

「窮する」

「窮する(きゅうする)」とは「どうすればよいかわからなくなる」「行き詰まってどうにもならない」「苦しむ」といった意味を持つ言葉です。「困る」の言い換え表現として用いられることが多く、「彼からの鋭い質問を受け、返答に窮した」「仕事にありつけず、その日食べるパンにも窮するありさまだった」のように使います。

「窮」の字は”人が穴に押し込められている”様子をあらわしています。「困る」の「困」と「窮」をあわせた「困窮(こんきゅう)」という熟語も「行き詰まる・苦しむ」の意味としてよく知られています。

「苦慮する」

「苦慮(くりょ)」とは「苦心していろいろと考えること」という意味の熟語です。何か課題や問題があり、どのように対応すればよいかいろいろと苦しみ考える様子をあらわすときに用います。

ビジネスシーンでは「苦慮する」と動詞の形で使われることが多くあります。何らかの問題が生じて対応に困っている際「対応に苦慮しています」といった風に用いるほか、事業が行き詰まっていることを伝えたいときに「資金繰りに苦慮する」と用いられることもあります。

「参る」

「参る(まいる)」には「行く・来るの謙譲語」や「負ける」の意味のほか「困る、閉口する」の意味があり、「困る」の言い換え表現としてよく用いられる言葉です。

特に体調面や精神面の状態が優れないときに「今年も猛暑だそうで、参りますね」「彼が引き起こしたトラブルのおかげで参ってしまったよ」といった風に使います。

「困る」をあらわす慣用句の表現は

「手を焼く」

「手を焼く(てをやく)」は「解決の方法が見つからず対応に困ること・手間がかかって面倒で困ること」を意味する慣用句です。「焼く」には「気を配る・あれこれと気を使い心を働かせる」の意味がありますが、この「手を焼く」の場合の”焼く”は「火傷(やけど)をする」の意味で使われています。「さわると手を火傷してしまうほど扱いが難しい」という状況を比喩した慣用句です。

「慣れない子どもの世話に手を焼いた」「今年の新入社員は電話にも出ようとせず、指導に手を焼いている」のように、対応に困っている・大変で苦労している様子をあらわすときに使います。

「途方に暮れる」

「途方に暮れる(とほうにくれる)」とは「どうすればよいか手段に迷う」や「方法や手段が尽きてしまい、困っている状態」を意味する慣用句です。「途方」とは「筋道や方向」、「暮れる」は「見通しが立たず困る」の意味があります。この2つの語句を合わせることで、心から困っている状態を表現することができます。

「課題が思った以上に難しく、期日までに提出ができそうにないため途方に暮れる」「道に迷ったあげく、雨も降りだしてきて途方に暮れた」のように使われます。

「頭が痛い」

慣用句としての「頭が痛い(あたまがいたい)」は「心を悩ませる」「解決がむずかしく、心配したり困ったりするようす」を意味します。考え事や困りごとに頭や心が支配され、頭痛がするような状態を比喩的にあらわしています。

「明日はクレーム対応で忙しくなると思うと頭が痛い」「やらなければならないことが多すぎて頭が痛い」のように用いますが、「困る」よりも程度が大きいときに使われることが多いでしょう。

「困る」を英語で表現する場合は

「困る」の英語表現は「be in trouble」など

「困る」には様々な意味があるため、英語で表現する場合は状況に合った言い回しを使う必要があります。その中でも「trouble」は「困ったこと、問題」という意味でよく使われている表現です。「be in trouble with ~」の言い回しで「○○で困っている」と言い表すことができます。

また「どうすればよいかわからず困る」ときに使われている英語表現には(I don’t know) what to do.」があります。日本語訳は「(私は)何をするべきかわからない」となりますが、相手に自分が困っている状態であることを伝えたいときに使います。

このほか「物やお金がなく、生活に苦しむこと」の意味を英語で伝えたいときに使われるのは「be short of~」。特に「お金に困っている」状況においては「hard up~」が用いられます。

「困る」の様々な英語表現を使った例文

  • She seems to be in trouble with her boyfriend. (彼女は付き合っている彼のことで困っているようだ)
  • I lost my passport. I don’t know what to do.(パスポートをなくしてしまった。どうすればよいかわかりません)
  • They’re short of hands.(彼らは人手が足りなくて困っています)
  • She is hard up for money.(彼女はお金に困っている)

まとめ

「困る」は「物事をどう判断・処理すればよいかわからず苦しむ」「取り扱いがやっかいで苦しむこと」「つらいことにあって悩んでしまうこと」「不都合である・迷惑である」「物やお金がなく、生活に苦しむこと」と、様々な意味合いを持つ言葉です。相手へ細かい気持ちのニュアンスを伝えるためには、状況と気持ちに応じた言い換え表現を適切に使うとよいでしょう。