「全う」の意味と使い方とは?「真っ当」との違いや例文と類語も

「職務を全うする」「天寿を全うする」のように、何かを成し遂げることを「全うする」と表現することがあります。この「全う」とはどのような意味なのでしょうか。

この記事では「全う」の意味や使い方を例文で解説します。また「全う」と「真っ当」の違いや使い分け、類語・英語訳といった関連用語についても紹介します。

「全う」の意味と読み方とは

意味は「まともな様」読み方は「まっとう」

「全う」とは「まともな様、まじめな様」という意味の言葉で、読み方は「まっとう」です。「完全、完璧である」を意味する形容詞「全い(まったい)」が変化して「全う」になりました。

「全うする」とは「完全に果たす」の意味

「全う」は主に「全うする」の表現で目にしますが、「全うする」とは「完全に果たす、やり遂げる」という意味です。この「全うする」は「まったくする」が変化したものとされています。

「全うする」は一般的に、自分に与えられた事柄や課せられた事柄をやり遂げる、という意味で使うことが多いです。「全う」の表記で「まじめな様」という意味で使われることは少ないでしょう。

「全う」と「真っ当」の違いとは

「真っ当」とは「まじめである様」の意味

「全う」と同じ読みをする語に「真っ当」があります。「真っ当」とは「まじめである様、しっかりしている様」という意味です。「真っ当」は、もともと「全う」に「真っ当」の字を当てたのがはじまりとされています。

「全う」と「真っ当」どちらも「まともな様」という意味がありますが、現代では「まじめである様」という意味の「まっとう」は「真っ当」と表記されるのが一般的です。「非常にまともだ、とても理にかなっている」という意味で「至極真っ当だ」と使う例も多いです。

「全うに生きる」ではなく「真っ当に生きる」

「まっとうに」と使う場合の漢字表記は、「全うに」ではなく「真っ当に」の表記が一般的です。例えば「まっとうに生きる」は、「真っ当に生きる」とし「まじめに生きる、まともに生きる」ことを表します。

「全う」を使う場合は「人生を全うする」「彼らしい生き方を全うした」のように表現します。意味も「最後まで生き抜いた、やり遂げた」となるため、伝えたい内容をふまえて使い分けるようにしましょう。

例文
  • 自分で振り返っても真っ当に生きてきたと思う
  • 多くのことに挑戦してきた彼は人生を全うしたと思う

「全う」の使い方と例文

「全うする」「全うした」のように使う

「全う」は「全うする」「全うした」と使います。「やり遂げる、完全に果たす」という意味で、ビジネスシーンでもよく耳にする言い回しです。

また「天寿を全うする」とした場合、「天から与えられた寿命を生き尽くして亡くなる」という意味になります。

例文
  • 私は私に与えられた職務を全うするだけだ
  • メンバーの助けがあったからこそ、リーダーとして任務を全うすることができた

「全うしよう」と意気込みを表す

「全う」の使用例では「全うしよう」という言い回しも挙げられます。「全うしよう」とは「全うする+よう」に分解することができ、この場合の「よう(助動詞)」は意志を表しています。つまり、「全うしよう」は「やり遂げよう」という強い意思を示す表現となるのです。

例文
  • プレッシャーに負けないように全うしよう
  • まずは与えられた任務を全うしよう

「全う」の類語とは

「全うする」の類語は「成し遂げる」

「全うする」の類語は「成し遂げる」が挙げられます。「成し遂げる」とは困難な目的を達成する、という意味です。たとえば「代表挨拶という大役を成し遂げる」のように使うことができます。

「遂げる」「果たす」も類語として使える

「成し遂げる」だけでなく、「遂げる」「果たす」といった語も「全うする」の言い換えとして使える表現です。「遂げる」「果たす」のいずれにも目的を達成するというニュアンスがあります。特に「遂げる」は実現が容易ではない事柄に使うことが多いのが特徴です。

「全う」の英語訳とは

「任務を全うする」は「fulfill」を使う

「任務を全うする」などの「全うする」の英語訳では「fulfill」という語を使用します。たとえば「fulfill one’s duty」で「義務を果たす、任務を果たす」という意味です。

例文

He should fulfill his duty as a manager.(彼はマネージャとしての職務を果たすべきだ)

他にも、「carry out(成し遂げる、実行する)」「complete(完成させる、やり遂げる)」などの英語表現に「全うする」の和訳が当てられることがあります。

「天寿を全うする」の英語訳

「天寿を全うした」は「She lived to a ripe old age.」と英訳することが可能です。直訳すると「彼女は老齢まで生きた」という意味で、「天寿を全うした」という和訳をあてることができます。

また「live out one’s life(命を全うする)」や「die a natural death(老衰で死ぬ、寿命で死ぬ)」なども、「天寿を全うする」の英語訳として用いられます。

まとめ

「全う(まっとう)」とは「まともな様、まじめな様」という意味です。ただしこの意味での「まっとう」は「真っ当」と書かれることが多く、「全う」の表記は主に「全うする」「全うした」という表現で用いられます。「全うする」とは「やり遂げる」という意味で、ビジネスでは「任務を全うする」と使うことが多いでしょう。