「または」の意味は?句読点の使い方や類語「もしくは」との違いも

「AまたはB」「A、BまたはC」のように、選択肢が複数ある場合に「または(又は)」を使って提示することがあります。「または」という表現は、どのように使うのが正しいのでしょうか。

漢字とひらがな表記の違いや句読点の位置など具体的な使い方、例文とともに類語「あるいは」「もしくは」との違いについても解説します。

「または」の意味

「または」はどれか1つを選択する際に使う

「または」とは「複数の選択肢から1つ選ぶ」という場面でよく使われる表現です。提示した選択肢のどれを選んでもよい、という許容の意味合いも含まれています。

もう少し詳しくいうと、「複数のうち1つだけ」のほかに「複数のうち1つ以上(全部も可)」という意味で使うこともできます。

「または」は漢字で「又は」と書くことも

「または」は品詞では接続詞に該当し、なかでも「選択的接続詞」と呼ばれる語の1つです。漢字では「又は」と書きます。法令では「または」を漢字で書くのが原則で、公用文でも漢字表記で用いられることが多いです。

「または」の使い方と例文

「AまたはB」のように選択肢を示す接続詞

「または」は似たような選択肢を提示する際に使用する接続詞です。たとえば「AかBのどちらか」というような場合に「AまたはB」と表現することができます。

例文
  • 鉛筆またはシャープペンシルで回答してください。ボールペンは使用できません
  • お支払いには、銀行振込またはコンビニ払いが利用できます

「A、BまたはC」と3つ以上の選択肢を示す

3つ以上の選択肢を提示する場合は「または」の位置と句読点の位置が問題になります。一般には「A、BまたはC」と記載することが多く、法令等でもこの表記が用いられます。たとえば「赤、青または白」と書く例です。

一方で「A、B、またはC」という表現も可能で、たとえば「赤、青、または白」としても誤りではありません。人によっては「A、B、またはC」という記載例の方が複数の選択肢がすべて同等にとれるという声もあります。

「または」の後に句読点はつけない

「または」を使う際にもうひとつ気をつけたいのが句読点の位置です。選択肢(条件)の後に読点を記載することはありますが、「または」の後に句読点を書くことはしません。「A、BまたはC」「A、B、またはC」としても、「A、Bまたは、C」とは書かないのです。

「または」を文頭で使う例

「または」を他の接続詞と同様に、文頭で用いる例もあります。

例文
  • 本品の温めには電子レンジがご利用できます。または湯せんで温めることも可能です
  • 本件は課長に判断を仰ぐべきだ。または部長に委ねるべきとも言えるだろう

「または」を数学で使うときの記号「∪」

数学における「または」は記号「∪」で表されます。数学記号「∪」は「カップ」と読み、「A∪B」は「AまたはB」「AカップB」と読むことができます。

「または」の言い換えや類語

「または」の言い換え表現「あるいは」

「または」の言い換えには「あるいは」が挙げられます。「あるいは」とは「同様の事柄のうちどちらか一方」という意味があり、「AあるいはB」は「AまたはB」と同じ意味です。

同じ「どちらか一方」というニュアンスでも、「または」が「どっちでもいいけどどちらか…」と許容を示すのに対し、「あるいは」は「どちらでもよい」という意味合いは薄いのが特徴です。そのため「このままキャリアを積むのか、あるいは家業を継ぐのか迷っている」のように結果が大きく変わるシーンで用いられることも多いです。

また、「あるいは」を副詞として使う場合「もしかしたら、ひょっとしたら」という意味になります。たとえば「あるいは私に原因があるかもしれない」は「ひょっとしたら私に原因があるかもしれない」というニュアンスです。

「もしくは(若しくは)」に言い換えも

「または」の言い換えに使える語では「もしくは」も挙げられます。「もしくは」とは「前後の事柄のいずれかを表す」意味を持ち、「AもしくはB」で「AとBのいずれか1つを選ぶ」という意味になります。漢字では「若しくは」と書きます。

「もしくは」は「または」の言い換えにも使用できますが、「もしくは」を小さい選択(接続)に、「または」を大きな選択(接続)に使うという違いもあります。「AもしくはB、またはCもしくはD」といった使い方が可能です。よくある例で言うと「○年以下の懲役若しくは〇〇万円以下の罰金又はその両方を科される」のように、選択肢の種類を分けて言う際に使用できます。

また、「もしくは」にも副詞として「もしからしたら、ひょっとして」という意味もあります。

「ないしは(ないし)」も複数から1つを選択する

「ないしは(ないし)」もまた、似通った事柄のうちその1つを選択する時に使う語です。「AまたはB」は「Aないしは(ないし)B」と表現することができます。

加えて、「AないしB」で「AからBにいたるまで」という意味で使うことも可能です。たとえば「契約書の第一項ないし第五項の規定が当てはまります」と言う場合の「ないし」がこの意味になり、「第一項から第五項までの規定」を指します。

「または」の英語訳

「または」の英語訳は「or」を使う

「または」の英語訳では「or」を使うことができます。「ether A or B」も「または」の意味になります。単語「or」だけではややカジュアルさを伴うため、日本語のやや硬いニュアンスを出したい場合は「either A or B」が適切とされることもあるようです。

「または」の英語例文

  • I will contact you on Monday or Tuesday.
    月曜または火曜にご連絡します
  • Fill in with a black or blue ballpoint pen.
    黒または青のボールペンで記入してください

まとめ

「または」とは、複数ある選択肢から1つを選ぶ際の表現です。「Aまたは B」のように、提示する選択肢(条件)と並べて使います。選択肢が多いと句読点の位置が問題になりますが、「または」の後ろに句読点をつけることはありません。なお、法令や公用文では「又は」と漢字表記が一般的です。ビジネスシーンでも契約書等公的な書類では漢字表記が優先されることも多いでしょう。