「因縁の相手」とライバルを指したり、「因縁を感じる」や「因縁をつける」と使ったりと「因縁」は様々なシーンで用いられます。この「因縁」の意味と使い方を例文で詳しく解説します。また、「因縁生起」など四字熟語や類語・言い換え表現、英語訳などの関連用語もあわせてみていきましょう。
「因縁」の意味とは
因縁とは「前世からの運命、関係」の意味
「因縁」の意味をわかりやすく言うと「前世からの運命、宿命」です。「以前からの関係」や「ゆかり」「物事の起こり、由来」という意味もあります。
「因縁」には「言いがかり」の意味もある
「因縁」には「以前からの運命、関係」「物事の由来」などの意味の他「言いがかり」という意味もあります。一見すると関係なさそうな出来事でも実は関係・由来があるとする「因縁」の意味から派生して、「無理なこじつけ・理屈」といったニュアンスでも用いられるようになったとされています。
「因縁」はもともと仏教用語
「因縁」は仏教に由来する語です。「因縁」の「因」は物事をおこす直接的な原因を、「縁」は外から助ける外的な原因(間接的な原因)を意味し、仏教ではすべての物事がこの「因」と「縁」によって起こるとされています。
「因縁」の読み方は「いんねん」
「因縁」は「いんねん」と読みます。「縁」は一般には「えん」と読むことが多いですが、「因縁」の場合は「いんねん」と読むのが正しい読み方です。
「因縁」の使い方と例文
「因縁の相手」「因縁の対決」と使う
「因縁の相手」とは「以前から関係がある相手、運命の相手」という意味で、わかりやすく言うと「ライバル」を表すことが多いです。
初対面ではなくこれまでに幾度と相対してきた相手のように、なんらかの関係がある相手を指して用いられます。過去に幾度も負けてきた相手や、これまでのかかわりからネガティブな印象を持つ相手を指して「因縁の相手」と使う例も多いです。
「因縁の対決」も同様で、これまでに何らかの関係がある者同士の対決を指します。過去に負けた方が雪辱を晴らす思いでのぞむ試合は良い例で、他にも長年ライバル関係にあるもの同士の決着をつける、というような対決に用いられます。
「因縁を感じる」は「宿命、運命」の意味
「因縁を感じる」とは「宿命や運命を感じる」という意味で、ただならぬつながり、関係性を覚えた時に用いられる表現です。良い意味での「運命」というよりは、「好ましくない縁」に対して用いられます。たとえば苦手な相手と鉢合わせる機会が多い場合に「因縁を感じる」と表現できます。
また、「因縁がある」としても似たニュアンスになります。
- 彼女とはなにかと比較されるため因縁を感じている
- あいつとの間には因縁があるのではないかと思わざるを得ない
「因縁をつける」は「こじつけて責め立てる」こと
「因縁をつける」とは、無理に理由をこじつけて攻め立てること、言いがかりをつけることを意味します。クレーマーと呼ばれるような顧客からの理不尽な要求もまた、「因縁をつける」の良い例です。
機嫌が悪いからと言って周囲に因縁をつけて回るのは勘弁してほしい
「因縁を晴らす」と使う例は少ない
「因縁」は「良くない関係性」というニュアンスを持ちますが、過去から続く嫌な関係を断ち切るという意味で「因縁を晴らす」という使うのは一般的ではありません。この場合の「晴らす」は「不快な気持ちを取り去り、晴れ晴れさせる」という意味で、「因縁を晴らす」という使い方は稀です。
相手に抱いていた嫌な感情を晴らす、という意味では「恨みを晴らす」「遺恨を晴らす」「屈辱を晴らす」などの言い回しが適切でしょう。
「因縁」の関連語とは
「因縁生起(いんねんしょうき)」は仏教用語
「因縁生起」とは仏教の真理を表す語のひとつで、この世のすべてにそれを生んだ「因」と「縁」があるという考えを示します。原因が相互に関係しあい成立していて、その原因や条件がなくなれば結果もなくなってしまう、という意味です。
日常的に「縁起が良い」「縁起が悪い」ということがありますが、この「縁起」は「因縁生起」を省略した語です。一般には「縁起(えんぎ)」のほうが良く知られていますが、本来は仏教に由来する語ということになります。
「因縁話(いんねんばなし)」は事情を含めた話
「因縁話」とは、結末に至るまでの原因や事情を含めた話を意味します。たとえば、前世からの運命、関係といった「因縁」を主とした昔話を指して用いられる表現です。
「因縁」の類語とは
「因縁」の類語は「宿縁」「宿命」
「因縁」の類語では「宿縁」が挙げられます。「宿縁」とは「前世からの因縁」という意味で、まさに「因縁」と同じ意味を持つ語と言えます。なお、「因縁」が「いんねん」と読むのに対し、「宿縁」は「しゅくえん」と読む点に気をつけましょう。
また、「宿命」も「因縁」の類語のひとつです。「宿命」とは「生まれる前のよから定まっている運命」という意味です。「これもまた宿命だ」などと使うことができます。
「因縁をつける」の類語は「言いがかり」「難癖」
「因縁をつける」の「因縁」は、「言いがかり」「難癖(なんくせ)」といった語に言い換えることができます。
「言いがかりをつける」とは「根拠の薄い文句を並べて難癖をつける」こと、「難癖をつける」は「些細な欠点を大げさにとがめる」ことを意味します。いずれも何か口実を見つけて、相手を困らせることを指す表現です。
「因縁」の英語訳
「因縁」は英語では「fate」
「因縁」の英語訳では「運命」を意味する英単語「fate」が使用できます。たとえば「因縁の対決」は「fate」を形容詞「fateful」にし、「a fateful confrontation」と英訳することが可能です。
また「ゆかり、関係」などの意味を持つ「connection」や「親しみ、親近感」などの意味を持つ「affinity」を使った英語表現に「因縁」の和訳が宛てられることもあります。
There is a deep affinity between us.(私たちの間には深い因縁がある)
「因縁をつける」は「pick a quarrel」
一方、「因縁をつける」の英語訳では「pick a quarrel」という英語表現が使用できます。この場合の「pick」は「仕掛ける」という意味、「quarrel」は「喧嘩」という意味です。
You don’t need to pick a quarrel with him.(彼に因縁をつける必要はない)
まとめ
「因縁」とは「前世からの運命、以前からの関係」という意味で主に用いられます。良い意味での「運命」ではなく、しらがみのようにネガティブな意味で「因縁の対決」「因縁を感じる」と使用します。また、「因縁」は「言いがかり」という意味もあり「因縁をつける」と使うことも多いです。
次回の社内コンペはAさんとBさんの因縁の対決となりそうだ