「幸多からんことを」の意味は?目上への使い方や結婚式での例文も

「新郎新婦のこれからに幸多からんことを!」と結婚式でお祝いを述べることがありますが、この「幸多からんことを」とはどのような意味を持つのでしょう。「幸多からんことを」の意味とその使い方を解説します。

また、結婚式や誕生日のほか門出を祝うフレーズなど、シーン別の例文と類語・英語訳についても紹介しましょう。

「幸多からんことを」の意味とは

「幸多からんことを」は幸せを願う表現

「幸多からんことを」は「幸せがたくさん訪れますように」「良い出来事がたくさんありますように」といった意味の表現です。相手の幸せを願う意味を持ちます。

「幸多からん」は否定ではなく推量の意味

「幸多からんことを」の「多からん」を「多くない」と否定の意味にとるのは誤りです。「多からん」の「ん」は否定の意味ではなく推量の意味を持ち、この場合は「多かろう」というニュアンスです。

推量の意味で助動詞「む(ん)」を使うのは古語の使い方であるため、「幸多からんことを」という言い回しもやや古く、堅い印象を伴った表現になります。

読み方は「さちおおからんことを」

「幸多からんことを」の読み方は「さちおおからんことを」です。「幸」は音読みでは「コウ」、訓読みでは「さち、さいわ(い)、しあわ(せ)」と読むことが可能ですが、「幸多からんことを」の場合は「さち」と読みます。

「幸多からんことを」の使い方と注意点

「幸多からんことを」の目上への使い方

冒頭の例のように「新郎新婦のこれからに幸多からんことを!」とそのまま使う例もありますが、目上にこの形で使うのは避けましょう。「幸多からんことを」はそれだけでは文章として不完全であることから、目上には失礼に当たるためです。

また、「幸多からんことを」には敬語の意味がないことも、そのまま使うのは不適切とされる理由のひとつです。

「幸多からんことを願っています/お祈りします」

「幸多からんことを」は、本来「幸多からんことを願う」「幸多からんことを祈る」の形で使用します。敬語表現としては「幸多からんことを願っています/祈っています」などのほか「祈念いたします」「お祈り申し上げます」などの言い回しが適切です。

例文

〇〇様に幸多からんことをお祈り申し上げます。

「幸多からんことを」への返事には感謝の言葉を

「幸多からんことを〜」という言葉をかけてもらった場合、返事には「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えるとよいでしょう。

メールや手紙の場合には、「お心遣いに感謝申し上げます」「温かいお言葉を頂戴し恐縮しております」のような返し方もあります。

「幸多からんことを」のシーン別例文

結婚式の挨拶やメッセージで「幸多からんことを祈って」

結婚式の挨拶や結婚のお祝いで使う場合は、新郎新婦の末永い幸せを願う意味で用いられます。

例文
  • ご結婚おめでとうございます。お二人の人生が末永く幸多からんことを祈っています
  • 新郎新婦の門出に幸多からんことをお祈りいたします

卒業や人生の節目に「この先の人生に幸多からんことを」

「幸多からんことを」という表現は卒業や成人など、人生の節目でもしばしば用いられます。

例文

ご卒業おめでとうございます。この先の人生に幸多からんことを祈っています。

年賀状や年始の挨拶、誕生日の祝福に使う例も

年賀状でよく使われるのは、「20xx年が〇〇さんにとって幸多からんことをお祈り申し上げます」という表現です。新年の始まりに限らず、誕生日を迎えた人に「新しい一年が幸多からんことを願っています」とする例もあります。

「幸多からんことを」の類語とは

「幸多からんことを」の類語「幸あれ」「幸多かれ」

「幸多からんことを」と似た意味の表現では「幸あれ」「幸多かれ」が挙げられます。「幸あれ」は「幸せがありますように」、「幸多かれ」は「幸せがたくさん訪れますように」という意味です。

「幸多かれと願っております」のように、後ろに敬語表現を続けて使うことが多く、どちらかというと目上から目下に対して使われます。

「ご多幸をお祈りします」も幸せを願う類語

相手の幸せを願うフレーズでは「ご多幸をお祈りします(お祈り申し上げます)」も挙げられます。「末筆にはなりますが、〇〇様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます」とメールの締めくくりの一文としてもしばしば用いられる表現です。

「ご健闘」「ご活躍」を使った表現も

ビジネスシーンでは「ご健闘をお祈りします」「ご活躍をお祈りします」なども似たニュアンスで用いられます。「ご健闘を〜」は端的にいうと「困難に屈せずに頑張ってください」というニュアンスです。

「ご活躍を〜」は特にビジネスでは第一線で活躍するという意味で、仕事がうまういくよう祈るフレーズです。直接的な意味合いは異なりますが、相手を想う言葉という点では共通するものがあります。

「幸多からんことを」の英語訳とは

英語では「I wish you all the best」が定型表現

「幸多からんことを」の英語訳では「I wish you all the best. 」という表現を使用します。「幸多からんことを祈っています」という意味で、「Wishing you all the best.」の形で用いられることも多いようです。「All the best!」とする例もあります。

新郎新婦にかける言葉では「Best wishes to the bride and groom!(新郎新婦に幸あれ!)」という言い回しもよく知られます。

「good luck」も似た意味の英語表現

「幸多からんことを」の英語訳としては先述の例が最も多いですが、似たニュアンスでは「I wish you good luck.」「Wish you good luck」を使う例もあります。「君に幸あれ」という意味になります。「Good luck!」としても良いでしょう。

まとめ

「幸多からんことを」は「幸せがたくさん訪れますように」「良い出来事がたくさんありますように」と相手の幸せを願うフレーズです。そのまま使う例もありますが、目上に対してや敬語を使うシーンでは「幸多からんことをお祈り申し上げます」など、後に続く表現を丁寧にします。結婚式や誕生日のほか年始の挨拶でも使えるフレーズです。