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「倦厭」の意味と使い方とは?言い換え表現や「嫌厭」との違いも

「倦厭」とは「嫌になる様」を表す語のひとつで主に書き言葉として小説等で用いられる熟語です。この「倦厭」とは具体的にどういった意味を持ち、どのように使うのでしょう。「倦厭」の読み方、意味をはじめその使い方を例文で解説します。また「嫌厭」「敬遠」など類語との違いや英語訳も紹介します。

「倦厭」の意味と読み方とは

「倦厭」の意味は「あきて嫌になること」

「倦厭」とは「あきて嫌になること」という意味です。同じことが続き「くどい、しつこい」「もう十分すぎるほどだ」と感じる様を指して「倦厭」と言います。

「倦厭」の読み方は「けんえん」

「倦厭」は「けんえん」と読みます。「倦」の字は「うむ、あきる」という意味があり、「倦怠感(けんたいかん)」などでも用いられます。一方「厭」は「いやがる、あきる、満足していやになる」などの意味を持つ字です。つまり「倦厭」は似た意味の漢字を重ねた熟語ということになります。

なお、「倦厭」を「けいえん」とよむのは誤りです。「けんえん」という正しい読みを覚えておきましょう。

「倦厭」の使い方と例文

「倦厭する」「倦厭される」と使う

「倦厭」は「倦厭する」「倦厭される」などの表現で用いられます。「あきていやになる」という意味を持つ「倦厭」は、同じことが続く様や同じような事柄でつまらない、くどいと感じる様に対して用いられます。

例文
  • 部長が部下に倦厭されるのも当然だ。武勇伝ばかり語られてはたまらない
  • 物心ついた時から変わらないこの田舎町の景色を倦厭するのも無理はない

「倦厭して」「倦厭な」という表現も

「倦厭」を使ったそのほかの言い回しでは「倦厭している」や「倦厭な〇〇」といった表現が挙げられます。

例文
  • 単調な日々に倦厭している若者も少なくない
  • この倦厭な日常から抜け出したい

「嫌厭」は「倦厭」の同音異義語

「けんえん」と読む熟語には「嫌厭」もあります。「嫌厭」もまた「いやになること」という意味を持ちますが、厳密にはニュアンスが異なります。

「嫌厭」は「きらっていやがること」という意味で「嫌悪」に近いニュアンスです。一方の「倦厭」は「あきていやになること」という意味で、「あきてうんざりする」ようなニュアンスがあります。

『山月記』の「畏怖”けんえん”」は「嫌厭」

教科書の題材となることも多い中島敦氏の短編小説『山月記』にも「けんえん」という語を含む表現が登場します。

ただし『山月記』の場合は「畏怖嫌厭」という四字熟語で、「倦厭」ではありません。「畏怖嫌厭」とは「恐れ嫌がること」を意味し、「あきていやになる」という「倦厭」とは異なります。

「倦厭」の類語・言い換えとその違い

「倦厭」と「敬遠」の意味は異なる

「倦厭」と混同されやすい語には「敬遠(けいえん)」があります。「敬遠」とは「表面では敬う態度を見せながら距離を置くこと、関わりを持たないようにすること」という意味です。つまり「倦厭」とは全く異なる意味の熟語ということになります。

なお、「敬遠」は野球でも馴染みがある語で、ピッチャーがバッターとの勝負を嫌い、わざとフォアボールを出し塁に送ることを指しても用いられます。

「食傷」も「倦厭」の類語のひとつ

「倦厭」と似た意味をを持つ語では「食傷(しょくしょう)」が挙げられます。「食傷」とは「同じ食べ物が続き飽きること、食べ飽きること」という意味です。転じて「同じことに飽き飽きして嫌になる」という意味でも用いられます。

たとえば「この手の話は最近とても多く、食傷している」といった使い方が可能です。また、単に「食あたりをおこすこと」という意味もあります。

「倦厭する」の言い換えは「嫌気が指す」

「倦厭する」は「嫌気が指す」と言い換えられます。「嫌気が指す」とは読んで字のごとく、嫌な気持ちになることや嫌だと思う気持ちが起こることを意味します。

また、単に「嫌になる」としても似たニュアンスにとることができるでしょう。口語表現としてはこうした言い回しを用いることが多いです。

「辟易する」も似た意味の表現

「辟易する(へきえきする)」とは「ひどく迷惑してうんざりすること、嫌気がさすこと」という意味です。「毎日同じことの繰り返しで辟易する」などは「倦厭する」と似たニュアンスとなります。

「倦厭」の英語訳とは

「倦厭」は英語で「weariness」

「倦厭」の英語訳では「weariness」が使用できます。「weariness」とは「疲労、退屈」という意味の語です。「weary」で「疲れた、退屈な、うんざりして」などの意味の形容詞、「退屈させる、あきさせる、うんざりさせる」などの意味の動詞として使うことも可能です。

例文
  • I was weary from his long speech.
    彼の長いスピーチにはうんざりした
  • He wearied me with his long talk.
    彼の長話にはうんざりだった(彼の長話は私をうんざりさせた)

「tired of」「sick of」も英語訳に使える

「倦厭」の持つ「飽きて嫌になる」という意味は「tired of」や「sick of」でも表現できます。いずれも「嫌になって」という意味ですが、「sick of」の方が「うんざりして」というニュアンスが強いとされることが多いようです。

例文

I’m already sick of it.
もううんざりだ

まとめ

「倦厭」とは「飽きていやになること」という意味の熟語で、繰り返される同じ事柄にうんざりしたり、くどいと感じる様を指して「倦厭する」などと使用します。同じ「けんえん」という読みの熟語では「嫌厭」もありますが、こちらは「きらいでいやになる」という意味であり、「倦厭」とは区別が必要です。