「対外的」の意味と類語とは?対外的独立性や反対語「対内的」も

「新商品を対外的に公表する」「対外的イメージ」のように、企業では社外に向けた動きを「対外的」という語を使って表すことがあります。本記事ではこの「対外的」の意味と使い方を例文で解説します。また「対外的主権」や「役職と対外的呼称」といったキーワード、類語・対義語といった関連用語についても紹介しましょう。

「対外的」の意味とは

「対外的」とは「外部、外国に対する様」の意味

「対外的(たいがいてき)」とは「外部、外国に対する様」という意味の言葉です。主に、国家が諸外国に対する様、組織が社会に対する様に対して用いられます。

「体外的」とは意味が異なる

「対外的」と同じ読みの熟語表現に「体外的」があります。「体外」とは文字通り「体の外」を意味する語で、上記の「対外的」とは異なる意味を持ちます。特に誤変換には注意したい表現です。

「対外的」の使い方と例文

「対外的に示す」「対外的に公表」と使う

「対外的」は「対外的に示す」や「対外的に公表する」の言い回しでしばしば用いられます。内々で決めた事柄を外部に明らかにする際に使用する表現です。

たとえば、国が諸外国に対して使う場合は「政府は○○について、今後は厳に対処する態度を対外的に示した」と表現し、企業が社外(世間)に「役員の不祥事について、対外的に公表することが決まった」と使うことができます。

また「対外的に示す、公表する」だけでなく「対外的に○○する」と他の動詞とともに使用される例もあります。

例文

対外的にアピールするのであれば、web戦略が不可欠だ

「対外的なイメージ」「対外的なコミュニケーション」

「対外的」は「対外的な○○」の形でもしばしば用いられます。たとえば「対外的なイメージアップ戦略」というと、「社外に対するイメージアップ戦略」つまり「外部の人が持つ企業イメージを向上させるための戦略」のことです。

また「対外的な活動」「対外的な仕事」「対外的なコミュニケーション」といった表現もよく耳にするでしょう。いずれも、国や組織が外部に対して言い表す際の表現です。

例文
  • 対外的なコミュニケーションツールとしてSNSを活用するのもいいかもしれない
  • 対外的な政策だけでなく、国内の社会福祉、社会保障の充実にも取り組んでほしい

「対外的主権」とは「外国に対する主権」

「対外的主権」とは「外国に対する主権」のことです。「主権」とは国家における最高で最終的な政治的権威を指し、「国家主権」とも呼ばれます。この「国家主権」のうち、国家が外国に対して行使できる独立した主権、他国の支配に服さない独立性を「対外的主権」といいます。

なお、「国家主権」は3種類あり、「対外的主権」のほか「統治権(領域内の立法・行政・司法の権利)」と「国政の最高決定権(政治を最終的に決定する権利)」があります。

「対外的主権」は「対外的独立性」の表現も

「対外的主権」は「外国から支配されることなく、独立性を保つこと」、つまり「外交の干渉は許さない」という意味で「対外的独立性」という表現が用いられることもあります。「主権」という語は使用していませんが、「対外的主権」と意味する内容は同じです。

「対外的呼称」と「役職」の違い

企業では「管理職」と呼ばれるような「役職」が存在します。課長・部長などの「役職」に就くと、ある一定の権限が与えられるのが通例です。ただし、なかには肩書はあるものの特別な権限を持たないポジションも存在します。それが「対外的呼称」です。

「対外的呼称」には「課長補佐」「課長代理」「店長代行」などがあります。ほかのスタッフに比べて業務範囲が広いものの、特別な権限を持たないことが多いのも特徴です。ただし「対外的呼称」を使うことで、社外の人には一定のスキル・経験を持つ人として認識され、仕事がスムーズに運ぶ例もあります。

「対外的」の類語や言い換えとは

「対外的」の類語は「社外」

ビジネスシーンで用いられる「対外的」の言い換えには「社外」が使用できます。「社外」とは文字通り「会社(企業)の外」を意味し、たとえば「対外的に発表した」は「社外に発表した」あるいは「社外向けに発表した」などと言い換えることができるでしょう。

「表向き」も言い換えに使える表現

「表向き(おもてむき)」とは「実際のところはともかく表面上のこと、うわべ」という意味です。「対外的」は、言葉の意味としては「外部、外国に対する様」を指しますが、都合よく書き換えるなどして外面をよくする、というニュアンスを含んでも用いられることもあります。

たとえば「対外的にはこれでいいだろう」は、「表向きはこれでいいだろう」と同じニュアンスになります。

「対外的」の対義語や反対語とは

「対外的」の対義語「対内的」

「対外的」の対義語は「対内的」です。「対内的」とは「内部、国内に対する状態」という意味です。「対内的な活動」「対内的な仕事」など、使い方も「対外的」とよく似ています。

なお、「対外的仕事」の代表例は営業職ですが、「対内的仕事」は事務職や研究職が代表例です。

「社内向け」も反対語のひとつ

ビジネスシーンで用いられる「対外的」は主に「社外」に向けた事柄を指します。その意味では「社内向け」「社内」といった語が反対の意味を持つ表現です。

たとえば「新たな人事制度について社内向けに説明会を行う」というように、社内(従業員)を対象とした事柄に用いることができます。

「対外的」の英語訳とは

「対外的」は英語で「external」

「対外的」は英語では「external」という単語を使用します。「external」には「外部の、外の、外国の」といった意味があり「対外的な」という意味も持つ単語です。「対外的に」と副詞として使用する場合は「externally」を使用します。

「対外的」の英語例文

  • external trade(対外貿易)
  • This term came to be used externally.(この表現は対外的に使用されてきた)
  • Japan has some external problems.(日本はいくつかの対外的問題を抱えている)

まとめ

「対外的」とは「外国に対する様、外部に対する様」という意味で、ビジネスシーンでは主に「社外に対する様」の意味で用いられます。たとえば「対外的に公表する」は「社外、つまり世間一般に公表する」というニュアンスです。

また、日本の主権の分野では「対外的主権」「対外的独立性」として、外国から独立した主権や国家の独立性を意味する語として用いられます。