「つらつらと思う」「つらつらと流れる」「つらつらと書く」など、「つらつらと」は様々なシーンで使用されます。念入りにする様を指しても用いられる「つらつらと」について、意味や使い方を例文で詳しく解説します。また、語源や類語、英語訳についてもあわせてみていきましょう。
「つらつらと」の意味や由来・語源
「つらつらと」は「深く考える様」を意味する
「つらつらと」は「よく考える様、深く考えること」を意味します。「つらつらと」という音の響きから、あっさりとした印象を覚える人もいますが、見落としている点はないか、などと深くじっくり考える様を指します。
「つらつらと」には「なめらかに」の意味も
一方で「つらつらと」は「つらつらと流れる」「つらつらと滴る」のように液体がしたたり落ちる様も意味します。転じて、「なめらかに」というニュアンスで使用されることもあります。
一部では、この「なめらかに」という意味の「つらつらと」は誤用とする声もありますが、広く浸透した意味として許容範囲とする例も少なくありません。
「つらつらと」を漢字で書くと「熟熟」
「つらつらと」は漢字では「熟熟」と書きます。「熟々」と書く例もあります。「熟」の字は「じゅうぶんに、よく、つらつら」という意味を持つ漢字です。同じ意味を持つ字を使い、「倩(つらつら)」の表記も可能です。
また、「連々(連連)」の表記で「つらつら」と読ませることもあり、この場合は「連なり続く様」という意味で使用します。たとえば「つらつらと流れる」は「連々と流れる」と書きます。
なお、いずれの表記も当て字とされていて、漢字で書くよりもひらがなで書くのが一般的です。
「つらつらと」の由来・語源は「大和言葉」
「つらつらと」は万葉集や徒然草などにも「連連(つらつら)」の表現が使用されていて、それに由来する「つらつら」は古くからある大和言葉とされています。
以降も古語として「倩(つらつら)」が見受けられ、日本では古くから文学作品等で使用された語といえるでしょう。
「つらつらと」の使い方と例文
「つらつらと書く」「つらつらと綴る」と使うことが多い
「つらつらと」は、「つらつらと書く(書き連ねる)」「つらつらと綴る」といった表現でよく用いられます。「つらつらと」は「深く考える様」という意味のため、「よく考えながら書く、じっくりと考えて書く」という意味になります。
また、「つらつらと」を「なめらかに」という意味合いで、「手を止めずに滑らかに書く(綴る)」というニュアンスで用いられる例もあります。
「つらつらと話す」はよく考えて話す様
「つらつらと話す」とは「よく考えて話す」という意味です。「思いついた事柄をさらりと述べる」というニュアンスでは使われません。「つらつらと」を「なめらかに」の意味合いで使う場合は、「つかえることなく話す」という意味にとることができるでしょう。
彼がつらつらと述べる姿は、全く緊張を感じさせなかった
「つらつらと思う」「つらつらと考える」は熟考する様
「つらつらと思う」「つらつらと考える」はいずれも「念入りに、じっくりと考える様」「熟考する様」を表します。たとえば、見落としや誤りがないかどうかを深く考える様、難しい問題に思いを巡らせる様を指して用いられることが多いです。
- つらつらと思うに、彼のやり方はやはり間違っているのではないだろうか
- 将来のことをつらつらと考えれば、自ずと求めるものが見えてくるはずだ
「つらつらと」の類語とは
類語は「念入りに」「よくよく」
「つらつらと」の類語では「念入りに」が挙げられます。「念入り」とは「細かい点まで注意を払ってすること」という意味で、たとえば「つらつらと考える」は「念入りに考える」と言い換えることができます。
また、「よくよく考える」の「よくよく」も「念入りに物事をする様」を表す語です。「よく」だけでも「十分に」という意味がありますが、「よくよく」と繰り返すことでさらに念入りな様がうかがえます。
滑らかな様は「すらすら」「ぺらぺら」
「なめらかな様」という意味では「すらすら」「ぺらぺら」といった表現が似た意味を持ちます。「すらすら」とは「途中で止まることなく、なめらかに進む様」を、「ぺらぺら」は「流ちょうに話す様」を表します。
「すらすらと書き連ねる」「ぺらぺらと話す」などが良い使用例で、複数の解釈ができる「つらつらと」よりも伝わりやすいでしょう。
「つらつらと」の英語訳とは
「つらつらと考える」は「carefully」「deeply」
「つらつらと考える」の「つらつらと」は「carefully」や「deeply」を使った英語訳が可能です。「carefully」には「注意深く」、「deeply」には「深く」という意味があります。
たとえば「You should think about this problem deeply enough to find the answer.」は「答えが見つかるまでつらつらと考えるべきだ」と和訳できます。
「つらつらと書く」は「smoothly」
一方、「なめらかに」というニュアンスで使用される「つらつらと」は「smoothly」を使うことができます。「スムーズに」というカタカナ表現の由来ともなる英単語で「to write smoothly」は「つらつらと書く」と和訳可能です。
また、「止まることなく書き綴った」という意味では「write without stopping」と表現することもできるでしょう。
まとめ
「つらつらと」は「よく考えて何かをする様、深く考える様」という意味です。じっくりと念入りに考えて何かをする様を指して「つらつらと」と使用します。「つらつらと滴る」のように液体が落ちる様が転じて「なめらかな」という意味で用いられることもありますが、誤用という意見もあるため使用する際は気をつけましょう。
彼は要件をつらつらと書き、私に渡した
一人静かに、これまでの思いをつらつらと綴る