「甚振る」の意味とは?読み方や使い方の例文と類義語「虐める」も

「甚振る」は「いたぶる」と読み、日常的には「いじめる」というニュアンスで用いられることが多いでしょう。本記事では「甚振る」の詳しい意味やニュアンス、読み方をはじめ、使い方を例文で解説します。また「甚振る」と類語「虐める」との違いやその他の類語、英語訳についても紹介します。

「甚振る」の意味と読み方とは

「甚振る」の意味は「嫌がらせをすること」

「甚振る」を漢字の意味通りにとると「激しく揺り動かす」という意味になります。加えて「甚振る」には「脅して金品をとる、ゆする」「痛めつけたり嫌がらせをする」といった意味もあり、一般にはこの「嫌がらせをする」というニュアンスで用いられることが多いです。

特に、自分よりも弱い立場のものを痛めつけたり嫌がらせをしたりすること、相手を脅してゆすることを指して「甚振る」と言います。

「甚振る」の読み方は「いたぶる」

「甚振る」は「いたぶる」と読みます。「甚」の字は「はなは(だしい)」「ジン」という読みが一般的ですが、「いた(く)」という読み(常用外)も持ちます。

「甚振る」はこの「いた(く)」という読みと「振る」の読み「ふる」を組み合わせ、「いたぶる」と濁るのが正しい読み方です。

「甚振る」は漢字よりひらがなをよく使う

「甚振る」は漢字で書かれるよりもひらがなで表記されることが多いです。また「いたぶる」の意味で「痛ぶる」との漢字があてられることもありますが、「痛ぶる」という語は辞書には見当たりません。「いたぶる」は、漢字では「甚振る」と書くと覚えておきましょう。

「甚振る」の使い方と例文

「甚振る」「甚振られる」と使う

「甚振る」は立場が弱い人をじわじわと追い詰めるように嫌がらせをする様を指して用いられます。「甚振る」あるいは「甚振られる」という表現が一般的です。

例文
  • 友人が甚振られるのを黙って見ていられるわけがない
  • 命ある生き物を甚振るようなことはやめるべきだ 

「甚振るように」はじわじわと追い詰める様

「甚振るように〜する」とは「じわじわと追い詰める様、ゆっくりと痛めつける様」を表します。

例文

獲物を甚振るようにじわじわと追い詰める姿には息をのんだ。 

「甚振る行為」の例

「甚振る行為」と一口に言っても様々ありますが、たとえば力を緩めずに繰り返される暴力行為が良い例です。また、単に「痛めつける」だけでなく面白半分で暴力行為に及ぶ様を指す例も多いでしょう。

ビジネスシーンでの「甚振る」の例では威圧的な言動で部下を追い詰める、いわゆる「パワハラ」が例として挙げられます。日々繰り返されるパワハラは実際に手を出すような暴力行為である例は少ないものの、弱い立場の人を徐々に追い詰める様が「甚振る」と表現されることもあります。

このほか「甚振る」には「ゆする」という意味もあるため、脅して金品をせびることも「甚振る行為」に該当します。

「甚振る」の類語・類義語とは

「甚振る」と「虐める(苛める)」の違い

「虐める(いじめる)」とは「弱いものを苦しめ、痛めつけること」を意味します。相手が嫌がることをするなど精神的苦痛を与える様を表すことが多いです。

「甚振る」と「虐める」は似た意味を持ちますが、「甚振る」は「自分より弱い相手を肉体的にじわじわ痛めつける」というニュアンスが特徴です。一方の「虐める」は無抵抗な相手を精神的に追い込む、というニュアンスがある点が相違点と言えるでしょう。

「痛めつける」に言い換えることも

「甚振る」の類語では「痛めつける」も挙げられます。「痛めつける」とは「暴力的な手段で苦痛を与えること、押さえつけること」という意味で、「甚振る」の言い換えに使うことができます。

「痛めつける」は暴力的な手段によるものを指すのが特徴で、精神的に追い詰める様には「嫌がらせをする」などの言い回しがベターです。

「恐喝する」も類語のひとつ

「甚振る」にある「相手を脅して金品を奪う、ゆする」という意味での類語には、「恐喝する」という表現があります。「恐喝する」は「金品を奪いとる」の意味以外に、「弱みなどにつけこみおどす」というニュアンスでも使用できます。

「いびる」は陰湿さがポイント

「いびる」とは「弱い立場の人をいじめて苦しめる、しいたげて苦しめる」という意味です。一般的に「ねちねち」という表現に代表されるように「陰湿に虐める」というニュアンスが特徴的です。

「いびる」は人間のみに用いられ、たとえば野生動物が獲物を「甚振る」ということはあっても、動物に対して「いびる」という語は使用しません。

「可愛がる」と言い換えられる例も

「可愛がる」とは文字通りかわいらしいと思って優しくする、大切に扱うという意味もありますが、一方で「手荒く扱う、痛い目にあわせる、しごく」という意味でも用いられます。スポーツにおいて度のすぎた指導や暴力的な指導を「可愛がり」と呼ぶことがありますが、ニュアンス的には同じです。

まとめ

「甚振る」とは自分よりも弱い立場のものを痛めつけたり嫌がらせをしたりすることを意味します。また、相手を脅してゆするという意味もあり、一般的にひらがなで書くことが多いです。

「甚振る」は主に暴力行為で肉体的に痛めつけることを表し、精神的に嫌がらせをしたり追い詰める様は「虐める」を使うように内容によって使い分けることができます。「甚振る」はじわじわと追い詰めるようなニュアンスがあるのも特徴のひとつです。